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超能力捜査】霊視で解決・アメリカ看護師殺人事件


1987年8月8日。アメリカ・ニュージャージー州。

皆誰もがお互いを知っていて、鍵をかけることも滅多にないような静かな町で、ガールフレンドが死んでいると思う・・、という男性からの通報が入る。

警察が中に入るとリビングに男性が立っていて、「彼女は死んでるの?」と聞く。

寝室に入ると、ベッドの上で女性が仰向けに横たわっていた。腕は後ろで延長コードで縛られ、シャツは頭部までたくし上げられている。シーツも含め、彼女の周りは完全に血で染まっていた。四方面全ての壁、天井に血が飛び散り、床は血の海。

被害者は頭部を少なくとも21回は殴られていた。骨が露出していて、ひどい傷が額にあった。殺されのは明らかだ。地元警察は助けが必要なほど恐ろしい事件となる。

被害者はベティー・コーニッシュ42歳。5人の娘を持つ離婚した母親で、看護師として働いていた。

娘達が言う。

「良い母親でした。踊りに行くことが好きで、一緒に出かける友達も多かった・・。」

ベティーは最近、家族の側に居られるよう、この地に戻ってきていた。

ベティーの妹のペギーが言う。

「信じられませんでした。姉が死んだってどういう意味?って。私は気が狂い始めました。姉と一緒に行きたかった。姉の遺体が解剖のために連れていかれるから。私は『彼女がひとりぼっちになる、ひとりぼっちになる』とずっと言っていました。『一緒にいたい』と。」

最初は銃殺だと思われていた。しかし後に検死報告書により、ハンマーの尖った部分で殴られたことが判明する。警察は、犯人は怒っている人物で、被害者が犯人と戦った結果か、もしくは何かに腹を立てていてそれを被害者にぶつけたと見ていた。

襲われ方があまりにも暴力的だったため、隣人が何かを聞いたに違いないと思われた。しかし、悲鳴を聞いた人は誰もいない。変わったことは何もなかった。アパートの中も何も荒らされた形跡はない。バスルーム以外は。シンク周りやミラーからは血液が発見されたため、犯人はそこで洗ったのだろうと推測された。

犯人は外から侵入したかのように見えていた。窓が外されていて、建物の外に立てかけられていたからだ。しかしガラスから検出された指紋は異なるストーリーを伝えていた。

この事件の担当となったデイブ・ヒーター刑事が言う。

「その指紋は誰かが中から窓を掴んだものでした。外から侵入していたら、自分の体を引き込むために敷居を掴まなければならなかったでしょう。体が滑り落ちて木製の敷居に線状痕があったはずです。しかしそれはなかった。」

それはベティーが犯人を知っていたことを表していた。警察は、犯人が近い人物だったために警察を遠ざけるために窓が外されたと考えた。そこでベティーのボーイフレンドに焦点を当てる。

ヒーター刑事は言う。

「彼は死体を発見し、通報した。私達は彼に尋問を始めました。彼はその日釣りに行っていたと言います。そこで別の捜査員が、漁夫が通常使用するバリカンのセットがアパートの真下にあるのを発見しました。非常に疑わしくなりました。」

妹のペギーが言う。

「ショックでしたが、ボーイフレンドなのかもと思いました。彼のことはそれほどよく知らなかったから。」

警察はさらに尋問を続けるが、彼は話すことをやめる。弁護士が警察と話したり協力したりしないように助言をしたからだ。警察はそれ以上のことは聞けなくなってしまう。

この町で80年ぶりに起こった殺人事件。三日以上何も確実な手がかりはなかったため、住民達は不安になる。特にアパートの近くに住んでいた住民は怖がった。

娘達が言う。

「一夜にして人生が完全に一変しました。私にはもう住む所がなくなって、母に育ててもらうこともなくなったのです。何もかも普通ではなくなりました。こんなことをするのはモンスターしかいないでしょう。それが怖いのです。どんな狂った人物がその辺にいるのか分からない。」

アパート近くの住民達は、ポリグラフ検査にかけられることを志願し、全員が合格した。警察は壁にぶつかっているように見えた。

妹ペギーが言う。

「毎日警察に電話をして犯人を見つけましたか?と聞いていました。そんな時ナンシーのことを知りました。」

ナンシー・ウェバーは超能力者。彼女は普通の人が見えないものが見えると言う。

「毎回映像で見るわけではありません。時には音、時には匂い、時には視覚、時には生地の感触だったりすることもあります。」

ベティーが殺害されてから8日後、ペギーはナンシー・ウェバーに電話をかける。

「彼女は何も知りたがろうとしませんでした。そして部屋で話し始めました。」

ナンシーはその時のことを語る。

「彼女が悲劇的に家族を失ったことが、何らかの形で私の中に繋がります。恐ろしく胸が張り裂けるような悲惨さを感じました。彼女は姉を殺されています。私が、『第一容疑者はボーイフレンドです』と言うと、彼女は、『はいそうです』と言います。私は『彼は犯人じゃない』と言いました。ハンマーが見えました。ベッドで縛られている女性が見えます。惨殺されたのが見えて『あれが犯人だ』と思いました。彼女に警察とコンタクトを取るように言いました。『警察に話させて、あなたではなく』と。」

あまりにも恐ろしいビジョンを彼女は警察としか共有できないと感じた。事件のことを何も知らずして、この恐ろしく悲痛な悲惨さをナンシーは感じていた。彼女はペギーの悲しみに同調する。

ヒーター刑事が言う。

「ペギーから電話を受けました。彼女は超能力者と会ったと言います。私は超能力者が電話してきたり、自分は見えると言う時は懐疑的です。何者なのか、何が分かるのか、その人物を信用する前に知りたい。」

しかし今回のケースは、ナンシー・ウェバーだ。

「私は、『OK、話を聞くよ』と言いました。」とヒーター刑事。

彼は以前、ナンシーと他の事件で一緒に仕事をしたことがあった。

ヒーター刑事は言う。

「彼女を現場に連れて行って、何が起こったのか、彼女が感じたことを聞いてみたいと思います。この事件から1週間経っていますが、何も掴めていないからです。」

ナンシーが犯行現場に着くや否や、捜査をひっくり返すビジョンを見る。彼女が1階の踊り場にいた時だった。

ナンシーがその時の状況を語る。

「2階を見ると影が見えます。あれが犯人だ、上に行こうとしている、と思いました。そこに住んでいる、と。2階を指差して、『犯人は2階に住んでいる』、と言いました。ファーストネームはジョンで、ラストネームのイニシャルは『R』。180 cmで赤茶色の髪、右頬の傷、ウエスタンベルトのバックルが見えました。私は性的暴行と殺人を詳細に説明しました。」

2階に住むのは、30才のジョン・リース。農場で働き、ガールフレンドと彼女の子供二人と暮らしていた。(名前もイニシャルも一致)

ヒーター刑事はナンシーに、『犯人が彼なのか正直分からない。彼はすでにポリグラフに合格している』と言う。彼にはアリバイもあった。

遺体の状態とその時分かっていたことから、死亡推定時刻は午前0時ごろ。ジョン・リースは一日中どこにいたのか、アリバイを具体的に話すことができた。就寝する午前2時まで。

ナンシーが言う。

「私は『そんなことは関係ない』と言いました。非常に強い感覚で、強いビジョンだったのです。」

ヒーター刑事は言う。

「ジョン・リースはポリグラフ検査に合格したのに、ナンシーは、『関係ない』と言います。『またポリグラフ検査にかけるなり、やらなきゃいけないことはすればいい。でも彼が犯人だ』と。」

ヒーター刑事は、ナンシーをベティーの寝室に連れて行く。

犯罪現場はまだ片付けられておらず、辺りに血が飛び散っていた。ナンシーがベティーのベッドの横に立っていると、別のビジョンが見え、実際の死亡時刻は推定時刻よりはかなり後だと言う。

ナンシーが言う。

「ヒーター刑事はそれに対して、『No、それより早い時刻だ』と言いました。私は、『No、間違ってる』と言いました。私は死亡時刻に関して非常に強い印象を持っていたのです。犯人に対しても非常に強い印象を持っていました。」

ナンシーの言うことが正しいのか。

娘達は言う。

「それを聞いて、犯人はジョン・リースかもしれないと思い始めました。でも私も容疑者だったし、誰もが容疑者と言えた。ナンシーが主張し続けた時、それを信じ始めました。」

ジョン・リースは警察が現場に到着した時も、刑事が到着した時もそこにいた。遺体が運ばれた時も、常にそこにいた。

そしてナンシーの最終ビジョンが捜査を一変させる。

「金属のバックルがぼやけて見えます。ウェスタン・ベルトバックルです。ジョン・リースにとっては意味と価値のあるもの。」

最初は警察は、ジョン・リースの右頬には傷がなく、ウエスタンベルトのバックルも着けていないと言っていた。それに対し、ナンシーは、「あなたは盲目ですか?戻って見てください。」と返す。

ヒーター刑事はそれが真実か確かめるために捜査員を送る。結果、ベルトのバックルも頬の傷も、ナンシーからの新情報が全て一致していたことから、ヒーター刑事は、ジョン・リースを再度調べることにする。

ヒーター刑事は言う。

「私が監督者として、少なくともこの時点で、すでにポリグラフ検査に合格した男に何時間も費やすことは、自分の中で何らかの正当性を持っていました。上司には狂ってると言われました。」

彼は超能力に賭けることにし、リースに尋問するために再び刑事を送る。

「リースはこの二人の刑事をとても快く思っていて、毎回喜んで話してくれました。彼らはほぼ友達のようになっていた。そのおかげで、より多くのことを話すようになりました。」

トム・トレーナー刑事はリースを捜査した刑事の一人。

「彼は被害者宅にいたかもしれないと私達に思わせる情報をくれました。それは彼がどのように、あるいはなぜそこにいたのか説明できるものではなかった。その間に、正面の窓から指紋が見つかりました。」

事件から11日後、初の確かな証拠が検出される。指紋はジョン・リースのものだと判明。しかし彼は、ベティーとは友達で、自分が下に降りて行った時、窓が動かないと言っていたから、閉まるように手伝った、と言う。

しかし窓は動かなかった。動かなくなったままではいけないので、窓の下に棒を入れて支えなければいけなかった、というのが彼の言い分だった。

そして再び捜査に転機が訪れる。検視官が死亡時刻を修正したのだ。ベティーが死亡したのは午前0時ごろではなく、それよりずっと後の午前3時15分ごろであると。ナンシーが警察に告げた通り、死亡時刻は、リースにアリバイのない早朝であることが分かった。

アパートの中から彼の指紋を採取。しかしまだ逮捕に十分な証拠がない。凶器が必要だった。ナンシーは助けてくれるのか。

ナンシーが言う。

「沼地を見ました。私は言いました。ここで見つかるだろうと。突然この泥水と、その中にハンマーが落ちているのを見ました。彼がそこに落としたのだと思いました。紙に簡単な地図を書いて警察に渡し、ここでハンマーが見つかると言いました。」

ナンシーは森につながる道と小道を描き、この辺りの角が水だと説明。彼女はリースが森にハンマーを投げているのが見えると言った。しかし彼女はその水が森のどこに位置しているのかまでは分からなかった。

同時に、刑事達はリースの話に亀裂を見つけようと彼を追っていた。リースは詳細な情報を話す。コーヒーを淹れた時、朝起きて仕事に行く時、何時に出勤したか。しかし被害者が殺害された時間帯のことは覚えていなかった。

彼はより多くのことを話し始める。その間彼が供述に加え続けていたのは、以前には話していなかった違和感のあるものだった。警察はリースを連行する。

ヒーター刑事は言う。

「我々は知っていること全てをぶつけました。テーブルの周りを歩き回って、彼の隣に座り、彼の目を見て言いました。『ジョン、君がやったことは知っている』と。『君も自分がやったことは知っている。それを話してくれないか』と。20分か30分後、トレーナー刑事から部屋から出てきて、彼が殺人を自供したと言いました。

トレーナー刑事が言う。

「私達が彼が犯人だと知っているのを彼は知っていたと思います。そして何らかの理由で彼はそれを共有しなければならなかった。なぜ、どうやって、想像するのは難しいですが、それが間違っているということに気づいたのだろうと感じました。私達を信用し、自分がやったことを認めなければいけなかった。」

ジョン・リースは、ハンマーで殴ったこと、大量の血の音が聞こえたことなどを供述する。そしてハンマーを自分が働く農場近くに捨てたと話した。

警察が森の中を捜索し、出てきた時、目の前に沼地を見つける。水があるだろうとナンシーが言ったところだった。

ベティーを殺害してから18日後、ジョン・リースは殺人罪で起訴される。

ペギーが言う。

「犯人が捕まって、両親と私は抱き合って飛び跳ねて喜びました。でも姉を取り戻すことはできないことに気づきます。裁判は辛いものでした。毎日そこで、姉を殺した犯人を見なければいけないことが多かったのです。」

のちにリースは後半で無罪を主張する。弁護士はベティーがリースを自宅に招待したと示唆した。リースは多くの時間、頭を手で押さえていた。彼は陪審員に何の表情も見せたくなかったようで、ほとんどの時間、退屈したかのように座っていた。

ペギーが言う。

「彼は常に頭を向けて私達を見ていました。母は泣いていました。涙を堪えるのには辛すぎた・・。彼らは母をそこから出したかったようでした。母が泣いているところを陪審員達に見られたくなかったのです。彼らの決断を揺るがすことになるから。」

陪審員はリースの話を信じていなかった。彼らが信じているのは、午前3時ごろにリースが階下に降りてきて、ベティーの部屋に忍び込み、延長コードで手首を縛り、性的暴行を加えた。そして少なくとも21回はハンマーで殴って殺害したということだった。

5週間の裁判の後、ジョン・リースは、第一級殺人罪を含む11件の罪で全て有罪判決、懲役110年の判決を受ける。

娘達が言う。

「彼にはもっと反省の気持ちを表してほしかった。一度もなかったから。もし彼が何か言うとしたら、私達を傷つけることでしょう。彼は45年間で仮釈放のある終身刑を2回受けるほど狂った男です。つまり彼は72歳になるか死ぬか・・。彼が刑務所で死ぬように戦うつもりです。」

ナンシーは2階に住む男がポリグラフ検査に合格したと知ってからも彼が犯人だと譲らず、自分のビジョンを信じ続けた。彼女は彼の名前がジョンでイニシャルがJRであることも知っていた。彼が大きなウェスタンベルトバックルをしていることも、凶器の方向も警察に知らせた。

ヒーター刑事は言う。

「ナンシーはおそらく私がリースの元に戻った原動力の一つです。私は彼を諦めるつもりだったが、彼女は強く固執していました。」

ナンシーが言う。

「私にできる建設的なことについては何でもしつこいです。ベティーの魂と彼女の家族を助けるためです。」

ヒーター刑事は最後に言った。

「超能力者が見るものをスピリチュアルと呼ぼうが、何と呼ぼうが、信じることができなければいけません。超自然的な科学なのかもしれないし、超能力者が何をし、どのように行うのか、私にはどう説明したらいいのか分からないが、私が知っているのは、それが機能するということです。」

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