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開いた口がふさがらない話 4・歯並びはなぜ悪くなる?

こんにちは。

突然ですが、上の画像をご覧になってください。

これは、当院にいらっしゃってくださった「15歳以下」の患者さんの上顎の歯並びの写真を無作為に選んだものです。

16人中、きちんと歯が本来あるべき場所にはえそろっている患者は4名だけです。

「4人中、3人が何らかの矯正治療を必要としている」というこの現状は、世界中で起こっています。
子供の「歯列不正」の割合については、以下のようなデータが存在します。

イタリア・・・75%

コロンビア・・・88%

アメリカ・・・82.5%

ブラジル・・・90%

今や、子供たちの歯並びの悪さは世界的な問題となっているのです。

ではなぜ、歯並びは悪くなるのでしょうか?

歯並びが悪くなる原因は

歯や顎の大きさに影響する「遺伝的要因」

食生活や、口や舌の誤った使い方などが影響する「環境的要因」

に分けられます。

顎が小さいのに歯が大きかったりすると、歯がきちんと並ぶためのスペースがなくなり、当然歯並びは悪くなります。(遺伝的要因)

しっかり噛まずに飲み込んでいたり、お口をポカンと開けていたりすると、顎の成長が未成熟になる場合もあります。(環境的要因)

今までは、歯科業界では「歯並びは遺伝」という考えに固執してしまい、環境的な要因にあまり着目してこなかったように思います。

「歯並びが悪いから、大人の歯が生えそろったら矯正しようね」

と子供の頃に歯医者に言われた経験はありませんか??

汚くて申し訳ありませんが、上の写真は私の下顎の写真です。前歯がガタガタしていて、歯並びが悪い事がわかります。

そしてこれは私の息子(当時5歳)の写真です。

大人の前歯がはえてきていますが、歯が生え揃うスペースが足りずに、父親と似たような歯並びになりそうです。

これは立派な「遺伝」と言えます。

そこでもう一枚見ていただきたいのですが、これは上の写真から半年後の息子です。

前歯の並びが綺麗になっているのがおわかりいただけると思います。

これは、筋肉のバランスを整える矯正治療を行なった結果です。

口周りの筋肉をバランスを整える、つまり「環境的要因」を改善したのです。

「親も歯並びが悪いから・・・」と諦めるのではなく、子供の頃にしっかりと環境を整えてあげる事が大切なのです。

本来DNAには、歯がきちんと生えるようにプログラムされているはずなので、環境が整えば、歯は本来の場所にはえてきてくれるはずです。

その「環境」についてお話ししてみようと思います。

普段何気なく使っている口ですが、実は唇は300グラム、舌は500グラムと強い力をもっています。

矯正治療の時に歯を動かすためにちょうど良い力の事を至適矯正力と言いますが、これはだいたい数十グラムです。

数十グラムの力で動いてしまう歯が、遥かに強い力を持つ唇と舌に挟まれているのです。

舌と唇を正しく使えておらず、その力が歯に加わってしまったら・・・容易に歯が動いてしまう事がおわかりいただけると思います。

次回は、口の中の環境、つまり舌や唇などの筋肉のバランスが崩れてしまうとどうなるのかをお話ししていきます。