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【準備編】津軽海峡横断

津軽海峡横断しようと思うんだ。

え?何で?

ん?シーカヤックガイドだからね、シーカヤックで。

は??なにそれ?何言ってんの?

だいたい、こうなる(笑)
でも、それが普通の反応なんだろうとおもう。
だいたいそう、知らない世界のよくわかんない話はクエスチョンマークから入る。
「この前湖の上でカブトムシを助けてさ!」
「ボラがカヤックにぶつかって気絶したんだよ!」
「5mの大波にもまれてむち打ちでさ!」

だれがこんな話を信じようか。
非日常で仕事をするとはきっとそういうことなんだろう。

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竜飛岬(龍飛岬)
その名のごとく、竜が飛ぶ岬。なんとなく、これだけで想像がつく。
その他にも、義経北方伝説であったり、アイヌ語であったり、諸説あるが私の中で納得できるのは、風の岬、竜が跳ねるほどの風が吹く龍飛岬。
体感として感じることができる。

龍飛岬の手前では、風力発電の風車がまわる。
竜飛崎の西側は、前線通過も伴ってか白波が立っている。
東側は驚くほど静かな海だ。
津軽暖流が流れ込む。
本流は、どうなっているのだろうか。
津軽海峡は、国際海峡であり、中央部は公海だ。
北東アジアから北米へ航路を向けるコンテナ船も通過する。
地元漁師が、マグロの一本釣りをする。
「マグロ漁船には絶対に近づくな」地元漁師が言う。

これだけでも、十分すぎるほど伝わってくる。
ここがどんな場所なのか。

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道中には青函トンネル殉職者の碑があった。
金を稼ぐための仕事だったのだろうか。
それとも、開通の先の豊かさを夢みていたのだろうか。
今となっては知る由もないが、
このトンネルのおかげで経済は繋がり、豊かになったのは間違いない。
そう思ったら、自然と手を合わせていた。
「豊かな未来を次の世代につなぐのが、今生きている私たちの仕事だ」
そんなフレーズを思い出し、なんだか胸にジーンときた。

1%の可能性があるならば。1%?それは無謀だ。
50%?それでもイチかバチかだ。
成功の可能性が、50%以上にならなければきっと登らないだろう。


なにはともあれ、津軽海峡横断が近づいてきた。
出発地は竜飛。目的地は函館。
今日は、対岸が見えなかった。
あまりにも壮大だった。
大きすぎるモノを見ると、人は不安になるという。
たぶん、本能的な感覚なんだろう。
大間崎と比べると、龍飛崎は自然濃度が濃い。
出艇できるのか。天気は?風は?海流は?
6月、まだまだ天気が不安定な頃。

カヤックは楽しいものだし、そんな無理をするような遊びでもない。
もしかしたら、遊び方としては海峡横断なんてものは間違っているのかもしれない。
ただ、いちガイドとして、海とはどんな場所か、自然とはどんな場所か、そんな気持ちを忘れたくないがために自分を奮い立たせる。
誰だって、見たことのない景色を見てみたいって思うじゃない。

果たして、函館のやきとり弁当とボタンエビは食べられるのか。
いや、そこじゃない(笑)。
果たして、無事海峡横断成功なるか。
頼むぜ、お天道様。

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