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映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』感想文


※このnoteはネタバレを含みます 
今日の映画感想文は『DESTINY 鎌倉ものがたり』です。

時間:2時間9分
ジャンル:コメディー, ロマンス, ファンタジー

こんな奥さんになりたい

鎌倉に暮らすミステリー作家、一色正和のもとに嫁いだ(高畑充希が演じる)若い妻・亜紀子がとにかく可愛い。

ドアをノックする時に「コンコン」と声を出すところや、分け隔てなく貧乏神にすらおもてなしをするお人好しのところや、先生(旦那)に対して見せる幸せそうな笑顔、夜市に興味を示したりする子供っぽいところ、先生の腕を掴んだり、先生の肩に顔をのせたり、先生に対する全ての仕草がとにかくいちいち可愛いのです。可愛すぎて、私もこんな可愛らしい奥さんになりたかったなとついつい思ってしまいます。そんな夢は今世では叶わないと憂いさえ抱いてしまう。

ファンタジーな鎌倉

この物語の鎌倉には、魔物や幽霊、妖怪や仏様、死神までも現れる。この世界観が私は好きだ。もともと私は鎌倉が好きなので、その上に妖怪や魔物という私の好きなファンタジー要素まで足されているのですから好きに決まっている。好きのてんこもりである。

不思議な鎌倉を舞台に先生が殺人事件を解決する場面があるが、この世界観で次々と事件を解決していく短編のドラマがあっても十分面白そうだなと感じた通り、どうやら原作の漫画では先生が怪事件の数々を亜紀子と解決していく物語となっているらしい。原作の漫画も読みたくなった。

妙に惹かれる死神

脇役ではありながら安藤サクラさん演じる死神に妙に惹かれてしまいました。喋り方、仕草、中性的な容姿や、醸してる雰囲気なのでしょうか。これが演技力というものなのでしょうか。原作にこの死神というキャラが元々いるのかわからないですが、安藤サクラさんがこの死神というキャラを見事に演じきっていると感じた。

本来、死神といえば暗くて怖いイメージが多いですが彼女が演じる死神は、飄々としていて明るい死神なのです。そんなギャップもこのキャラに惹かれる秘密が隠されているかもしれません。

時間軸長めのロマンス

私も歳を重ねたせいか、単純な恋愛よりも時間軸長めの恋愛に心を動かされることが多くなった。この映画の中でも先生と亜紀子が実は前世どころか、平安の昔から何度も何度も夫婦になっていることが明らかになります。二人が初めて会った時に、お互いに運命を感じたのは、そのせいだったと二人は知り、二人は喜びます。私はこういったロマンスに弱いです。前世から結ばれていたとか、運命とか、そんなものは現代科学ではまだ証明できないものですが、そういうものに正直憧れてしまう乙女心を私がまだ持ち合わせていたことに気づかせてくれました。

亜紀子「どんなことがあっても、次の人生で必ず先生を見つけ出します」
正和「ぼくはもう二度と亜紀子を手放さないって決めたんだ」

日本最高峰のVFXで黄泉の国を再現

この映画は、日本映画におけるVFX第一人者と言われている山崎さんが監督なだけあってその映像美も魅力の一つです。VFXは白組が手がけています。
やっぱり見所は『黄泉の国』でしょう。映画館の大スクリーンあるいはVRゴーグルなどで没入して観たくなる胸踊る異世界が再現されています。こんな黄泉の国なら死ぬのも悪くないと思ってしまう。

黄泉の国も見所ですが、鎌倉という、より身近な現実世界の舞台にCGを融合させている鎌倉パートも個人的に好きです。妖怪がふらっと小道を歩いていたり、飲み屋で魔物が酒を飲んでいたりすることがもしかしたら現実世界のどこかで実際にありえるんじゃないかと私の想像力を刺激します。

『あなた』

この映画は、 宇多田ヒカルさんの『あなた』が主題歌になっています。私がこの映画を観たいと思ったきっかけでもあります。初めてこの歌を聞いた時、自然に涙がでました。何度聞いても涙が出てしまいます。間違いなく後世に残る名曲になるでしょう。

宇多田さんは歌詞制作において、自身が死んだ時、妖怪や幽霊になってしまうくらい思い残すことってなんだろうと考え、"妖怪の気持ち"から"母親の気持ち"につながったそうです。普遍的な愛の形として、母親目線から音楽表現をしたのはこの歌が初めてになるそうです。

『あなた』という題名は、日本独特の距離をあえて置いてる感じが奥ゆかしく、相手への敬意も込められている、素敵な言葉だなと思ったともおっしゃっています。私もまさにそういった感想を抱いていました。彼女の楽曲には度々こういった日本人独特の繊細な美徳を感じることができます。
そんな素敵なこの歌が圧倒的な存在感を放ち、この映画のエンディングを飾っています。

総評

映画のCMを観たときは単なる恋愛映画という認識をしていたのですが、夫婦愛あり、ファンタジーあり、コミカルさもあり、エンターテインメントとしての完成度が高く、家族や友達、大人から子供まで誰とでも観れるほっこり映画でした。ごちそうさまでした。

『DESTINY 鎌倉ものがたり』 
 時間:2時間9分
 ジャンル:コメディー, ロマンス, ファンタジー

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