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ゴミを拾う

海岸線にはいろんなゴミが落ちていた。
産業廃棄物であるブイや漁網。長靴、タイヤ、ペットボトル、ヘルメット、発泡スチロール。もちろん、明記してある文字を見れば日本のゴミだけではないのが良くわかる。韓国、ロシア、中国。その辺の文字は見て取れたが。
たぶん他の国のゴミも流れ着くだろう。

もちろん、意図せず流れてくる漁具だってある。
海(波)のエネルギーは、それほどまでして高い。
カヤックに乗って3~4mの波に打ち付けられただけでも、私はむち打ちになったこともあった(笑)。日本は島国だもの。そりゃあゴミも集まるし打ちあがる。

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8月下旬、北三陸エリアのとある漁港を使わせていただく機会を得た。
漕ぎ出してみると、震災後に整備されたきれいな漁港のすぐ隣、地図にも海岸と名の付く場所は、ゴミだらけの海岸。
月に3,4回とこの場所に通うようになり、だんだんと違和感を感じるようになった。ここで、仕事としてカヤックを漕ぐ前に、海岸線を綺麗にする努力をするのが先決だろう。そんなことを想った。
カヤックから見える壮大な海岸線の景色が、ゴミだらけなのは、単純に嫌だ。

10/16、いろいろな繋がりときっかけをいただき、関係者の皆さまとゴミ拾い兼カヤックの体験会を実施。
港内ですらうねりが残る日に、総勢10人でゴミ拾いとカヤックを楽しんだ。
正直なところ、誰かひっくり返るんじゃないかと思うような海の上下動があった。漁港内なので何とでもレスキューはできるが、誰もひっくり返ってくれなくてよかったと思う(笑)。本当に皆さん腕がよかった(笑)。

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ゴミを拾いに来てくれる理由なんてなんでもいい。
カヤックに乗りたいから、そんな不純な理由でもいい。
どんな理由でも、海に来て、遊んで、海に興味を持てば絶対にゴミだらけの海岸線に違和感は感じるはずだ。
ここに打ち上げられるゴミの量は、一人だと手に負えない。

漂流ゴミの集約地(ゴミが集まりやすい場所)になっているこの場所でゴミを拾い、目の前がきれいになってももしかするとまた明日、ゴミは打ちあがっているのかもしれない。なぜ、誰が落としたのかもわからないゴミを拾わなければならないのだろうか。
ゴミを拾いたい人なんて、いるわけがない。
それは、当然だ。人が落としたゴミに責任を持てる人なんて、偽善もいいところだ。
なんで、ゴミを拾わなければならないのか。
そこには、きっと何かの誇りがなければならないんだろうな。

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私にとってみれば、それは、海岸線を仕事場としている者の責任でしかない。そんな私の責任に付き合っていただいたみなさまがいることに感謝いたします。

終わりのないゴミ問題は、考えるのもツライ。
一人一人が、還すべき場所に還すだけなのだが。

何が地域のためなのだろう。
この場所で、観光振興のような、いいところだけ、楽しいところだけの上辺を求めているわけではない。
私自身、もっともっと、地域の深いところで意味があることを求めている。
それがどんな形なのかはまだまだわからないが。
私がここでカヤックを漕ぐことが、地域にとって意味のあることになればいいと思っている。

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北三陸OUTDOORSで加盟している1% for the planetのスローガン。
「BE 1% BETTER」=”1%よくする” ということ。

きっと今は、地域の0.0000001%ぐらいの変化でしかない。けれども、このゴミ拾いという活動が、積み重なるにつれて、いつか地域の1%になるように、できる限り協力していこうと思う。

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繋ぎにつないでいただき、まずは関係者のみで動いてみよう、ということで今回のようなきっかけをいただきました。
こんな気温が下がる時期の海に足を向けていただいたみなさま、相談にのっていただいた野田村役場未来づくり推進課、いわて復興応援隊久慈事務所の皆さま、ありがとうございました!

三陸復興国立公園、三陸ジオパーク、みちのく潮風トレイルでもある野田村の海岸線が、楽しく、美味しく、美しくなるように、頑張っていきましょう!

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