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「守り人」主要登場人物の年齢まとめ

宇宮7号と言います。普段は絵を描いたり世界史の授業動画を作ったりしています。上橋菜穂子ファンです。

最近は青い空(SNS)で上橋作品について話しているのですが、そこで「守り人シリーズ」と『獣の奏者』の年齢考察をしたので、こちらにもまとめておきます。これで、「ジグロって何歳で死んだんだろう」とか「ジェシっていつ産まれたんだろう」とかいう疑問がふと湧いた時も大丈夫です。(謎需要)
(この記事は「守り人」だけです。『獣』は別で作ります。)

※各巻の呼称(省略する場合の表記)
『精霊』『闇』『夢』『虚空』『神』『蒼路』『天と地』『流れ』『炎路』『風と』「春の光」
なお「春の光」は『「守り人」のすべて』収録の短編集のこと。


1.基本:バルサ、チャグム、タンダ

まず主要登場人物3名から。
最も記載が多く、以後の考察の基準となる。

初登場時の年齢と年齢差

物語開始時の3名の年齢差を確認しておきたい。

バルサは30
タンダは28。(バルサの2歳年下)
チャグムは11。(バルサの19歳年下)

ちなみに物語開始時期は、現代日本の暦に直せば10月から11月ごろである。

根拠:『精霊』にて、逃亡期間が8ヶ月間であると記載されている(第三章9)。
太陰暦(閏月なし)と仮定すると8ヶ月は30×4+29×4=236日
これを現代日本の太陰太陽暦に当てはめると、
夏至(6月21日)から数えて236日前は10月28日(今回は2023年で計算)

逃亡時、冬の山越えを念頭に置いたバルサの行動にも合致する。

これは「いつ年をとるのか問題」に関係するので、一応記しておく。
次項にてその辺りを考えるので、興味のない方は、「各巻ごとの年齢」の項まで飛ばすことを推奨する。


いつ年をとるのか

年を重ねる時期だが、チャグムだけは判明している。新年である。根拠は2つ。

①『精霊』タンダの台詞「年が明けたから、チャグムは、もう十二か?」
②『蒼路』地の文「今年の新年に十五になり、〈成人ノ儀〉をすませた」
※新ヨゴの新年はおそらく冬である(詳細は後述)。

新ヨゴ皇国
年齢換算をすると、シュガも秋から年明けの間に年をとっている他、トゥグムの年齢は数え年でないと辻褄が合わないので、新ヨゴでは新年に年を重ねる文化である可能性が高い。

例外:ユグノ
『夢』でユグノは〈蝉鳴き月〉で五十二になると発言している。

懸念:タンダ
新年に年をとるとすると、兄の台詞と矛盾が生じる。①兄が間違っている②夏から秋にかけて年をとる、のどちらか。

※平民のみ誕生日に年をとる可能性もあるが、シュガも平民の出なので考えにくい。その他ヤクーの文化の可能性もあるが、根拠が足りない。
ユグノの生まれた場所が満年齢で数える文化だったのか、ロタかカンバルが満年齢文化で、諸国を放浪する中でそちらに馴染んだのか、など説は大量に立てられるが、どれも根拠がない。

(追記:作者曰く、新ヨゴでは「昔の日本と同じように、年を越す度に、ひとつ年をとる」とのこと。2006年のコミュニティでファンの質問に答えているらしい……。まだまだ知らないことばかりである。↓)

カンバル王国
バルサは年明けから晩春の間に年をとっている様子。他カッサユグロにも同じことがいえるので、カンバルでは年明けから春にかけてのいずれかの時期に年をとる可能性がある。こちらも根拠は薄い。


今回は全体的に、年をとるタイミングは固定せず、かといって完全に特定せずに、大まかな時期を探しつつ臨んでいこうと思う。


全巻の季節と時系列

各巻ごとの時期や季節を確認する。
この辺りも、後に細かな年齢考察に使うので、不要な方は次へ。

『精霊』:秋年明け夏至

秋の長雨で増水した川からチャグムを掬い出す。
冬の山越を画策するも、怪我をしてタンダの家に身を寄せる。
狩穴で冬ごもりをして、夏至の日に卵をかえす。

序章
「ここのところ秋の長雨がつづいたせいで」
第三章1
「冬ごもりの穴ってとこだな」
第三章4
「もう〈蝉鳴き月〉ではないか!夏至まで、あと二十日もない」
第三章9
「夏至の夕暮れどき」
→翌朝宮からの迎えが来る。夏至の次の日に落着
終章
「秋がくる前に、青霧山脈をこえて、カンバル王国へはいるつもりだった」
『闇』はこの晩夏から開始

『闇』:晩夏

秋が始まる前にカンバルに入り、冬に〈ルイシャ贈りの儀式〉を経験。ユーカ叔母の家で冬を越し、春に新ヨゴに戻ることを決める。

序章
「夏がすぎ」
「もうあと一月もすれば燃えるような紅葉が」
第一章5
「去年の秋に、ふしぎな運命を背負った子の用心棒をたのまれましてね」
 →『精霊』開始時から1年後くらい
第三章1
「この冬に〈ルイシャ贈りの儀式〉をおこなうと」
終章
「あたたかい春の日ざしの中に」

『夢』:初夏真夏(終章のみ)

カンバルから戻ったばかりの初夏にユグノと出会い、短期間で終結。終章は真夏。

第一章1
「初夏の日ざしが大気をあたため」
第一章2
「一年とすこし前、最愛の皇太子サグムを病でうしない」
 →『精霊』終盤から一年後の夏
 『闇』終結後まもない頃
第四章5
「半年ぶりなのに」「いろんなことがあったんだよ、この半年」
 →『闇』は半年ほどの間の事件

『虚空』:真冬(年明け後)

年明け後の冬の時期にサンガル王国にわたり、二十日弱滞在。

 第一章1
「十四歳の、この皇太子チャグムの」
「年明けと同時に〈新王即位ノ儀〉への招待が届いた」
 →『精霊』から数えて2度目の新年
第一章2
「冬のさなかだというのに」
 →新ヨゴの年明けは冬頃
 年が明けて14歳→『夢』の半年後くらい

『神』:晩秋年明け後(終章のみ)

『虚空』と同じころ。晩秋にアスラ達と出会い、新年(ロタでもおそらく冬)過ぎに終結。アスラは春まで目覚めず。

来訪編第一章1
「ヨゴの草市は、晩秋のこの時期だけ立って」
帰還編序章
「新年の儀式も過ぎた」
「サンガル王家の新王誕生の儀に参列するために出立していった、兄ヨーサム」
 →『虚空』と同じ年の冬
帰還編第三章1
「シャーサム〈新年ノ月〉の二十二日には、ジタン祭儀場で建国を祝う式典がひらかれる」
 →ロタの年明けも冬
終章
「春がきても、アスラは目ざめなかった」

『蒼路』:冬(年明け)→春の終わり初夏(サンガルで)

『虚空』ほぼ一年後の冬から開始。春の終わりに新ヨゴを出て、タルシュへ。春頃(北の大陸では秋頃)到着。サンガルに翌年の初夏に戻り、帰還船から海に飛び込んでロタに向かう。

第一章1
「今年の新年に十五になり」
 →『虚空』の一年後
第一章3
「月のはじめの日」「冬の朝の光が」
第三章6
「故国を出たときは春も終わりの頃だったのに、南の大陸が近づいてくると、そこもまた、冬が春に変わりつつある季節だった」
終章
「ラス島を出発したのは初夏」
※ただしラス島はサンガルなので新ヨゴより初夏が早い可能性がある
→春の終わりから旅をして、春〜初夏に戻っているのでちょうど一年弱か?

『天と地』夏(第一部序章)→(第三部)→翌年の夏(終章のみ)

チャグムが船から身を投げた年の秋にバルサはチャグムを探し始める。初冬をロタ、新年をカンバルで過ごし、雪解けの警告を受ける。春頃帰還。雨の時期に戦が終わり、初夏に京の再建。
終章は翌年の初夏。この時点で『精霊』開始から7年半後。

第一部序章
「夏の陽ざしが」
第一部第一章1
「今年は秋の深まり方がおそい」
第一部第一章3
「返答の猶予は、タルシュ暦のラクルーン〈盛夏ノ月〉の一日」
「タルシュ暦のラクルーン〈盛夏ノ月〉一日は、新ヨゴ皇国の暦では、トウル〈雪どけノ月〉の十二日にあたる」
 →戦は春から
第一部終章
「ロタの冬を、あんたは知らない。この雪も、これから激しくなる」
「わずか十六のあんたが」
 →『蒼路』終盤から一年経っていない
第二部第一章6
「ほんとうに、新年がきてしまったのだと」
 →チャグム17歳
 『精霊』から数えて6回目の新年
第三部第五章4
「光扇京が流されてから、ふた月。初夏の空のもとで、新たな都の建設がはじまっていた。」
 →この数日後に即位。
第三部終章
「冬がきて、春がおとずれ、また、初夏がめぐってくる頃には」
 →『精霊』から数えて7回目の新年
  その後の最初の夏

『風と』:秋次の秋()

第一章1
「戦から、そろそろ一年半が経とうとしている」
→終戦が春。その一年後の秋。
『天と地』終章の少しあと

補足として、月の名称をまとめておく。
◯新ヨゴ
 (夏至の頃)〈蝉鳴き月〉『精霊』『夢』
 トウル〈雪解けノ月〉:『天と地』
◯カンバル
 ランガル・トノイ〈初雪が降る月〉:『闇』
◯ロタ
 シャーサム〈新年ノ月〉:『神』
 ウグルサム〈青葉ノ月〉:『風と』
◯タルシュ
 ラクルーン〈盛夏ノ月〉:『天と地』
 ※ラクルーン1日=トウル12日


各巻ごとの年齢

バルサ
(新年から春の間に年をとる可能性が高い。)
6歳:逃亡
10歳:短槍の稽古をはじめる
『流れ』 :13(記載あり)
『炎路』 :15(記載あり)
『風と』 :16-17(記載あり) ※過去回想
21歳:逃亡を終える
24歳:ジグロを看取る
『精霊』 :30(記載あり)-31(記載なし)
『闇』  :31(間接的記載あり)-32(記載なし)
『夢』  :32(記載なし)
『虚空』 :-
『神』  :32-33(記載なし)
『蒼路』 :-
『天と地』:35-36-37(記載なし)
「春の光」:37前後(間接的に記載あり)
『風と』 :37以降(記載なし) ※現在

チャグム
(新年に年をとる。誕生時1歳の可能性あり。)
『流れ』 :-
『炎路』 :-
『風と』 :-
『精霊』 :11-12(記載あり)
12歳:皇太子となる
『闇』  :-
『夢』  :13(記載あり)
『虚空』 :14(記載あり)
『神』  :-
『蒼路』 :15(記載あり)-16(記載なし)
『天と地』:16-17(記載あり)
17歳:即位
「春の光」:-
『風と』 :-

タンダ
(新年に年をとる?/夏から秋にかけてかも?)
8歳:トロガイの弟子になる
『流れ』 :11(記載あり)
『炎路』 :-
『風と』 :-
『精霊』 :28(記載なし)
『闇』  :-
『夢』  :29?(記載はあるが要検討)
『虚空』 :-
『神』  :30前後(記載なし)
『蒼路』 :-
『天と地』:33-34前後(記載なし)
「春の光」:34,35前後(記載なし)
『風と』 :35以降(記載なし)


解説

典拠と考察を記してるだけなので、興味がある方だけどうぞ。

前提:(前項までで考察済)
◯『精霊』の開始時は秋
◯チャグムは新年に年をとる(確定)
 新ヨゴの新年は冬
◯作者曰く、新ヨゴでは年を越す度に年をとる
 ※ただし、誕生時1歳かどうかは未確定

バルサ
『精霊』30
序章「今年三十」
 →秋時点ですでに30であると考えられる。秋から新年の間に30になることを「今年三十」と表現した可能性は『闇』の記述より否定できる。
『闇』31-32
序章「あれから二十五年」「六歳の少女」
 →6+25=31
第一章1「(逃亡の日には)春の終わりのあたたかい夕方」
 →春時点で6歳。春で25年。序章は晩夏なので正確には逃亡から25年と数ヶ月後。春時点で31歳なので『精霊』終盤では31。その前の秋には「今年三十」とあるので、年をとるのは新年から春までの間だと考えられる。翌春にカンバルを立ったときには32になっていた可能性が高い。
『夢』32
 春にカンバルを立ち、まだタンダに出会っていない状態。冒頭から終盤まで初夏、終章のみ真夏。年はとらない。
『神』32-33
 『夢』の後すぐの晩秋から年明け(虚空と同時期)。終章では春なので、終章時点では33になっている可能性が高い。
『天と地』35-36-37
 チャグム行方不明は初夏。その時点でチャグムは16なので、バルサは35。年が明け春に新ヨゴに戻るのでその時点で36。終章では一年後の初夏なので37。
「春の光」37歳前後
6歳の頃犬を飼っていたことを思い出す。30年前と記載。季節は春だが、36の春はまだ戦の最中なので翌年以降。「30年前」と言うときの数年の誤差を加味して37、8か。
『風と』37
 終戦(36)から一年半後の晩秋なので37。

チャグム
『精霊』11-12
 第三章3「年が明けたからもう十二」
 →逃亡開始時11、夏至時点で12。
『夢』13
 第一章14「十三歳の、皇太子チャグムは」
 初夏。一年前とすこし前にサグム死亡と記載あり。『精霊』終盤からちょうど一年。
『虚空』14
 第一章1「十四歳の、この皇太子チャグムの」
 年明け後の冬のさなか。年明けと同時に〈新王即位ノ儀〉への招待が届き、サンガルに出立。
 →14歳になったばかりと考えられる
『蒼路』15-16
 第一章1「今年の新年に十五になり、〈成人ノ儀〉をすませた」
 春の終わりに新ヨゴを出て、サンガルへ。タルシュへわたり、翌年の初夏(サンガルの初夏なので新ヨゴではまだ春か?)にサンガルに戻っている。
 →終盤では16
『天と地』16-17
 第一部第二章7「十六になったチャグムを」
 第三部第三章3「十七歳とは思えぬその目」
 第一部の終わりにカンバルに向かったのが冬。カンバルで新年を迎え、第三部では雪解けの頃に新ヨゴに帰還している。季節とも合致。即位は初夏なので、即位時点で17
終章には登場しないが、その時期は18歳。

数え年(新年に年をとる/誕生時1)である可能性が高い。
根拠
①作者の発言「昔の日本と同じように、年を越す度にひとつ年をとる」
②トゥグムの年齢(後述。誕生時1歳でないと辻褄が合わない)

タンダ
『精霊』28
 第二章1「バルサより二つ年下だ」
『夢』29(もしくは30/もうすぐ30)
 第一章2「俺が三十八だから、お前も、そろそろ二十九か?」(長兄の台詞)
 →『精霊』終盤で29だったと考えると、計算が合わない。夏至以降の生まれで、『精霊』終盤で28、『夢』でまだ29であるという可能性がある。
※長兄はあまりタンダと親しそうではないし、30すぎると年齢などわからなくなるだろうから、長兄が間違えている可能性もある
 終章「トロガイの魂の鳥を追って暗い山の中へ分け入ってから、もう二十二年の歳月が経ってしまった」
 →『夢』終結時点で30歳頃
『神』30
物語冒頭は晩秋なので『精霊』冒頭からちょうど二年後。(新年に年をとるなら終章では31歳だが、夏〜秋頃に年をとると仮定すると、事件中ずっと30歳。)
『天と地』33-34(-35)歳前後
第一部冒頭は初夏。第三部では翌年の春、終章は翌年初夏なので、バルサとの差で単純計算するなら、33-34(終章35)。
夏〜秋頃に年をとると仮定すると、第一部冒頭ではまだ32かも?秋に33になり、年明けて春に負傷した時点で33、終章(翌年初夏)では34(もうすぐ35の時期)か。
「春の光」34,35前後
バルサとの差で単純計算すると35歳だが、夏〜秋頃に年をとると仮定すると34歳。
『風と』35
冒頭は晩秋なので『精霊』冒頭からちょうど7年後。その時点では35になっているはず。


まとめ

()内は未登場

『精霊』秋〜翌年夏至
バルサ30-31、チャグム11-12、タンダ28
『闇』晩夏〜翌年春
バルサ31-32、(チャグム12-13、タンダ29)
『夢』初夏
バルサ32、チャグム13、タンダ29(30?)
『虚空』『神』晩秋〜年明け〜翌年春
バルサ32-33、チャグム(13-)14、タンダ30
『蒼路』年明け冬〜翌年初夏
(バルサ34-35)、チャグム15-16、(タンダ32-33)
『天と地』初夏〜翌年初夏
バルサ35-36、チャグム16-17、タンダ32-33前後
「春の光」翌年(以降の)春
バルサ37~、(チャグム18~)、タンダ34,35~
『天と地』終章(初夏)
バルサ37、(チャグム18)、タンダ34,35
『風と』晩秋〜
バルサ37、(チャグム18)、タンダ35


2.周辺:トロガイ、シュガ、その他新ヨゴの人々

主要三人と同じように全シリーズ分作っていたら終わらないので、ここでは言及のあるものをひたすら上げていくこととする。必要があれば年齢換算する。

トロガイ

『精霊』秋70歳位
 (第二章1「ちょうど七十ぐらいだろう」)
『夢』72(52年前に20歳)
 →冬から初夏の間に年をとっている様子
『蒼路』75歳弱(おそらく74歳)
 (第一章1 「そろそろ七十五を過ぎる」)

14歳:農夫の嫁になる
15歳:一人目の子を産む
20歳:(『夢』より52年前)花番と出会う
 (第二章4「二十歳まで、わしも村人だった」)
40ちょっと過ぎ:師ノルガイ死去
50歳:22年前:タンダと出会う
 (終章「もう二十二年の歳月が」)

※ノルガイはトロガイより30歳弱年上
 死亡時70過ぎ


シュガ

『精霊』秋頃20(第一章2)
 「八年もここで暮らしている(第一章2)」らしい。星ノ宮に来たのは12歳頃か。
『蒼路』年明け後の冬頃24(第一章1)
 →冬頃までに年をとっている様子


宮中関係者

(チャグムの父)
記載なし。『精霊』冒頭の時点で30は超えている。
 (『蒼路』第四章5「ヨゴの皇子に、女人の夜伽がはじまるのは十七になってから」)
まだ若いらしい。50年前には先代の世なので、先代の在位が長かったか。

サグム(チャグムの兄/一ノ妃の息子)
『精霊』冬〜春頃14(第三章2)
その年の夏至前に死亡
 →チャグムとは2歳差

ミシュナ(チャグムの妹/三ノ妃の娘)
『蒼路』10
 (第一章1 「三ノ宮の姫も十歳になり」)
 →チャグムとは5歳差、弟とは7歳差

トゥグム(チャグムの弟/三ノ妃の息子)
『夢』生まれていない
 (第三章4「このさき、いずれかの妃に男子が生まれることも、十分ありえますし」)
『虚空』昨年生まれた
 (第一章1「昨年、帝の三ノ妃が、玉のような皇子を産んだ」)
『蒼路』3
 (第一章1「第二皇子は今年三歳」)
 →誕生時0歳では計算が合わない。数え年か?
数え年の場合
『夢』の後、晩夏から年末までに誕生し、1歳。『虚空』直前の新年で2歳。『蒼路』直前の新年で3歳。辻褄が合う。
 →チャグムも数え年である可能性がある
『天と地』(春頃)5
第三章3「五つになったばかりの」
 →チャグムとは12歳差

ヤムル帝(先代の帝)
50年ほど前に山の離宮を建てる

聖導師
『精霊』秋頃74(第一章2)

カリョウ(陸軍副将)
正確な記載はなし。『天と地』50過ぎ
(第二章1「五十をすぎている」)


市井の人々

トーヤ(頼まれ屋)
『精霊』15,6
 (第一章3「十五、六の少年が」)

サヤ(トーヤと共に暮らす娘/のち妻)
記載なし。トーヤより年下。
 (第一章3「妹だと思っていっしょに暮らしてきた」)

ニナ(ヤクーの血を引く娘/ノウヤの孫)
『精霊』11歳前後
 (第二章4「十一かそこらの娘だ」)

ユグノ(旅の歌い手)
『夢』52(見た目は20過ぎ)
(登場時は51歳/〈蝉鳴き月〉で52歳)
※蝉鳴き月は夏至

13歳:〈木霊の想い人〉になる
51-52歳:『夢』

ノシル(タンダの長兄)
『夢』38(第一章2)

カヤ(ノシルの娘/タンダの姪)
『夢』14(第一章2)

コチャ(タンダの草兵仲間)
『天と地』14(第一部第三章1)


3.隣国:ジグロ、その他カンバルの人々

カンバル王国の特性
◯新年は新ヨゴと同じタイミングである様子。
『天と地』で王城や王都での新年の賑わいが描写される頃、同時期の新ヨゴで「年の暮れまであと三日」との描写がある。
◯15になると大人の男として短剣を帯びる
◯氏族長筋の男子は、15,6になると王都にいく
◯〈ルイシャ贈りの儀式〉は通常およそ20年おきに行われるが、山の王が扉を開かなければ行えない。直近では35年前に行われたきりである。
◯〈ルイシャ贈りの儀式〉には、〈王の槍〉とその従者が参加する。従者となるのは16,7の少年であることが多い。そこで生還したものは20になると王の槍の位につく(第三章2)
◯現在の〈王の槍〉は10年前に王の前で御前試合をおこない、選ばれた者達
◯冬から春にかけて年をとる可能性がある。(カッサとユグロは共に冬から春の間に年をとっている様子。バルサも同じ。きまった時期に年をとる可能性がある)

バルサ(基準)

比較の際の基準とする

『闇』で31-32
『天と地』第二部で35-36

25年前の春に6歳で逃亡(『闇』時点)

ジグロ

バルサとは20歳差(記載はないが推察可能)

16歳:ルイシャ贈りの儀式で〈舞い手〉となる
20歳:〈王の槍〉となる(推測)
26歳:バルサを連れてカンバルを出る
41歳:逃亡生活のおわり
44歳:死亡
51歳:『闇』で生きていた場合の年齢


解説:記載のあることがら
①35年前に16歳(『闇』第三章2)
②25年前に6歳のバルサと逃げる(『闇』序章)
③15年間の逃亡生活(『闇』序章)
④バルサが24歳の時に病で死亡(『闇』第二章4)

→35年前に16歳なので、25年前は26歳。
バルサは当時6歳なので、バルサと20歳差。
バルサが24のとき、ジグロは44歳。

懸念
『闇』第一章1
「ジグロは六年も前に死んでいる」
→7年でなく6年?
(仮にバルサが春に年をとるとして、早春とか(まだ24)にジグロが死に、そこから6年後の早春に30、今は晩夏なので年をとっており31、みたいな場合ならありうるかもしれない)

各氏族の人々

ヨンサ氏族
バルサの氏族。ヨンサは〈左耳〉の意味。

カルナ(バルサの父)
16歳:医術師を志す。
32歳:王の主治医となる。
n-1歳:妻を亡くす
n歳:陰謀に巻き込まれ死亡
 主治医となって一年以上は経っていそう?
 →死亡時点で33歳以上?

ユーカ(カルナの妹/バルサの叔母)
正確な記載なし。見た目は50歳前後。
 (第一章3「五十になるか、ならぬかという年齢の」)

→ジグロと同じ年くらいか。
※ジグロとカルナとユーカは王都の学院で知り合ったという。氏族長筋の男子(ジグロ)が王都に行くのは15,6なので、その際、カルナは低く見積もっても22歳以上。かなり年の離れた友情だが、ユーカづてでカルナと知り合った可能性は高い。

ラルーグ(ヨンサ氏族の元〈王の槍〉)
『闇』70歳前後
 (第四章1「七十年も生きられるとは、思ってもいなかった」)
 →35年前の儀式で35歳前後。その前の儀式がさらに20年前だと仮定して、15歳前後


ムサ氏族
ジグロの氏族。ムサは〈右耳〉の意味。

◯ジグロの兄弟
兄カグロ:氏族長
 ジグロ:元〈王の槍〉
弟ユグロ:〈王の槍〉
妹リナ :トンノと結婚

◯ジグロの甥・姪
カグロの息子:カーム
ユグロの息子:シシーム
リナの息子 :カッサ
リナの娘  :ジナ


カグロ(ジグロの兄)
記載なし。
長男が31歳。
→25歳頃の時の子と仮定しても56歳頃か。
35年前の儀式の従者に選ばれる可能性のある年齢だったらしい(第三章2)ので、ジグロとの年齢差はあまりない可能性がある。

カーム(カグロの息子/ジグロの甥)
『闇』31
 (第一章4「今年三十一になるカーム」)
 →まだ30?バルサと同じ年か一つ下か
 息子のカムロは9つ

31歳:ルイシャ贈りの儀式に従者として参加
32歳頃:王の槍としてサンガルへ(『虚空』)
34歳頃:タルシュと密通(『天と地』)


ユグロ(ジグロの弟)
『闇』41(第一章4)

16歳:ジグロ失踪(『闇』第二章2)
 (第三章2「十六になったばかりだった」)
 →ジグロとは10歳差か
 →失踪は晩春なので春頃16になったか?
31歳:ジグロを討って帰還。〈王の槍〉となる
 (第一章5「帰還したのが、ログサム王が崩御する、わずか一月前だった」)
41歳:ルイシャ贈りの儀式(『闇』第一章4)

シシーム(ユグロの息子/ジグロの甥)
『闇』16
 (第一章4「シシームたち十六歳の少年が」)
 →ユグロが25歳の時に誕生か


リナ(ジグロの妹)
記載なし。
(第一章5「妹さんは、ジグロが逃げたときまだ小さかったから、ジグロのことなど覚えていないでしょうし」)
 →ジグロ失踪時は幼児。当時0〜10歳として、現在25〜35歳。長男が15歳。15歳前後で産んだと仮定すると30歳前後か。

カッサ(リナの息子/ジグロの甥)
『闇』15
 (第一章4「カッサたち十五歳の少年が」
「今年の春、十五になり、短剣をさずかると」)
『天と地』19
 (序章「年をこせば二十になる」)
→新年は冬。
説①新年がすぎ春になってから年をとる
説②新年になりすぐ年をとる(短剣を授かる儀式のみ春に実施)

ジナ(リナの娘/カッサの妹/ジグロの姪)
『闇』12
 (第三章2「ジナは、まだ十二歳だが」)


カンバル王家
カンバル10氏族の一で、残りの9氏族を従える王の一族。カンバルは〈神の額〉の意味。
※9氏族はムサとヨンサ(右耳と左耳)、ムロとヨンロ(右目と左目)、ナ(鼻)、ムガとヨンガ(右手と左手)、ムトとヨント(右足と左足)がある。

ログサム(前カンバル王)
記載なし。
即位時の年齢は30過ぎと推測可。

30歳過ぎ:25年前。長男誕生 同じ頃即位
45歳過ぎ:10年前。死亡(治世15年)

(第四章2「三十をすぎてようやく得ることのできた長男のラダール」)
 →ラダールは15歳で即位、ログサムの治世も15年なので、(数え年制でなければ)息子が生まれた頃に自身も王になったのだと考えられる

ラダール(カンバル王/ログサムの息子)
『闇』25
 (第四章2「わずか十五で即位してから、この十年間」)
『天と地第二部』20台後半
 (第三章3「二十代後半とは思えぬ」)
 →単純計算で29歳


4.隣国:サンガル王家、その他サンガルの人々

サンガル王家

カルナン:皇太子。既婚。息子2人。
カリーナ:カルシュ島の島守りアドルの妻。
ロクサーナ:ノーラム島の島守ガイルの妻。
サルーナ:未婚
タルサン:未婚

カルナン(第一王子/新王として即位予定)
記載なし。息子が二人いるくらいの年齢。

カリーナ(王の長女)
『虚空』24
 (第一章3「カリーナは、まだ二十四だったが」)

ロクサーナ(王の次女)
記載なし。23〜16の間か。

サルーナ(王の三女)
記載なし。チャグムと同年代。
 (『虚空』第一章2「同年代の女性と」)
 →15〜18くらいか?

タルサン(第二王子)
『虚空』14。チャグムと同じ年。
 (第一章2「そなたと同じ十四歳か」)


ラッシャロー/島の人々

スリナァ
記載なし。おそらく14歳前後。
タルサンと同じくらいであると考えられる。
10歳の頃にラコラとあってから数年ほど経過しているような描写がある。
大人ではない年齢。

ラーシ(スリナァの弟)
『虚空』10
(序章2「十歳になる弟のラーシ」)

ラチャ(スリナァの妹)
『虚空』2
(序章2「二歳になったばかりの妹のラチャ」)

エーシャナ
『虚空』5
(序章1「今年五歳になったばかりの」)

セナ(海賊の頭)
『蒼路』16,17歳ほど
(序章「十六、十七歳ほどの、目鼻立ちのくっきりとした少女だった」)


5.隣国:アスラ、チキサ、その他ロタの人々

判明している時系列
25年前:先王死去
16年以上前:王弟イーハンの恋
※トリーシアが神域の森にやってきたのが16年前であるため
5年前:チキサとアスラの父が死亡
3年前:ピクヤ〈神の苔〉に黄色い花が咲く
一昨年の冬:ワウルの花が秋になっても枯れず花を咲かせる

年をとる時期
全体的に不明。年を重ねた描写は特にない。
新年を挟むが、アスラは十二歳から変化なし。


チキサとアスラ

チキサ
『神』14
 (来訪編第二章1「十四と十二の、幼い子どもがいた」)

アスラ
『神』12
 (来訪編第二章1「十四と十二の、幼い子どもがいた」)
 (帰還編第三章2「アスラは、まだ十二歳なんだよ」)
※この時点で新年は超えている

トリーシア(二人の母)
記載なし。16年前に神域の森近くにやってくる
おそらく30代くらいではないか。

マッカラ(二人の父)
記載なし。5年前に死亡(来訪編第一章2)


ロタ王家と関係者

ヨーサム(ロタ王)
『虚空』冬45
 (第三章2「四十五歳という男ざかりのロタ王は」)
『神』秋45
 (来訪編第二章1「今年四十五」)
 →秋も冬も45歳ということは、年をとるのは新年でないのかもしれない。(正確には『虚空』は新ヨゴ暦の年明け過ぎ。ロタの年明けは少し遅いなどの可能性はある。)

イーハン(王弟)
『神』36
 (来訪編第二章1「今年三十六」)

15年以上前:タルの娘と恋に落ちる
36歳:サーダ・タルハマヤの事件

先代の王
記載なし。ヨーサムが20歳になった時に死亡。
→『神』時点より25年前に死亡。


スファル(呪術師/猟犬)
記載なし。中年の男。
娘のシハナが32以上ので、50は超えていると推測できる。

シハナ(スファルの娘)
『神』32歳以上
 (帰還編第二章5「わたしは、当時まだ十六の小娘だったけれど」)
 → 16年以上前に16歳なので32は超えている

カーロン(イーハンの腹心)
『天と地』30


6.隣国:ヒュウゴ、その他タルシュ帝国の人々

ヒュウゴ

『炎路』:13歳〜17
『蒼路』:27,8歳前後(正確には不明)
 (序章「二十七、八くらいだろうか」)
『天と地』:27,8歳前後(バルサの見立て)
 (第一部第一章7「二十七、八に見える。だが、どこか年齢が読めないところがあった」)
 (第三部序章「これまで十年」)
 →『天と地』時点で最低でも27歳

時系列
13歳:冬の終わり、祖国が滅び、家族を失う
(第一章3「十六、七歳ぐらいだろうか。自分より、三つ、四つ歳上に見える娘が」)
14歳:喧嘩にあけくれるようになる
17歳:オウル=ザンに出会う
(第三章1「リュアンに助けられてから、もう四年という年月が過ぎていた」)
27,8歳前後:『蒼路』
27,8歳前後:『天と地』


皇帝の一族と臣下

オーラハン(皇帝)
『天と地』80近く
 (第三部序章「四十をすぎてから六人の子を得たが、二人を病と事故で亡くし」)
 →第一王子が40近いので、最低80歳ぐらい。事故で死んだ子がハザールより先に生まれた子であれば、もっと年上の可能性もある。

ハザール(第一王子)
『天と地』40近く
 (第三部序章「第一王子ハザールと、第二王子ラウルは、そろそろ四十に近いが」)

ラウル(第二王子)
『蒼路』40少し前(第四章1)
『天と地』40近く(37くらいか?)
 (第三部序章「第一王子ハザールと、第二王子ラウルは、そろそろ四十に近いが」)
 (第三部第五章1「わたしが領地をまかされて二十年だから、ラウルは、十七年になるか」)
 →同じ年で任されたと仮定すれば3歳差

ユラル(第三王子)
『天と地』27
 (第三部序章「まだ二十七歳」)

カサリナ(王女)
『天と地』23
 (第三部序章「二十三歳で、昨年結婚したばかり」)


ラトノイ・ヤスグ(呪術師)
記載なし。『虚空』中年
 (序章1「華奢な体格の中年の男」)

ラトノイ・ソドク(呪術師/ラスグの弟)
記載なし。ヒュウゴより年配
 (第三章1「ソドクと呼ばれた年配の男」)

オウル・ザン
『炎路』三十そこそこ(※ヒュウゴの見立て)

シュバル(タルシュ軍司令官)
『天と地』第三部50代半ば


まとめと所感と後書き

大まかな流れを最後にまとめておきます。
また好きに感想を話します。

開始時と終了時の年齢まとめ

『精霊』物語開始時は秋
『天と地』戦の終結時は6年後の初夏
『天と地』物語終了時は7年後の初夏
『風と』の冒頭がちょうど7年後

バルサ :30歳→37歳
チャグム:11歳→18歳
タンダ :28歳→35歳
トロガイ:70歳→77歳
シュガ :20歳→27歳

出てくる子供達の年齢差
年齢が確定していないものは、可能性がある場所に()付で入れています。歳の数え方が共通しているとも限らないので、ただの自己満足です。

+6歳:(トーヤ)
+5歳:(トーヤ)
+4歳:シシーム/(サルーナ)
+3歳:カッサ/(サルーナ)
+2歳:サグム/(サルーナ)/(セナ)
+1歳:カヤ/(スリナァ)/(サルーナ)/(セナ)
基準  :チャグム/(ニナ)/ジナ/タルサン/(スリナァ)/チキサ
-1歳:(スリナァ)
-2歳:(スリナァ)/アスラ/コチャ
-4歳:ラーシ
-5歳:ミシュナ
-9歳:エーシャナ
-12歳:トゥグム/ラチャ


年をとる時期についての所感

数え年は0の概念がない文化圏におこるものである。この世界に0があるかと考えると、確かになさそうな感じがする……。
アジアにも広く数え年が普及していたことを考えると、新ヨゴが数え年文化であるのは割と納得できる話である。

ユグノの誕生日問題はもう色々とイレギュラーすぎるので考えるのをやめた。いつか気力があったら考えてみる。
タンダの誕生日問題については、「兄に勘違いされていた説」も十分あり得そうだなと思っている。どちらももう大人だし、弟が何人もいるうえにタンダとは多少疎遠に暮らしているわけだし。(正直私も自分と家族の年齢差には自信がない。親族の誕生日と年齢はスプレッドシートで管理している)

カンバル王国は春に年をとる文化があるといいなと思う。新年は冬だが、冬が終わる喜びは他の国の何倍もありそうなので。ちなみに作者はコミュニティサイトにて、「新ヨゴは」年を越す度にひとつ年をとると発言しているが、カンバルについては不明。

後書き

ちょっとまとめるだけのつもりだったのに、気づけば、何の役に立つのかわからない代物が出来上がってしまいました。
そもそも「ジグロは何歳で死んだのか」の話をしたくてまとめ始めたのですが……。(44歳)
まあ細かくやらねば数え年の可能性とか読み解けなかったので、よかった気がします。整理だけで大変だったのに、作る側はもっと大変そうだな……。

基本的に、ご自身で検証する際はチャグムの年齢を基準とするのがおすすめです。大人の年齢はいちいち書かれないことが多いので。

年齢の見当がつく記述を中心に見ていったので
登場巻以外の年齢を知りたければ、時系列を参照してください。

当然ながら、間違いや見落としの可能性があります。何かわかった方は教えてください。

『獣の奏者』のほうはこれから作ります。あっちは不確定要素が多すぎて大変そうだわ……。

上橋作品については、他にもまとめているので、興味があればご覧ください。

読んでくださってありがとうございます。(何の役に立つかわかりませんが)ぜひご活用ください。

宇宮7号

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