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始まり

スペインのカップ戦.Copa del rey観戦。下部リーグのクラブが唯一1部に所属するクラブと戦うことができる舞台。スペインに来た1番の目標がCopa del reyの出場。

1年目は出場機会を与えてもらいリーグ戦のほとんどの試合をプレーした。試合前のミーティングで監督から1人に1人にコメントがあるのだが、ヒロはいつも通りでと言われるくらい監督やチームメイトからの信頼を実感していたし、スペインでやれるという自信もあった。
2年目に昇格を狙う強豪クラブとサインした。自信はへし折られた。なかなかプレーさせてもらえず、やっともらったチャンスでミスをしてしまい交代。去年まで同じリーグの強豪とも互角に戦えてたのに何でこんなにできないんだと腹が立ち、悪循環に陥った。練習中も荒削りなプレーが増え、細かいミスは外国人でもある自分のせい。
気づけばこの前まで手元にあったはずの目標がもう手の届かない場所にあった。それでもプレーし続けた。もしかしたらプロになれないかもしれない、目標は果たせたないかもしれないと思う気持ちに嘘をつき続けて。
3年目は怪我をした。ホッとしたのかもしれない。怪我さえしなければプロになれたと声高らかに話す自分の将来に。
ただ現実の自分から目を背け、嘘をつき続けられるほど割り切れた強い人間ではない。認めたくなくても認めるしかない。
実力不足を。
怪我から復帰し、最後まで抗った。実力不足というと今までのサッカー人生が否定された気持ちになるから。
復帰戦でのプレー、高校生の頃に夢見た自分の姿はなく、体も十分に機能しない。限界を感じた。
少しサッカープレイヤーから離れた。

自分が夢見てたCopa del reyの舞台。プレーする日本人は僕ではなく元FC東京の丹羽大輝。幼少期から追い続けた夢が終わった気がした。

昨シーズンの最後のゲームから今日まで心のどこかでまだ認めきれない自分がいたのかもしれない。
今日終わった。そして始まった。
勝利をファンたちと喜ぶ選手たちを横目に見て。

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