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【前世の記憶】銃と軍人に執着・銃撃の痛さを語る息子【ゆっくり解説】


カナダのオタワ。ジェニファーにはシェーンという10才の息子と20歳の娘がいる。シェーンは赤ちゃんの頃から変わった子だった。

生後半年のシェーンを抱いている時、何かを触ろうとする彼に、触っちゃダメよと軽く手を払い除けると、母親の頬を平手打ちした。最初は条件反射的なものだと思ったジェニファーだが、同じことが再び起こる。息子の手を軽く払いのけると再度平手打ちされるのだ。その後もこのような状況になると彼は毎回平手打ちで返した。

シェーンは善悪を区別する感覚が強かった。普通の子供と違い、赤ちゃんの頃からやられたらやり返すタイプだったのだ。

ジニファーが息子が普通と違うと感じはじめたのは彼が2歳半の頃。銃へのこだわりがとても強く、あらゆるものをおもちゃの銃で撃ちたがった。銃が出てくる番組を観ていたわけでもなく、テレビで観ていたのはアニメだけ。しかしそれが人であれ物であれ、全てを銃で撃ちたがったのだ。

レゴなど手にしているものが何であれ、銃を作られるおもちゃがあれば銃や武器を組み立てた。

銃はおもちゃではない、銃は人を傷つけ殺すものだと、毎日繰り返して言わなければならないのはおかしい・・。

そう思ったジェニファーはある晩、息子にじっくりと話して聞かせる。

「シェーン、もし誰かがママを銃で撃って、ママが天国に行ったらどうする?もう二度と会えないのよ。」

すると彼の顔つきは突然変わり、母親を見て言った。

「マミー、僕はそいつらを殺す」

ショックを受けるジェニファー。

「彼の目の中に深い何かを感じた時、怖くなりました。子供の顔つきではなかったんです。普通子供はあんな怒りを持っていません。何かおかしい。一瞬で異常だと分かりました。」

シェーンは、他の子供達のことが好きではなかった。善悪の区別をする感覚が強い息子だが、ジェニファーの主な心配は銃に関する強いこだわりだった。

シェーンが6歳の頃にボーイスカウトのミーティングに行った時のこと。ゲストスピーカーの兵隊が軍服を着て立っていた。

シェーンは息を呑んで言う。

「ママ、本物の兵隊なの!?話しに言ってもいい?一緒に来て!彼と話さなきゃ。本物なの?話しに行っていい?」

他の子供達は体育館で走り回ったりして、兵隊のことなど気にもかけていない。しかしシェーンは凍りついたかのようにずっと兵隊の横に立っていた。

ある日、彼は衝撃的なことを言う。

学校に行く前、シェーンは朝食を食べていて、ジェニファーはランチボックスの準備をしながら話していた。

すると彼は突然言った。

「ママ、僕前に大人だったことがあるの。知ってた?」

「えっ?」

困惑するジェニファーに、彼は続けて言う。

「そう。前は大人だったんだ。戻ってきたのはこれで3回目だったはず。」

ジェニファーは言う。

「どう答えたらいいのか分かりませんでした。スルーしたくはなかったけど、どう反応したらいいのか分からなかったんです。この発想はどこから来たのかということ以外は考えられませんでした。話し方があまりにも、事実をそのまま言っているようにしか見えなかったんです。何かあるはずとは思っていましたが、その日の朝に聞くことになるとは・・。心の準備ができていませんでした。」

歳の離れた姉ジェイミーが言う。

「弟がすごく想像力が豊かなのは知っていました。血筋なんです。だから彼はそれがより強いのだと思っていました。」

家族はカトリックで、死んだら天国に行くと信じている。前世や輪廻転生の話などが話題なることもない。加えて、日常生活で話題にするような会話でもないため、彼が輪廻転生について耳にすることはなかったはずだ。

姉ジェイミーが昔を振り返る。

「シェーンが3歳で私が13歳の時、彼が来て言ったんです。『僕もお姉ちゃんのサイズだった時のこと覚えてる』って。だから私は言いました。『ノー、あなたは私より小さいのよ。弟だもの。私より大きいとか同じサイズだったことはないわ。』って。彼は『でも、そうだったもん。』と言い張るので、そんなのあり得ないでしょ、と思ってました。」

数週間が過ぎたある週末のこと。再び朝食のテーブルで、ジェニファーが聞いてみる。

「シェーン、前に大人だったことがあるって言ってたわよね?」

「うん、そうだよ。僕は14歳だったから軍隊に入れてくれなかったんだ。入りたかったのに入れてくれなかった。戦争あるでしょ、女の人はみんな都会に行った戦争・・。」

「戦争、分かるわよ。女の人達はなんで都会に行ったの?」

ジェニファーは逆に質問してみる。

「働くためにだよ、ママ。男の人は戦争でみんないなくなったから。」

彼は第二次世界大戦のことを話している。しかし5歳児がこんなことを知っているわけがない。周りで戦争の話をしたこともないのに、彼は戦争についての詳細を知っていた。

さらにシェーンは続けた。

「ママ、僕は撃たれたんだ。」

ジェニファーは耳を疑う。

「その人物が誰だったのか話す必要があると思いました。その人物は今でもそこにいて、息子はもう何年も我慢してきたんです。」

それだけではなかった。

「ママ、僕は撃たれたんだよ。焼けるように痛い。燃えてるようなすごい痛みなんだ。本当に燃えるように痛いんだよ、ママ。」

と言って彼は胸の辺りを押さえていた。

ジェニファーは言う。

「私は息子の口から出た言葉についていこうと必死でした。聞いたことの意味を理解しようと。彼の話は、実際に戦争に行って銃で撃たれた兵隊のようでした。その経験をお墓から自分の息子を通して聞いているような気分でしたね。」

姉ジェイミーも驚きを隠せなかった。

「銃で撃たれたという話を聞いた時、言葉を失いました。人は死ぬということをなぜ理解できるのでしょう。家族や親戚に亡くなった人は誰もいなかったのに、何故知っているのでしょう。どこから来た発想?」

ジェニファーが言う。

「彼はそんなテレビも観ていないし、家族に軍人だった人もいません、家族に軍人だった人もいません。私たちの周りにこのようなことを話す人は誰もいませんでした。現実離れし過ぎです。もちろん自分の前にいる我が子がそんな経験をしていないことは知っています。でも彼はその感覚を覚えている。我が子が銃で撃たれたことがないのも知っています。だって自分の前にいるんですから。でも彼は撃たれた感覚がどういうものか知っている。その時のことは忘れません。」

姉ジェイミーは言う。

「シェーンは嘘はつけません。嘘をつこうとすると、ニヤニヤ笑うのを隠せないんです。だからこのことを話した時、家族は嘘じゃないと分かっていました。」

ジェニファーは今までのことを整理していく。赤ちゃんの頃に軽く叩くと平手打ちで返されたこと、銃に対する執着など・・。そして全てがつながる。

ジェニファーはその時の気持ちを語る。

「やっと分かったわ!前世の記憶だったんだ。だから影響を及ぼしているんだ。今の彼じゃなくて、そこにある記憶だったんだ。安心できた気がしました。」

シェーンはさらに話し出す。

「どんな仕組みなの?赤ちゃんに戻るの?」

「えぇ?分からないわ、どうなっているのか・・。」

ジェニファーは、どう答えたらいいのか、どうやって正しい答えをあげられるのか分からなかった。その手がかりさえ全くなかったのだ。

彼女はインターネットで調べ始める。シェーンの前世は第二次世界大戦に違いないと確信していた。男性が徴兵されたことにより女性が働きに出はじめたのが良く知られており、シェーンの話からもそれ以外あり得ないと感じたからだ。

ジェニファーは言う。

「入隊できる年齢は16歳。彼は14歳だったので入隊させてもらえなかった。入隊するために年齢を偽ったのでしょう。」

さらにリサーチを進めると、Reginald Earnshawという少年の話を見つける。彼は英国の海軍で14歳。入隊するために16歳と偽って入隊し、命を落とした。彼は戦争で最年少の死傷者だった。

彼が乗っていた船が火事になり、友人がボイラー室に行き助けようとしたが、熱すぎて救えなかったとのこと。

ジェニファーが言う。

「そこで私は不思議に思ったんです。息子は何かに撃たれて焼けるように痛かったと言ってたけど、同時に撃たれてボイラールームに閉じ込められたのか。だから燃える感覚があるのか。息子が話していたことと似た話が実在することは衝撃的でした。その少年が話を聞いて欲しかったの? そうかもしれない・・。」
 
男性が徴兵されたことにより、女性が働きに出はじめたのは北アメリカに限らず、英国でもそうだった。結局、第二次世界大戦だったことが分かる。

ジェニファーは、Raymond Steedという第二次世界大戦で戦ったもう一人の少年を見つけた。彼もまた年齢を偽って入隊しており、14歳で亡くなっていた。

シェーンが言う。

「記憶の中で何かを見る時はきっかけになるものがあるんだけど、それが何なのか分からない。それは何日間かいて、またいなくなる。夜、実際に撃たれたのを感じたんだ。そして目覚めた。胸のところが焼けるように痛かったから。痛みを感じたのは5秒くらい。そしてなくなった。」

ジェニファーはその少年の母親の気持ちに寄り添っていた。

「その少年の母親の心境は想像さえできません。そんな死に方でまだ若い我が子をなくすなんて。」

シェーンが言う。

「僕は軍隊が好きなんだ。自分の国のために戦えるからね。そして怖がる代わりに、他の人を助けられる。」

ジェニファーは息子が軍隊に入隊することに異議はないが、シェーン自身の決断であってほしいと思っている。歴史が繰り返すことを懸念していて、前世で終えていない任務のために息子が入隊することには抵抗があるのだ。

「息子には自分の人生を生きてほしい。他の誰かのためではなく。息子が成長し、入隊したらそれをサポートする覚悟はできています。それが彼自身の選択である限りは。」

シェーンは言う。

「僕が誰だったか見つけられたら最高だと思う。前世の自分と今の自分を比べられるからね。もし自分が誰だったか知る機会があれば知りたい。」

ジェニファーはシェーンに、第二次世界大戦で14歳で亡くなった二人の少年の写真を見せることにした。

「これが14歳で亡くなった少年二人よ。どっちかに見覚えはある?」

黙って写真を見ていたシェーンは、「彼だ」と言って、Reginald Earnshawを指差した。すごく見覚えがあり、自分に似ていると言う。

あまり似ているとは思わないジェニファーが、どこが似ていると思うのか聞くと、同じ目をしていると言う。

「この写真を見て、自分だったと感じるの?」

「うん。すごく。」

「ワオ・・。あなたの話に出てくる人を見つけられるなんて思ってもみなかった。でもこれは確かにあなたの話と共通してるわ。14歳で入隊してる。」

「彼を見ると、ある意味自分だと感じるんだ。この写真を見た瞬間、頭の中で炎が見えた。あちこちで火が燃えてる記憶があるんだ。」

「ほんと?」

「うん、どういうわけか、肺が少し痛いのも感じる。でも痛みはなくなった。」 

「どうやって亡くなったのか知ってる?船のボイラー室で焼け死んだのよ。」

「・・・」

ジェニファーが、前世を手放して、彼の魂に安らぎを与えられると思うかと聞くと、彼はうなづいた。

シェーンは言った。

「記憶が戻ってきたよ。見えたんだ。彼が焼け死んだなんて思ってもみなかった。彼の顔を見た瞬間、思い出したよ。自分の中にいる彼を感じた。彼と繋がってる感じ。ちょっと不思議だった。他の記憶もあるけど、あんな風に感じたのは初めて。僕の前世は彼だと心から思うんだ。彼は僕が覚えている全てのこととマッチしてると思う。それは僕にとって大事なこと。なんでこんな記憶があるのかが、やっと理解できたから。」

ジェニファーは言う。

「シェーンが写真に気付いたことで、間違いなく、区切りをつけるための方向に進んだと思います。シェーンにとっても私にとっても良いことでした。ずっと疑問に思っていたことだったから。Reginald にとっても良いことかもしれません。」

シェーンは依然として、時々軍隊のことも話す一方で、コンピュータープログラミングに興味を示している。


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