さよならコウリツ星人

ぼくはグリーン車に乗ったよ



ついに乗ったよ。


僕は自由席にしか乗ったことが無い。指定席料金がもったいないからだ。
そう。新幹線のはなし。

でも、ぼくは、ついにグリーン車に乗ったよ。

いつものクセで買った自由席特急券
握りしめ
飛び乗った新幹線。
オートマチックに自由席に座ろうとするジブンの方向を、グルンと変えて。
グリーン車へ向かう。僕の知らない世界


コウリツ星人が語り掛ける。
本当にやるのか。本当に払うのか?
到着時刻は1秒も変わらないぞ。
いいのか。貯金がすぐになくなるぞ。
本当にいいのか。

破産するぞ


オマエ

死ぬぞ



でも、今日は決めている。

いいんだ。いいんだ。

もう決めていたんだ。



すいません車掌さん。グリーン席まだ座れますか?

あぁ。はい。大丈夫ですよ。少々お待ちください。追加料金は


5720円


です。領収書になります。8列目Cです。



スタスタスタストン。


「ついにやったな!」

「ついにやりやがったな!!」

コウリツ星人が悔しそうだ。

「5720円!」


「ありえない!」


「バカだ!」


「おまえはバカだ!」


「それだけあれば、おいしいディナーが食べれたのに!!」


「やりやがった!」


「ついにやりやがったな!!!」


「おまえなんか、すぐに貯金がなくなる」

「おまえなんか、すぐに破産する」

「おまえなんか、すぐに死ね」

「やりやがったな!ついにやりやがった。あいつ。ついにやりやがった。」




ふわっとしたそのシート。


ツルンと滑るグリーン車。


コウリツ星人はもういない





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