この季節…桜だった

此処は、今まさに蜜柑の花が咲き風にのって花の香りが彼方此方を漂っている。
畑に居れば、その香りを感じられる。
蜜柑の花の香りは、茉莉花と良く似ている…この歳になって初めて知った。

去年移住してきたこの時期、花が殆ど咲いておらず…ゆえに今年の蜜柑(たんかん)の実りは、それほど多くは無かった。それでも各家庭で食べるには十分…ご近所や友人知人同士が互いにお裾分けする。畑があればもちろんのこと庭であっても集落には蜜柑の木がたくさんある。

甘く瑞々しい蜜柑を心置き無く食べることが出来る環境は、とても有り難いと思う。
畑で食べたい野菜を作り、
安心して大きな深呼吸出来て…
難しいコトは、出来るだけ考えない。
ややこしくしない…
そんな生活を心掛けている。

そう思いつつ最近、少し感傷的。
東京の桜を見ることが出来ない所為？
なんだか寂しくて恋しいと思うのは、桜を感じられない所為？
明確な四季を何時も五感で感じていた。
桜の時期…桜は、身近な所に美しく可愛く凛々しく…咲いていた。
去年は、四月に半月戻ったから桜吹雪が舞い散る様を見ることが出来た。
“これが東京で見る最後の桜かもしれない”そう思った。
たった一年経った今だけれど…
尚更、恋しいのかもしれない。

此処で咲くのは、一月の終わりから咲く緋寒桜というマゼンダピンクの桜。
東京で見るソメイヨシノとも枝垂れ桜とも八重桜とも違う。

生きてるうちに故郷の桜を見物に帰ったりするのだろうか？
それとも此処にすっかり馴染み島人となり、今思う恋しい気持ちも気恥ずかしい思い出になるにだろうか？

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