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孤独と箒星《短文》
不安はどこから来るのだろう。
大体、孤独のせいだと思っている。
独りぼっちの世界の中で
己が作り出した呪いにかけられて
隅っこで泣いている自分がいる。
泣いているのは十歳の自分だった。
何も分からず泣いている。
呆然と絶望している子どもがそこにいる。
呪いなんてちっぽけなものなんだ。実際。
そんなことは分かっている。
本人が自力で気付けないのなら
大人になった君が教えてやる必要がある。
世界に独りぼっちになることなど、ないことを。
大人になった君が差し出す必要がある。
あの頃の君に差し伸べられなかった手を。
孤独は彗星のようだ。
長い尾をたなびかせながら
夜空を駆け抜けてゆく箒星。
塵を輝かせて一人で旅をする哀しい氷の星。
私たちが孤独に泣くとき、
泣いているのは今の私たちではない。
子どもの頃の私たちが、心の中で、
ずっと何十年も泣き続けているのだ。
長い時間をかけて哀しみが尾を引く。
私たちの孤独は箒星となり、この夜空を走る。
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