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気仙沼ヨシキリザメ・メカジキ延縄FIP

背景
気仙沼の生鮮メカジキの水揚げ量は全国一位。2019年には全国の約3,033トンのうち73%の約2,221トンが気仙沼で水揚げされています*。ヨシキリザメも気仙沼が全国の水揚げ量第一位の魚種で、伝統的に余すところなくふかひれの他、身は「すり身」にして「はんぺん」などに、また工芸品としても利用されてきました。

このFIPを実施している気仙沼遠洋漁協は北西部太平洋でメカジキ、ヨシキリザメを獲っていますが、最近の科学委員会の報告によるとどちらも過剰に漁獲されておらず、資源も枯渇していません。

しかし、主要漁獲物であるサメ類の資源は世界共通の資源として、保護や持続可能な利用の責務、そして漁業の透明性が国際的に求められています。

そこで、気仙沼遠洋漁協は近海まぐろはえ縄漁船が漁獲するメカジキとヨシキリザメは資源保全に十分留意して漁獲された水産物であることを国内外に広く発信すること、漁業経営を安定させ持続可能な漁業を続けていくこと、そして、漁業を通じて日本のみならず世界の持続可能な漁業の構築に貢献するために、MSC認証の取得を目指します。

* 農水省及び気仙沼市魚市場資料より

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概要
本プロジェクトでは以下の課題を解決し、2026年までにMSC認証の取得を目指します。

① 関係機関への働きかけ
 ヨシキリザメの資源状態ついては大きな懸念はないものの、持続的な利用を担保する上で重要な漁獲方策や管理基準値、漁獲制御ルールが設定されていないため、中西部太平洋マグロ類保存委員会(WCPFC)に働きかけていきます。また、ヨシキリザメを同じく漁獲する国や地域との連携および、科学的な管理手法の評価のために、水産庁をはじめとする関係者に働きかけていきます。

② 管理確認方法の改善
 予防原則に従った管理目的を持っているか、また利害関係者との関係性が透明性を持って構築されるよう意図されているかなどを、証拠資料をもって確認できるようにしていきます。

③ 漁獲情報や生態系の影響に関する情報収集の精度向上
 漁獲情報に関するデータの収集方法及び記録方法を改善し、特にサメのヒレ切りが行われていないことを客観的証拠とともに示していきます。また、混獲されやすい絶滅危惧種や保護種のデータ収集、混獲回避技術についても制度を高めていきます。シーフードレガシーはMSC認証機関であるSCSの技術的サポートのもとプロジェクトの計画立案、進行を、気仙沼遠洋漁協を現場での実施主体として計画に沿って現場での改善を図り、岩手大学資源経済・政策と数理資源研究室は本プロジェクトへの科学的知見の提供を担当します。

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プロジェクト進捗
本プロジェクトは1年間の活動計画に基づき改善を実施し、半年毎に進捗確認と報告を行っています。

2020年1月 FIP準備開始
2017年の予備審査を更新し、現状とMSC基準のギャップなどを改めて確認しました

2020年12月 作業計画ファイナライズ
ステークホルダーからの意見を反映させ、作業計画を最終化させました

2017年7月 MSC予備審査
MSC基準に対して予備審査を受けました

2019年8月  FIP活動に関する説明会を開催
2017年の予備審査結果より、本審査前にFIPを実施することで合意しました

2020年10月 作業計画に関するステークホルダー会議実施
管理機関、管理省庁、科学者、学術有識者、地元加工業者、関連漁業団体、NGOなど幅広い分野から関係者が参加し、作業計画に関する意見交換会を実施しました

2020年8月 作業計画策定開始
MSC予備審査で明らかになった課題に対する長期的な活動計画の策定を開始しました

2021年2月 FIP関係者による覚書締結
気仙沼遠洋漁業協同組合、宮城かつお・まぐろ漁業組合、岩手大学農学部資源経済・政策と数理資源研究室、株式会社シーフードレガシーの4者で覚書を締結しました

2021年3月 FIP開始
FIPを開始 (プレスリリースはこちら

弊社はConservation Alliance for Seafood Solutions 漁業改善プロジェクト支援のためのガイドラインに準拠しております。


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