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Netflix で話題の EU ドラマ作品の技術解説 Lupin|Money Heist|Dark

EU 圏の映像制作の拠点はスペインになる?!韓国をはじめとした “非英語圏” のドラマ作品の注目度が高まる中で、スペイン、ドイツ、フランスなど EU 諸国で製作された話題の Netflix ドラマ作品の技術解説をしていきます。

当記事は、動画制作のオンラインサロン 『UMU TOKYO』で公開されたものです。限定公開を目的に有料化しています。公開日:2022.2.23
https://community.camp-fire.jp/projects/view/231393

1. Netflix の視聴者数ランキング

Netflix ではどんな作品が人気があるのか?

まずはじめに、ハリウッドをはじめとする “英語圏” で製作された Netflix オリジナルドラマの視聴数の統計を見てみると、以下の感じになっています。視聴数は Netflix の会員数に比例して年々増え続けているため、上位にはここ数年の作品が並んでいます。

英語圏の Netflix オリジナルドラマの視聴者数
1. ブリジャートン家 Season 1(8,200万人)🇺🇸
2. ウィッチャー Season 1(7,600万人)🇺🇸
3. メイドの手帖(6,700 万人)🇺🇸
4. Sex / Life(6,700 万人)🇺🇸
5. Stranger Things Season 3(6,400万人)🇺🇸
6. Tiger King(6,400万人)🇺🇸
7. The Queen’s Gambit(6,200万人)🇺🇸
8. Sweet Tooth(6,000万人)🇺🇸
9. Emily in Paris(5,800万人)🇺🇸
10. Fate: The Winx Saga(5,700万人)🇬🇧
※ 2021年10月時点での公開後 28 日間の視聴者数
出典:What's on Netflix

一方、アジア圏、EU 圏など “非英語圏” の Netflix オリジナルドラマの視聴数を見るてみと、以下の感じになっています。

非英語圏の Netflix オリジナルドラマの視聴者数
1. イカゲーム(1.4億人)🇰🇷
2. LUPIN Season 1(7,000万人)🇫🇷
3. ペーパー・ハウス Season 5(6,900万人)🇪🇸
4. ペーパー・ハウス Season 3(6,500万人)🇪🇸
5. 映画:The Platform(5,600 万人)🇪🇸
6. そしてサラは殺された(5,500万人)🇪🇸
7. LUPIN Season 2(5,400万人)🇫🇷
8. 映画:Blood Red Sky(5,300万人)🇩🇪
9. 映画:薄氷(4,700万人)🇪🇸
10. バーバリアンズ(3,700万人)🇩🇪
※ 2021年10月時点での公開後 28 日間の視聴者数
出典:What's on Netflix

2019 年公開の韓国ドラマ『イカゲーム』が、Netflix 史上最高となる 1.4 億人という圧倒的な記録を残していますが、スペイン語の作品の人気も高く、英語圏の作品に迫る勢いであることが分かります。また日本の作品では、2020 年公開の『今際の国のアリス』が最高視聴数(2,200 万人)を記録しているようです。

この記事では、年々その注目度が高まっている “非英語圏” の Netflix オリジナルドラマより、EU 諸国で製作された話題の 3 作品の技術解説をしていきたいと思います。

2. LUPIN

2021 年に配信を開始したフランスの Netflix ドラマシリーズ『LUPIN』は、無実の罪で親を亡くした主人公アサンが、怪盗紳士ルパンになぞらえた犯行により復讐を果たすミステリー作品です。この作品は、非英語圏の Netflix オリジナルドラマとしては『イカゲーム』に次ぐ、歴代 2 位の視聴者数を記録した EU 最大のヒット作となっています。

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📷  Lupin Part 2|Behind The Scenes|Netflix

映画情報サイト IMDb によると、カメラは ARRI ALEXA LFALEXA Mini LF、レンズは P+S Technik 社の Technovision 1.5X(アナモフィックレンズ)を使用しているようです。この Technovision 1.5X は、1970 年代のオールドレンズをリハウジングした CIne-Mod 版で、35mm フルサイズ対応の貴重なモデルとなっています。

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📷  The multiple faces of Assane Diop|Lupin|Netflix

作品全体を通して、ステディカム、カメラカー、テクノクレーン、カメラドリー(Fisher Dolly)などグリップ機材をふんだんに活用した、躍動的なカメラワークが印象的です。下の画像では、ステディカム・オペレーターが大型クレーンに乗り、カットを割ることなくクレーンダウンから地上の移動ショットまでの一連をシームレスに撮影する様子が見られます。

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📷  Lupin Part 2: Settling the Score|Behind the Scenes|Netflix

Behind The Scenes 映像を見るかぎり、ジンバルは全く使われていないようですが、この点は(重量のある)アナモフィックレンズを使用しているためと推測されます。

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ルックに関しては、アナモフィックレンズによる芯の弱いソフトな解像感が特徴的で、積極的にフレア光を活かしたり、シャドウ部に色みを加えるなど、いわゆる “シネマティック” な表現に特徴があります。

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