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小説『ヴァルキーザ』 12章(3)


その日の夜、ラフィアが旅のつかれでひどい熱を出して寝込んでしまった。
そこでアム=ガルンが看病かんびょうしながら、ラフィアの病状びょうじょうを調べた結果、治るには十日ほどの静養せいようが必要だと分かった。
ユニオン・シップは、トーダンの宿屋「水車亭すいしゃてい」に、予定していた日数分以上の宿代を前払まえばらいして、ラフィアが治るまで滞在たいざいし続けることになった。

この十日間の長期休暇ちょうききゅうかの間、グラファーンは村の人々にいろいろ話しかけ、情報収集じょうほうしゅうしゅうがてら、旅のねた話を集めた。

イオリィは村の小物屋を回って買い物をした。

ゼラは自室にこもって、エルゴッド城にた時に始めていた魔法薬の研究を再開し、それに没頭ぼっとうした。

エルハンストはラフィアと同じように旅の疲れが出ていたので、大事をとって、自分の部屋のベッドで寝転んで休みを取っていた。

アム=ガルンはラフィアの看病に専念した。

長休みの決まった日の始まりの晩、グラファーンはイオリィと、宿の1階のカウンター席で一緒に酒を飲み、おしゃべりをした。

そのときイオリィはグラファーンに、小物屋で出会ったペンシュミオンという名前の若い店員が自ら、ウィスリーのことを恋いしたっているとこぼしたことを話した。
すると、グラファーンはその話に興味を持ち、ペンシュミオンに会いたくなった。

翌日、イオリィの案内で、ペンシュミオンのつとめている店を訪れると、その日、店は臨時休業りんじきゅうぎょうをしていた。
そこでグラファーンはイオリィとともに、通りにいる近所の人々をたずね歩き、ペンシュミオンの家を聞き出すと、彼の家を訪問ほうもんした。

ペンシュミオンはおだやかな性格の好青年こうせいねんで、母親のレイシルとともに、グラファーンとイオリィをあたたかくむかえ入れてくれた。

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