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自分で自分のプライベートデータを管理・駆使するデジタル近未来 #2020年代の未来予想図

2020年代の未来年表

2020年 - 個人情報保護法の3年ごと見直しによる改正。企業間におけるプライベートデータの連携が実質不可能になる。cookieのマーケティング利用に大きく規制がかかる。

2020年前半 - GAFAやモバイルキャリア・通信事業社など”自社で独自にユーザーのプライベートデータを持つ企業”による一強時代に突入、そのほか大多数の”プライベートデータを持たざる企業”のマーケティング活動の未来が閉ざされる。アドテクノロジー企業を主導にcookieに代わるマーケティング識別子が模索されるも、いずれも普及せず。

2020年前半 - cookieに頼らず、自社独自のプライベートデータを駆使して新たなビジネス・サービスを次々に打ち出し、新たな未来を描き出すGAFAやモバイルキャリア・通信事業社の姿をみるにつけ、世の中がふと気づく。「cookieの時代は特に意識したことがなかったが、自分のプライベートデータは企業にとって大きな価値を秘めているモノではないか」「WEBサービスなどを無料・無償で利用していると思っていたが、実は自分の価値あるプライベートデータを企業に提供することで、その対価としてサービスを利用していたのではないか」「自分のプライベートデータで、特定の企業が潤うというのはズルくないか」

2020年中頃 - 企業からユーザーへ。大政奉還によりプライベートデータの所有権・主権がユーザーの手に戻る。この動きは、世界に先駆けて日本において巻き起こり、国内に定着。デジタルマーケティング、アドテクノロジーで欧米の後塵を排していた後進国日本、ガラパゴス日本の面目躍如。「自分で自分のプライベートデータを管理・駆使する」デジタル近未来の新たな習慣・テクノロジー・サービスが日本を培養土に次々と生み出され、世界を席巻する。

企業はプライベートデータの管理者であるユーザーに許諾を得て、お金を支払い、許された範囲のプライベートを購入することで、自社のマーケティングに利活用することができるようになる。


自分の手で、自分の未来を豊かにする

「自分で自分のプライベートデータを管理・駆使する」ことで得ることができる新たな可能性を一言で言うと、”出会い”である。デジタル近未来の豊かさは、”出会い”の量、”出会い”の質の高さで決まる。

数多溢れる情報・サービスの中で、自分の興味関心、普段の行動に最も相応しいモノは何か?新たな発見や潤いをもたらしてくれるモノは何か?また、不要なモノは何か?そういった幾千万の選択肢について、自分のプライベートデータが常に最適な”出会い”をもたらしてくれる。IoTが日常生活の隅々まで行き渡った2020年代において、この恩恵はオンラインに止まらない。「あれ?部屋の電気消したっけ?」「火元は大丈夫かな・・」「戸締りしたっけ?」は過去のこと。「自宅を出て家に不在」のプライベートデータはリアルタイムに記録され、電気から火元、戸締りまであるべき望ましい姿にIoTがきちんと対応してくれる。勿論、テレビ録画や水槽ポンプの電源はONのままである。災害発生時の電源・火元対応も心配ない。

自分の興味関心、普段の行動といったプライベートデータを可能な限り負荷をかけず、無意識に記録するために必要不可欠なのは、情報収集デバイスである。またこの情報収集デバイスは、常時肌身離さず携帯されていることが望ましい。「脳にマイクロチップを埋め込む?」1990年代、そんな発想はSF的であった。2000年、2010年代を生きてきた我々にとっては、それは当たり前の、一人一台なくてはならない生活家電になっている。勿論、スマートフォンである。

毎日ポケットに入れて持ち運ぶスマートフォンが、無意識に、必要なプライベートデータを日々収集し続けてくれる。スマートフォンの画面を通じて、自分が貯めたプライベートデータを確認・管理することができる。「プライベートデータを利活用させてください」という企業のラブコールに対して、自分のプライベートデータを預ける先を自由に取捨選択できる。自分が貯めたプライベートデータを企業に有償提供してお金を稼ぐことができる。企業にプライベートデータを託すことで、豊かな”出会い”が生まれる。自分の手で、主体的に自分の未来をどんどん豊かにすることができる。それが、2020年代のデジタル近未来の姿である。


提言、こんなところからデジタル近未来を始めませんか?

「自分で自分のプライベートデータを管理・駆使する」環境の構築について、目先はスマートフォンアプリケーションからスタートするのが妥当である。アプリを通じて、毎日の生活の中で発生する自分のプライベートデータを蓄えて、企業に提供することで、豊かな”出会い”が生まれる。企業から対価を得ることができる。この習慣を小さく産んで、ユーザーと企業が共に成功体験を積み上げることが、デジタル近未来への第一歩となる。

企業がビジネスのため、プライベートデータの入手に大金を払っているような事例があれば、ここに挑戦するのが良い。大きなお金が動いていればいるほど、都合が良い。例えば、「テレビの視聴率データ」である。「テレビの視聴率データ」は、テレビ局や広告代理店にとってビジネスの根幹である。世帯・個人が、何時何分、何の番組を視聴しているか?について、毎日毎日、前日分のデータを購入し、ビジネスに利活用している。

自宅に帰る、テレビを付ける。何の番組を視る?誰と視る?さらには、この番組は面白かった?また視たいと思った?そんなプライベートデータは、日々蓄積され、また量・質が豊かになればなるほど、テレビ局や広告代理店がお金を支払って得たいと願う宝となる。「CMを視て、商品を買いたいと思ったか?実際に買ったか?」といったデータが加われば、クライアント企業も黙ってはいない。これらデータがクライアント企業の広告宣伝効果を図る指標となれば、テレビ局、広告代理店、クライアント企業にデータが流通し、定着する。

スマートフォンであれば、これらデータの収集は物理的に何ら問題はない。自宅テレビの位置をセンシング、番組・CM視聴を音声収集、視聴のOnTimeにワンクリックアンケート。普段どんな番組を視ているか?のデータが溜まることで、「こんな番組がお好みでは?」レコメンドが充実。番組・CM視聴でポイントGET、蓄えたプライベートデータの量に応じてポイントGET、ポイントを換金。一定量のプライベートデータが溜まったら、企業に販売可能に。一番重要なのは、当該アプリで蓄えたデータの所有権は、アプリ運営会社ではなく、ユーザー個人にある点。アプリ運営会社であっても、ユーザーに許可なく、自社サーバに溜まったプライベートデータを閲覧・分析・利活用することができない。アプリ運営会社も、アプリユーザーからプライベートデータを購入する。とはいえ、プライベートデータを収集し、サーバ保管、セキュアに運営するには大きな投資が発生する。なので、ユーザーはアプリ利用に月額使用料を支払う必要がある。ユーザーが支払うアプリの月額使用料と、アプリ運営会社が支払うプライベートデータの購入費が行って来いの相互バーターになる。そんな仕組みを作る。

実証実験的に、このようなところから始めませんでしょうか。お声が掛かりますこと、お待ちしております。


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