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短歌

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2021年3月の記事一覧

短歌2

短歌2

もぎ取った桃の実一つ僕らには過ぎた持ち物それ一つさえ

飼い犬に愛されなかった人たちが行けないところそれが天国

文学のようなツラした青年に群がる少女たちという茶番

自撮りにも鮮度ってあるの賞味期限切れたらただの生ゴミよ棄てて

亡くなった人の肉声を聴く時の気持ちだよあれを愛惜と呼ぶ

自意識の処理なら甘くしておいた誰でもいいから見破ってよ、ほら

もし仮に嘘であったとしても尚、柔らかな肌の素直

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短歌1

短歌1

総レースに編まれた君の心臓を纏って僕は完全になりたい

「あなたには分からなくていい苦しみよ」と静かに言った 柔らかな拒絶

土星にも六月があればよいのだけど 式場予約入れておくから

初めから何もなかった あったことにしていただけだ なかった、何も

バイト帰り天使のようなものを見た過労も悪くないなと思った

花を見る美しさから花を見る君への憎悪から花を見る

午睡から目覚めた夕の窓辺には生き物

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