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脈絡もなく頭に浮かぶ単語は、 僕が高校生だった頃の言葉ばかりで 思い出用の脳にも、トレンドのようなものがあるのかと考えていた 記憶の回転周期 数年経つと僕の脳とい…

一丸
2年前
1

なんだか色々と、満たされるような事があったおかけで 言いたいことを忘れてしまった。 いや、どうも この冬の気温がそうさせるのかもしれない。 数ヶ月前は、ぬるい気温…

一丸
2年前
1

スロウテンポ

数週間前から続く左胸の痛みのせいか 先ほど満腹まで食べたコンビニ飯のせいか その両方、あるいはどちらでもない理由で 締め上げるような息苦しさに見舞われている。 体…

一丸
2年前
1

To Do リスト

「都会に行かないと」という強烈な使命感に襲われて 友人との約束もそこそこにバスに飛び乗った。 結果としては、本当に良かった。 世情も、僕の現状も、おおよそベストな…

一丸
2年前
1

副音声

真面目に生きなきゃ、真面目って何だ? みんなすごい、本当にすごい 馬鹿なのでありったけを出してしまう。 ポケットに入っているものを全部地面に広げて どれか気に入っ…

一丸
2年前

遠望

魚を飼いたい と思っているのだけれど 魚が飼いたい と思う気持ちだけが先走ってしまって どの子を連れて帰っていいのかが分からなくなって その結果何度もお店に行って …

一丸
2年前

But who to

なんだか、何かが言いたくなって それでは、と文字に書いてみるけれど その実 言いたいことなど無いので 結局パタンと画面を閉じて床に転がり込んでしまう 何かに対して…

一丸
2年前
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永い言い訳

お酒を飲む、ご飯を食べる、連絡を取る 処方箋のように、律儀に、毎日飲み込んでいると、 効き目も鈍ってきたように感じる したいことがしたい 飲みたいお酒を、少しだ…

一丸
2年前
1

側面

1歩ずつ、逃げ道を塞がれているような 正確には塞がれているというより、そこに道が無かったといった感じだろうか。 うん。しっくりくる。 こうして言葉を文字にして書い…

一丸
3年前

New scream

情けない話だけど、眠れないし 体が言うことをきかないので病院に

500
一丸
3年前

底冷え

今の方が良い、今もそんなに悪くない  なんて言葉を慣れたように繰り返すうちに 緩やかな右肩下がりの弧を描いた曲線は、 地面に ヒタリ とついてしまったようだ。 誰か…

一丸
3年前

For you who died

優しさにも似た諦めと退屈を 人に貸し付けるような生活だ 日に焼けたラミネート・フィルムのようなそれは やがて パラッ という音を残して剥がれ落ちる。 均等に焼けた…

一丸
3年前

YOUTH

この間、今泉力哉監督作品の「あの頃。」を観てきた 今泉力哉監督作品が好きだ 「愛がなんだ」「パンとバスと2度目のハツコイ」「退屈な日々にさようならを」 話を通して…

一丸
3年前

山間の少女

家族や他人の 「なぜ田舎にいるのか」という質問。 「僕には田舎が合っているので」の答えがデフォルト。 細かな説明は面倒で、何より ここにいる理由は僕にも良く分かって…

一丸
3年前
1

早鐘

不安が 開けることを後回しにした封筒のように 意識を埋め続けている。 印象はミリ単位で精査され、 僕の内側の収縮は、外側の1mmを変えることに十分間に合ったらしい。 …

一丸
3年前
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141

静かな夜。 穏やかさを含んだ柔らかい夜ではない。 キィ、と線が張り詰めているような夜。 かろうじて鳴るのは電子レンジのブゥゥンという音と 水槽の濾過槽が落とすパタ…

一丸
3年前
2

脈絡もなく頭に浮かぶ単語は、
僕が高校生だった頃の言葉ばかりで
思い出用の脳にも、トレンドのようなものがあるのかと考えていた

記憶の回転周期

数年経つと僕の脳というプラットフォームから上空に射出され
公転軌道を描きながら記憶の宇宙を漂う

年に数回、僕の脳の回転と重なった時に
上空の記憶が、日食のように重なって入り込む。

戦争が始まった。僕は高校の歴史の先生のことを思い出していた。
ニュース

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なんだか色々と、満たされるような事があったおかけで
言いたいことを忘れてしまった。

いや、どうも この冬の気温がそうさせるのかもしれない。
数ヶ月前は、ぬるい気温に体が溶け込んでいたので
ポタっと落ちた感情を波紋のように広げられていたけれど、
どうやらそうもいかなくなったらしい。

数年ぶりに、地元の友達に会う約束を取り付けた。
取り付けた。事の言い出しっぺは僕。
数年来、やり残した宿題のように

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スロウテンポ

数週間前から続く左胸の痛みのせいか
先ほど満腹まで食べたコンビニ飯のせいか
その両方、あるいはどちらでもない理由で
締め上げるような息苦しさに見舞われている。

体も、気持ちも、借り物のように重たい日々が続き、
吸った量よりやや多い溜息を吐き続けている。
秋はどうやら過ぎたらしい。

知らない間に季節は変わり
見知った気持ちも様子を変えている。

ぐったりとした穏やかさと駆り立てられるような焦燥感

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To Do リスト

「都会に行かないと」という強烈な使命感に襲われて
友人との約束もそこそこにバスに飛び乗った。

結果としては、本当に良かった。
世情も、僕の現状も、おおよそベストなタイミングとは
言い難い時分だったが、本当に良かった。

二重の意味で一人だった。
僕を知らない街で、僕が知らない街。
完全に理にかなっていて、なんの矛盾もない。

判で押したような生活。イメージの鈍化
共感は少数単位でその強まりを見せ

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副音声

真面目に生きなきゃ、真面目って何だ?

みんなすごい、本当にすごい

馬鹿なのでありったけを出してしまう。
ポケットに入っているものを全部地面に広げて
どれか気に入ったものはありませんかと言いながら
地面に這いつくばっている。

上からの冷ややかな目線に気がつきながら
用意した顔を上げたときには誰もおらず、
アハハと呟いて、顔をくしゃくしゃにしながら
砂だらけの持ち物をまたポケットに仕舞い込む。

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遠望

魚を飼いたい と思っているのだけれど
魚が飼いたい と思う気持ちだけが先走ってしまって
どの子を連れて帰っていいのかが分からなくなって
その結果何度もお店に行って 水槽の前でウンウン唸るだけの日が続いている

魚は、当然家具でも消耗品でもないので
僕が連れて帰ろうが帰らまいが同じような時間で死んでしまう。

それでも 一度手を伸ばすなら、思い出すための余白くらいは作っておくべきだ
なんて勝手に思っ

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But who to

なんだか、何かが言いたくなって
それでは、と文字に書いてみるけれど
その実 言いたいことなど無いので
結局パタンと画面を閉じて床に転がり込んでしまう

何かに対して後ろめたい気持ちがずっと僕にまとわりついている。
この心持ちをあえて言葉にするならば

””男は、呼ばれてもいないパーティに自ら名乗りをあげて参加したが、
角ばった部屋の隅 鈍色に貼られた壁紙の傍で嘲笑を浮かべるだけ。
そのくせ人より

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永い言い訳

お酒を飲む、ご飯を食べる、連絡を取る

処方箋のように、律儀に、毎日飲み込んでいると、
効き目も鈍ってきたように感じる

したいことがしたい

飲みたいお酒を、少しだけ飲みたい
お腹が空いて、椅子に座って食べたい
会いたい人に、会いたいと言いたい
夜は、疲れて眠りたい

後付けの理由で納得したような気持ちになるだけの
永い言い訳が、いつまでも続いてしまう

側面

1歩ずつ、逃げ道を塞がれているような

正確には塞がれているというより、そこに道が無かったといった感じだろうか。
うん。しっくりくる。

こうして言葉を文字にして書いていると、
あぁ、こっちの方がストンと文面に落ち込むな、という感じの
気持ちになることがある。

はじめからそこにあったような、滞りなく全体がうまくいっているような
そんななだらかな流れがあるような気がする。
音楽、人、服装、言葉、声

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New scream

情けない話だけど、眠れないし
体が言うことをきかないので病院に

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底冷え

今の方が良い、今もそんなに悪くない 
なんて言葉を慣れたように繰り返すうちに
緩やかな右肩下がりの弧を描いた曲線は、
地面に ヒタリ とついてしまったようだ。

誰かの大事なモノを掠め取るような生活
写真を撮ることすら憚られる
できれば、写真を撮ってみたい。あるいは、一枚だけ、写真を撮って欲しい。

太宰治の『ヴィヨンの妻』の
「人間365日、なんの心配もない日が、一日、いや半日あったら、それは幸

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For you who died

優しさにも似た諦めと退屈を
人に貸し付けるような生活だ

日に焼けたラミネート・フィルムのようなそれは
やがて パラッ という音を残して剥がれ落ちる。
均等に焼けた壁に、不似合いな白が姿を現し
そこに何かがあったことだけを静かに伝えている

言葉や態度とは裏腹に、自然に心が離れていく

あぁ、今から僕はこの人と
やがて、会うことが減って
遂には、会うことが無くなってしまうのだろう。

人から離れる

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YOUTH

この間、今泉力哉監督作品の「あの頃。」を観てきた

今泉力哉監督作品が好きだ
「愛がなんだ」「パンとバスと2度目のハツコイ」「退屈な日々にさようならを」
話を通して、一貫してうなずけるワケじゃない
わかるような、わからないような、退屈なパートが続くこともある

ただ、ぼんやりした面持ちで見ていると
ワンフレーズでグッと心を作品に引き戻される瞬間がある。

そのとき
あぁ、この1言を聞くために僕は1

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山間の少女

家族や他人の
「なぜ田舎にいるのか」という質問。
「僕には田舎が合っているので」の答えがデフォルト。
細かな説明は面倒で、何より
ここにいる理由は僕にも良く分かっていない。

ただ、そこにいたくない理由がある。

僕の生活を取り巻いていた「上手に生きる人」
人並みに泣いて、悩む人
「打ち込めるものがあっていいね、私には何もない」と言った人

持ち合わせていないものをあたかも持っているように担ぎ上げ

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早鐘

不安が
開けることを後回しにした封筒のように
意識を埋め続けている。

印象はミリ単位で精査され、
僕の内側の収縮は、外側の1mmを変えることに十分間に合ったらしい。

顔貌は大きく変わらないままに、
何か本質のような輝きが失われてしまった。
いびつにへこんだ鈍い銀色のそれは、どうやら自信だったものらしい。

井伏鱒二の『山椒魚』

—————————————————————
 彼は 彼自身の背中

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141

静かな夜。
穏やかさを含んだ柔らかい夜ではない。
キィ、と線が張り詰めているような夜。

かろうじて鳴るのは電子レンジのブゥゥンという音と
水槽の濾過槽が落とすパタパタという音。

パタパタ。ブゥゥン。この定位置にある音に時折、
ザラリ と僕が動く音だけが乗り
またパタパタ、ブゥゥンと音が残る。

定位置にある僕。

その上を ふ、と通り過ぎる人。

重なる僕の両肩の斜面を、雨と一緒にズルりと流れ

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