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【前世の記憶】雷雨の飛行機事故で死んだ子供が前世の隣人と再会

アメリカ・オクラホマ州。

シンディーとロニーには4人の子供がいて6歳のライランは末っ子の女の子。

ライランはよく眠る手のかからない赤ちゃんだったが、2歳ごろから夜起きて家の中を歩き回るようになる。目は開いているものの半分眠った状態だ。

子供たちが寝た後にシンディーがコンピューターで仕事をしている時のこと。人気を感じて振り向くとライランがソファーの横に立っていてじっと見ていることがよくあった。

話したり泣いたりするわけでもなく、ただ自分をじっと見つめているのだ。次の日にそのことを 聞いても本人は覚えていない。

ライランは蜘蛛や蛇なども怖がらない子で、実際、家族で蜘蛛を殺せるのはシンディーとライランだけだった。そんな怖いもの知らずにも思えるライランが唯一怖がるのが雷と稲妻だった。

竜巻の通り道でもあるオクラホマでの生活は雷や稲妻は避けられない。ライランの家族は雨や嵐の時はよく眠る傾向があった。そんな中、ライランだけが叫び声を上げて隠れた。

ライランがなぜ突然嵐を怖がるようになったのか不思議に思ったシンディーが過去に何かあったか嵐との関連を思い出してみても思いつかない。

両親には泣き叫ぶ娘をなだめるしかなく、この恐怖も成長と共になくなるだろうと思っていた。

ライランが2歳のある日、家族の友人が訪れ子供達の写真を何枚か撮っていた。白いドレスを着ていたライランに友人は白い花を持たせて写真を撮ろうとするのだが、ライランは全く笑おうとせずただ立っている。結局最後まで笑顔の写真を撮ることはできなかった。

数週間後、シンディーはその時の写真数枚を印刷しフレームに入れて自宅オフィスと仕事場に飾った。

ライランは毎回オフィスに来るたびに「その写真の時は私大きかったの」と言う。

「何で大きいと思うの?ママのお友達が来たのは何週間か前だから今の方が大きいのよ。毎日成長してるからね」

とシンディーが言うとライランは特に何も言わなかった。シンディーも、きっと写真の方が大きいと思う何かがあるのだろうと、2歳児の言うことだから気にも留めていなかった。

ある夜、本の読み聞かせをして寝かしつけていた時のこと。ライランが突然言う。

「マミー、私死んだの。」

「どういう意味?」

とシンディーが聞くと、

「雨に打たれて浮き上がったの。」

と言う。

どこで浮き上がったのかと聞くと、

「天国」

と感情を乱すこともなく答える。

この子は何を言ってるんだ?と思ったシンディーが他に伝えたいことはあるかと聞くと、「ノー」と言って眠りについた。

そのことを聞いたロニーは、この年齢で娘が死んだと言うことがショックで心が沈んだ。

我が子は作り話をしているのか、テレビで見たことを話しているのか、真実を話しているのか。

ライランは自分の身に起こったことをとてもよく覚えている。彼女の中で何が起きているのか。他にもまだ話していないことがあるのか。

ある日ライランは天国に行ったことがあり神様を知っていると言った。他に天国で知っている人はいるかと聞いてみると、

「うん、ママのお母さんと一緒だったよ。」

と言う。

シンディーの母はライランが生まれる12年前に亡くなっている。母の写真をライランが目にしていたとしても祖母だと認識しているとは思えず、祖母が亡くなったことをした話した記憶もない。

おばあちゃんについて何を知ってるか聞くと、

「髪も目もブラウンなの。ママと私みたいに。とても優しくて私と遊んでくれた。」

と言う。

他に知っている人がいるか聞くと、ライランは、

「上ではたくさんの人を知ってるよ。」

と言った。

親にとって我が子が天国にいたと話し始めた時の育児マニュアルはない。娘にどう返答すればいいのかロニーも分からないでいた。

文字も読めない年齢で、死や天国を連想させるテレビも観ていないライランにこの発想はどこからくるのか。ただ彼女が既に知っていることとしか言いようがない。

同じ頃、服を着替えていた時にライリーは痛いと言う。服のせいで痒いとかちくちくするのではなく、首や背中が痛い、焼ける、シャツを脱ぐ、と言うのだ。

ライランはシャツを脱ぎ捨て癇癪を起こした。何が娘をそうさせるのか。状況が分からない両親は心配する。

ライランはルイジアナに住んでいたことを示唆した。

ライランから聞いたことが何かにつながっているか確かめたいシンディーが、ルイジアナ、少女 死亡 稲妻で調べてみるとある記事に行き着く。

それは1940年代にルイジアナで起こった事故で、自宅近くにいた少女が落雷によって死亡したというものだった。

もしかしたらこれが我が子だったのかもしれないと思いながらもシンディーは、ライランにその話は一切しなかった。

全てを彼女の口から直接聞きたかったからだ。ライランへの質問は常に慎重でオープン・エンドにもしてきた。

6歳の誕生日が近づいたある日へライランが来て言った。

「飛行機が墜落したのを覚えてる。」

あの記事とマッチしない。シンディーは思った。

そこで今度は、飛行機墜落、ルイジアナで調べてみる。そこで見つけた記事は予期していないものだった。

1982年にルイジアナで起こったPan AM 759についての記事がいくつも出てくる。事故当時は航空史上2番目の規模とされた飛行機墜落事故で、激しい雷雨の中墜落していた。

Pan AM 759はニューオーリーンズ空港を離陸直後に近隣に墜落した。乗っていた乗客148人全員に加え、地上にいた8人が巻き添えとなり亡くなっている。ひどい雷と稲妻だった。

シンディーはライランに聞きたい気持ちを抑え、彼女から話してくれるのを待つ。

数日後、彼女は「1971」と言った。

どういう意味か聞くと、

「1971年を知ってる。聞き慣れてる気がする。」

と言う。さらに「ジェニファー」という名前にも特別なものを感じると言う。

Pan AM 759墜落の記事によると、地上で亡くなった人の中に、ジェニファーという11歳の少女がいることが分かる。

墜落事故が起こったのは1982年の7月9日。その11歳の少女はライランが言っていた1971年に生まれていたことになる。

ライランは1940年代に落雷で亡くなった少女ではなく、ジェニファーだった可能性が高いと悟った瞬間だった。

ロニーも、これだ、これがライランが経験していることだ、と感じた。

飛行機から燃えている燃料が出ていたことを知り、服を着替える時にライランが体が燃えるように痛いと言っていたことと瞬時に結びつく。

飛行機が迫ってきていることを彼女は覚えているのか。何を覚えているのか。

またある日車内でライランが突然飛行機の絵を見たいかと聞いてくる。ライランが描いた機体には青と黒のデザインがあった。

他に覚えていることがあるかと聞くと、ライランは言う。

「飛行機は左に行って、木に当たり始めた。そして近所に落ちたの。」

シンディーがその夜記事を再び読んでみると、Pan AM 759はまさにライランが言った通りの墜落の仕方をしていた。機体の色もマッチしている。

ライランはその飛行機を見ている、もし輪廻転生があるのなら娘はおそらく前世の記憶を持っているのだとシンディーは思った。

ライランは住んでいた場所の近くの大きな公園と水のことをよく口にした。

地図を見てみると、飛行機が墜落した場所にはとても大きな公園がありそこには大きな湖があった。彼女はそこのことを言っているのに違いない。

ライランが飛行機の絵を見せてから数週間後、シンディーはライランに、自分がインターネットで見つけた記事について知りたいか聞いてみることにする。「うん、そう思う。」と彼女は答えた。

そこでルイジアナで起こった飛行機墜落事故について話し、激しい雷雨の中起こった事故だと伝える。

「雷と稲妻があったの?」

「そうよ」

「飛行機には乗ってなかったよ。私庭にいたの?」

「庭にいた少女がいて、飛行機が墜ちた時に亡くなってる。」

「その子の名前はジェニファー?」

「そう。」

「私がジェニファーだった?」

「分からないわ、ライラン。」

「そうだと思う。」

さらに飛行機は燃えたかと聞くライランの質問にシンディーはうなづき、飛行機が地上に墜落する前から機体から火が出ていたようだと答えると、彼女は聞いた。

「私は燃えちゃったと思う?」

「恐らくそうだと思うわ。」

ライランはその時、首について何か言っていた。シンディーが、もしかしたら首と背中の痛みは事故と関係があるのかもしれないわね、と言うと、ライランはそうだと思うと言った。

シンディーは言う。

「もしライランがジェニファーで11歳と言う若さで人生を終えなければならなかったとしたら、経験できなかったことがたくさんあるはず。彼女を我が子として育てられるのなら幸せな人生を与えたい。それが親として望むことの全て。」

ライラン家族はルイジアナのケナーに行くことにした。飛行機が墜落した場所だ。ライランもその場所に行きたいと言ったため、飛行機墜落事故のエキスパートに会う手配をし、ジェニファーの家にも行くことにする。

両親はこの旅でライランの記憶が満たされることで、夢遊病などの問題が解決されることを願っていた。
 
道中のライランはとても静かだった。家族は飛行機墜落事故のエキスパートであるアンダーソン氏に会い、彼はPan AM 759の資料を見せながら説明しはじめる。

ライランが言うように飛行機は左に行った。墜落することを知っていたパイロットは住宅地を避けようと左に行こうとするが、全ては避けきれなかった。

ライランはあまり言葉を発することはなかったものの、真剣な表情で資料を見つめ、アンダーソン氏が話すこと全てを興味深く聞いていた。

アンダーソン氏がジェニファーの写真を見せる。

ジェニファーはライランとよく似た表情をしていた。写真の中のジェニファーと同じ表情をしたライランの写真が自宅にはたくさんある。

白いドレスを着て写真を撮った時、恐らくそのドレスがジェニファーを思い出させたのだろうとシンディーは思った。

隣人のエヴィリンはジェニファーのことをよく知っていて事故当時は家族を助けた人物でもある。

アンダーソン氏は言う。

「エヴィリンは君に会えることを楽しみにしているよ、ライラン。」

家族はジェニファーが住んでいた家に着く。アンダーソン氏によると、飛行機は屋根すれすれのところを飛び、屋根は全部吹き飛ばされたと言う。そして家の周辺に墜落した。

それを目撃していていた隣人のエヴィリンによると、ジェニファーは自宅のカーポートの下に立っていた。

ライランはこの住宅地に見覚えがあると言う。

エヴィリンはライランに温かい言葉をかけ、ジェニファーについて話した。

エヴィリン夫婦が外に出ていると向かいに住んでいたジェニファーが走ってきて、芝生を刈っている彼女の夫に、芝生を刈ってもいいか聞いてきた。

そしてエヴィリンに、お皿を洗ってもいいか、掃除機をかけてもいいかと聞いてきた。エヴィリンは手伝ってくれた代わりに数ドル渡していたと言う。

エヴィリンがライランに聞く。

「ジェニファーの身に起こったことが見えるのかしら?」

ライランはうなづき、

「私昔ジェニファーだったの。」

と言う。

ジェニファーはエヴィリン夫婦のことが大好きで、いつもエヴィリンが出てくるのを外で待っているような子だった。エヴィリンにはジェニファーとその家族との良い思い出がたくさんある。

エヴィリンとライランはお互い何かしらの絆を感じていたようにシンディには見えた。

ライランは言う。

「ここに来て気持ちが楽になった。多分改善すると思う。」

シンディはより詳しい情報が知れたことに安堵した。ライランにも心の整理がついたのか、夜中に夢遊病のように歩き回ることはなくなったと言う。

 

・前世を信じるようになったと触れられていない

・小出しにしてくるのは思い出してくるからなのか

 


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