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「蛍火の杜へ」試写会感想

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2011年8月22日の日記です。



今月の6日、映画「蛍火の杜へ」の試写会に行って来ました!

試写会の抽選に申し込んだら当選し、ものすごく嬉しかったです。当選のお知らせメールを受信した時の喜びは計り知れない。抽選だからたぶん無理よねとか思いつつも、結構、結果を気にしていたらしく。申し込んだ翌日くらいからドキドキしてパソコンメールをチェックしていました。そして当選した! すごい! 未だに感動しています。

当日の夕方、都内某所にて「蛍火の杜へ」を公開前に鑑賞して来ました。すごすぎる。

私は映画館でみんなで観るのかと思っていたのですが、案内されたのは会社の小さな一室という感じのところで、人数も少なくて、すごく緊張しました。ラッシュフィルムとかここで観るのかなとか考えてた。

時間になったら、とてもさらりとした感じで上映が開始されました。ごく自然に、というか。普通の映画を観るような感じの緊張感はなく、それでは始まりまーす、という感じです。でも、通常の映画本編前にあるようなCMなどが一切なく、いきなり本編だったので、ここで一気に緊張しました。

約44分という、おそらく映画にしては短い上映時間なのですが、そんなことは問題ではありませんでした。むしろ、こんなに短い時間でこれだけのものを人間は表現出来て、心に訴え掛ける作品を作れるんだという感動がありました。絵も音楽も声も物語も、とても良かったです。良かったとか感動とか、そのような言葉では言い表し切れないほどの心情を持ちました。睡蓮の花や緑がとても綺麗でした。主に夏の季節が描かれているのですが、夏がきらいな私ですら、夏もちょっといいなと思ったくらい、それほど夏という季節で展開される物語、及び映像が美しく魅力的に描かれていました。

夏祭りに溢れる光がとても綺麗で、言葉のひとつひとつがすごく丁寧に音声にされていて、流れて行く時間のさびしさや美しさがとても印象的です。雪の持つ冷たさを思わせる映像も、そこから連想される心も、はっとするほど印象的でした。

物語の展開としては、個人的には複雑ではないと思います。主軸があり、そこに纏わる、主にふたりの存在、ふたりの心に焦点が当てられています。その心情の動きの追い方が、自然に流れる水を自然に映したように思わせる、全く違和感のない作りをしていて、とても穏やかに安心して物語の中に入り込んで観ていることが出来ました。その中で幾つかある、川の淀みのような感情や出来事が、観ているこちら側の川に小石を投じるような印象があり、それが物語全体を主に包む穏やかさの中でアクセントとなっていた気がします。

たったひとつの、鋭い悲痛と歓喜が交錯する場面が、やはりもっとも印象的でした。その場面が映し出されている時間自体はあまり長くはないのですが、だからこそか、まるで自分のことのような感覚をもたらすと同時に、現実味を覚えました。

実際、出来事というのは瞬間的なものだと思うのです。偶然にしろ必然にしろ、訪れる時というのはほとんど前触れなく、私たちに降り掛かるように思えます。そういう意味での現実感というか、「訪れた時、あるいは瞬間」の現実の時間の流れを誠実に汲み取っているように思え、その潔さが、より一層、その場面の持つ力というものを強めているように感じられました。

何度でも観たい作品です。DVDが発売されたら、きっと買うと思います。そうまで思うことが私は少ないので、本当に貴重な出会いを果たしたと、「蛍火の杜へ」を知ることの出来た様々なきっかけに感謝しています。

物語の概要は知っていたのですが原作は未読のまま、鑑賞に至りました。その日の夜に原作を読み、思わず溜め息が洩れてしまうくらい、映画も原作である漫画も大好きになりました。

試写会当日のお天気は結構暑くて、行きの道でも帰りの道でも、じゃわじゃわじゃわと蝉と思しき虫の鳴き声が聞こえていました。普段なら、暑いしうるさいなと思うところですが、映画の中で描かれていた夏という季節とリンクし、帰り道ではちょっと夏もいいなと思った瞬間です。実際、試写会前と試写会後では、蝉の鳴き声の聞こえ方が違って思えました。映画の力ってすごいです。

前記しましたが、映画本編自体が素晴らしかったことは勿論、約44分という短い時間の中で人間はこれだけのものを表現出来て、これだけ人の心に訴え掛けられるという思いに巡り会えたことも、また大きな発見でした。

私もがんばって小説でそういうものを表して行けたらと思います。

また、映画の中で名前を尋ねた時の間が、すごくざわざわとしたものを覚え、非常に印象的です。

映画ってすごいんだという、単純かもしれませんが、本当に深い感動と驚愕を覚えた日でした。試写会に当選して、すごく嬉しいです。ありがとうございます。

受付にいらっしゃった方がすごく丁寧で素敵な方でした。その節はお世話になりました。と、ここで書いても伝わらないかもですが。なんとなく夏目友人帳の夏目みたいだと私は思いました。

是非、多くの方に観て貰いたい映画です。

試写会に当選して本当に幸せでした。映画館で観る日を今からとても楽しみにしています。

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