見出し画像

【超能力捜査】霊視で解決・アメリカ森林5歳児行方不明事件


1975年夏、アメリカ・ニューヨーク州北部の湖。メアリー・ケネディは幼い息子二人、婚約者と彼の娘二人でのんびりした1日を過ごしていた。

ひと泳ぎした後、婚約者のフレッドが子供達4人を森の中に散歩に連れて行くことにする。

メアリーはその日のことを振り返る。

「なぜ一緒に行かなかったのか覚えてません。皆いなくなって私は横になって本を読んでいたと思います。そしてフレッドと子供達が帰ってくるのが見えました。みんな汗をかいていて楽しそうでした。でもトミーが見えなかった・・。」

トミーはメアリーの次男で5歳。

パニックになったメアリーがフレッドにトミーはどこかと聞くと、「君のところに帰したよ」と言う。フレッドによると、トミーは靴を履いておらず、足が痛いと言っていたので母親の元へ帰したのだと言う。

「出発した時から不機嫌で歩きたくないようだったので私の元へ帰したと言うんです。私ならそんなことは絶対しません。なんてことなの!『私の息子はどこ?』と、すぐ湖の周りを走って探し始めたのを覚えています。息子の名前を叫びながら。」

彼らは歩いた道を戻りながら必死に探す。もしかしたら隠れているのかもしれない。トミーはいたずらっ子。木の家を作ったり冒険に出かけたりと、絶えず動き回っているような子だった。

2時間探し回ってもトミーの痕跡を見つけられない。心配に拍車をかけるように雷雨が近づいてくる。警察に電話する時だと感じた。午後4時になっていた。

メアリーはその時のことを語る。

「緊急車両が到着するのを覚えています。彼らは芝生の上に司令センターを設置していました。すべての車に双方向ラジオが搭載されているようです。一般の人々が到着し始めたのを覚えています。皆グループになって立っていて、説明を受け、どこに行くべきかを指示されていました。」

地元の緊急部隊の一人で、捜索の指揮を執ることになるデイブ・レッドシッカーが言う。

「周囲の消防隊にも連絡しました。キャンプ場の周りでも湖の周りでも誰も彼を見なかった。あとは探しす場所は限られてくる。森か湖です。」

メアリーが言う。

「彼らがボートを運んでくるのが見えました。それが意味することはただ一つです・・。」

ダイビングチームがトミーを探すために水の中へ入る。

キャンプ場の近くは枯れ木が多く、切り株がたくさんあり、そこに入ると絡まれやすく、水面に戻れなくなる可能性があった。

メアリーが言う。

「とにかく怖かった。湖のほうを見ないようにしました。見たくなかった・・。」

ダイビングチームは湖の周囲も捜索するが、トミーの気配はない。嵐はさらにひどくなってきた。そのため水上捜索を中止せざるを得なかった。

トミーがいなくなってから4時間が経過。

メアリーは言う。

「その頃には土砂降りになっていました。 激流のように。冷たい雨が降っている中、どこか森の中で水着しか着ていない5歳の子供のことを考えています。息子がとても怖がっているだろうと。」

約13km離れた場所で、超能力者のフィル・ジョーダン25歳はトミーの件を聞く。

「大家から男の子が湖で行方不明になってると聞きました。湖で溺れたようだと。どこからともなくビジョンが見えてきました。その男の子がとても大きな木の下に横になっているのが見えます。ということは、彼は森の中にいて湖にはいないと思いました。」

トミーは生きているのか。超能力者は正しいのか。

嵐は酷くなり夜になっていた。雷も稲妻も伴う豪雨となり気温も下がる。

地元の新聞記者で、トミーの父親ドン・ケネディーも駆けつける。遠方に行っていたがすぐに戻ってきた彼も必死に息子を探し始める。

雷雨はさらにひどくなり、捜索する人々の身に危険が及ぶ可能性があった。デイブは捜索を中断せざるを得なかった。

メアリーは言う。

「頭では理解できます・・。でも5歳の息子がたった一人で嵐の中にいるんです。」

トミーの両親は必死だった。そこで父親のドンが地元の超能力者について自分が書いた記事を思いだす。それは偶然にもフィル・ジョーダンだった。

メアリーは言う。

「幼い息子がいなくなってるんです。私に言わせれば、国家警備隊を連れてきて。息子を探してくれる人なら誰でも連れてきて。そんな気持ちでした。」

フィルが当時のことを語る。

「ドンから電話があったことには驚きませんでした。家族の誰かから連絡が来るかもしれないと思っていましたから。彼は私に湖に来てほしいと懇願します。トミーを探すのを手伝うことはできるが今はできないと言いました。その時点で行ったら、他の人達の考えに汚染されてしまうだろうと分かっていたからです。サイキックである自分自身に従わないといけない。だからドンに、『本当に申し訳ないけど、トミーを見つける手がかりを見逃したくないので、夜明けまで待たなければいけない』と言ったのを覚えています。」

捜索は中断され、超能力者からは湖に来るのを拒否されたメアリーは希望を失いかけていた。

「息子が寒がっていないか、怖がっていないか、考えていました。そして死んでいるのではないか・・と。」

しかし超能力者フィルは既にこの件に取りかかっていた。

「聖書をざっと読み飛ばすと、何かを示唆されることがあります。その時は、子供たちが森に行くことについてのフレーズが書かれていました。」

突然、フィルにトミーがいる場所の正確なビジョンが浮かんでくる。彼はその湖へは行ったことはないが、その場所の地図を描きはじめた。

「最初に分かったのは、自分の左側に3艘のボートがあるということです。それから湖の向かいに建物が見えました。その建物の裏から森に入らなければいけないと分かっていました。空き地が見つかるまで。それを全部地図に描きました。」

この地図でトミーは見つかるのか。

翌朝午前5時。嵐は治まっていた。トミーがいなくなってから16時間が経過していた。メアリーはその日夕食を食べたかどうか、何を喋ったか覚えておらず空白だと言う。

捜索が再開されると、何百人ものボランティア達が何マイルも先から集まる。何台もの消防車に消防隊員、そして救急車も待機していた。集まった人々に男の子の名前を伝え、湖の周りから森の中のエリアへと探してもらう。

メアリーはこれほどたくさんの人が集まってくれたことが本当に嬉しかったと言う。

超能力者フィルも到着する。フィルは捜索の責任者であるデイブに描いてきた地図を見せる。二人は友人でもあった。

デイブは言う。

「衝撃でした。シンプルな地図だったけど、彼が描いたものが本当にその場所にあったのです。」

フィルが言う。

「私が描いたとおり3のボートがありましたね。その向かいには大きなテントが見えます。そこで私は言いました。あれが建物に違いない。テントの裏から行こう、と。」

しかし捜索する人々はフィルは間違っていると思っていた。彼が言っている場所はまだ捜索していないエリア。そこは最も辺鄙な場所、あるいはこの男の子が入り込む可能性が最も低いと緊急部隊が判断した地域だったからだ。

しかしフィルにはその地図が男の子の居場所に導くという確信があった。捜索に入る前に彼はトミーの衣服はあるかと聞く。メアリーがスニーカーでもいいかと聞くと彼はもちろんと答え、それをベルトに巻きつけた。トミーを見つけることに集中するためだ。

250人の救助隊員が湖の南側を捜索した。トミーが最後に目撃された場所に一番近いエリアである。

一方、フィルとボランティアの男性二人は、フィルが描いた地図とトミーの靴だけを頼りに反対方面へと向かう。

フィルはこれまで、生死に関わる状況では自分の超能力を試したことはなかった。その湖に行ったこともない。しかし地図についての自信だけはあった。

フィルは言う。

「見知らぬ男性二人と自分だけでした。トミーを見つけることは分かっていました。1時間以内に見つけることもね。度々立ち止まっては自分自身に、まっすぐ進むんだ、次は左だ、ここを少し上がって右に行く、と言っていました。ずっと独り言を言っていたのを覚えています。そうすれば他の人の考えをブロックできるからです。起伏の多い地形で、ハイキングコースはありましたが上り坂でした。たくさんの木が行く手を阻むように倒れていて危険な道です。」

靴を履いていない5歳児がそこまで遠く迷い込むことはあるのだろうか。

フィル達はさらに森の奥へと進んでいた。トミーがいなくなった場所から3kmほどの場所だ。その時点で何も判明していなかった。男性の一人が疑問を持ち始める。彼はフィルに「あなたが説明しているのは全て反対方向だ」と言う。

何百人もの他のボランティア達もトミーを見つけられないでいた。

メアリーが言う。

「何も見つからなかった。まるで消えてしまったようでした。」

フィルはビジョンを保つために奮闘する。       

「そんな時は地図を触れて、スニーカーをぎゅっと握って、言いました。トミー、今向かってるよ、君を見つけるからね、と。」

しかしその超能力でさえ自分の地図に疑問を持ち始める。フィルが、他のエリアを探してから後で戻ってくるべきかもしれない・・と言おうとした時だった。子供の足跡を見つけたのだ。

「目の前にありました。その足跡を見て、彼はこの近くにいる、と思ったら鳥肌が立ちました。」

その足跡はフィルに正しい道を進んでいることを確信させる。

「そこで他の二人に、今度は空き地を探さなくてはいけないと言いました。そう遠くはないはずだと。それからすぐに空き地は見つかりました。空き地の入り口に立って、さて次はどっちに行く?と自分に言っていました。地図を時計のように見ていて、11時の方向に行かなければと思った。そのエリアに行くと、森の中を通る別の小道がありました。」

峡谷を登る時、フィルは他の二人に遅れをとっていたが、彼らがトミーの名前を叫んでいるのは聞こえていた。そしてそれに対する返答が・・。

「助けて!僕はここだよ!」

トミーの叫び声が聞こえる。助けを求めて叫んでいる。彼らは声のする方へ走っていった。

大人になったトミーが当時を語る。

「自分の名前を呼ぶ声で目覚めました。『ここだよ、僕はここだよ!』と叫び始めました。彼らが満面の笑みを浮かべて私に向かって来るのが見えました。見つけてくれてとても安心しました。他の二人がフィルにおめでとうと言っていて、すぐに自分を見つけてくれた人はこの人なんだと分かりました。」

フィルが当時の心情を語る。

「私はただその場に座り込んで、ひざまずいて、神が私にこの能力を与えてくれたことを感謝しました。そして泣きました。咽び泣きしましたよ。とても感動的な瞬間でした。トミーは自分が悪いことをしたのではないかと心配していました。怒られるのではないかと。全く逆でしたけどね。皆がただ感謝していました。」

トミーがいなくなってから16時間以上経っていた。同行した男性の一人がフィルの予言を思い出させる。

フィルが言う。

「彼が『58分』と言うんです。私が何のことか聞くと、『1時間以内に男の子を見つけると言ってましたよね。探し始めてから58分です』と。」

彼らはトミーを近くの道路まで運び出す。救急車が到着し、トミーが無事だという知らせが湖の人々に無線で伝えられる。

メアリーがその時の気持ちを語る。

「誰かが私のところに来て、トミーが見つかったと言いました。まるで天国が開いたかのようでした。どんなに感謝したことか・・。それとほぼ同時に・・息子がそこにいました。」

皆が拍手をして喜んでいた。

2日にわたる苦悩の後、母と息子は再会する。

「トミーは、『僕キャンプしてたんだよ、ママ』と言いました。『棒の横で寝たんだよ』と。奇跡です。 彼が見つかったのは奇跡。 彼が無事だったのも奇跡です。」

フィルのビジョンは最初から当たっていたのだ。トミーは湖の近くには行っていない。むしろ森の奥深くへと行っていた。

トミーは言う。

「母の元へ戻り始めてすぐ泣き始めました。それが道に迷う一因になったと思っています。道の目印に注意を払っていなかったのでしょう。ぐるぐる回り始めました。それからすぐ雨雲が押し寄せてきました。そして最初の稲妻が落ちた。それで怖くなって走り始めました。走って走って走り続けました。」

ずぶ濡れで、恐怖で、疲れ果てていた。そこで彼は母親が言ったことを思い出す。メアリーは子供達に、雷が鳴っているときは水に近づかないこと、保護された場所を見つけることを教えていた。

「空き地みたいなところを見つけて、いい感じの大きな棒を見つけました。襲ってくる動物を避けるために。」

フィルはその空き地を地図に描いていた。

トミーは言う。

「その時は完璧に疲れ果てていました。だから眠りにつくのにまったく問題はありませんでした。」

250人の救助者が見つけられなかったのに、なぜ雑な地図を持った超能力が見つけられたのだろうか。

デイブは言う。

「フィルがいなかったら、トミーを見つけるまでにものすごく時間がかかっていたか、あるいは探せずに終わっていたでしょう。」

メアリーは言う。

「フィル・ジョーダンがトムの命を救ったと確信しています。」

フィル・ジョーダンが超能力を使って少年を発見したというニュースは大きなニュースになった。超能力を利用する習慣のない地元の保安官でさえ彼の功績を認めている。

彼はフィルに、他の事件があった場合に法執行機関と協力できるようにしてほしいと言う。

デイブが言う。

「当時フィルはニューヨーク州で唯一私が知る超能力者でした。」

湖でのフィル・ジョーダンの驚くべき功績は、アメリカ中の超能力者が警察と協力して困難な事件を解決する道を切り開いた。

フィルは言う。

「当時、超能力者は警察の仕事にわずかに使われ始めたばかりだったので、代理に就任できたのは本当に光栄でした。」

32年経って、フィルとトミーは再会する。二人は大きな抱擁を交わす。二人とも嬉しい笑顔。

フィルはいまだにトミーの靴を持っていた。

フィルが言う。

「ベルトに巻き付けて、いいか、トミー、どこにいるか教えてくれ、と言ってたんだ。その日のことは覚えてるかい?」

トミーが答える。

「覚えてますよ。森の中を抜けて走ったことも稲妻も。そして棒を見つけた。寝るために。」

フィルが「熊の音が聞こえたんだって?」というと、トミーは「そうですよ、5歳の子が棒を持っててもどうしようもなかったんんですけど」と笑って返す。

トミーは続ける。

「あなた方の声が聞こえて目覚めた時のことも覚えてます。あの場に居てくれなかったら、骨を探すことになっていたかもしれません。」

最後にフィルは言った。

「自分自身にその能力を証明した日でした。それ以来、私がやっていることをできないなんて言う人は誰もいません。」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?