陸中の核心地 北山崎へ②
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陸中の核心地 北山崎へ②

10月21日、22日と、北三陸OUTDOORSでも加盟している日本セーフティカヌーイング協会(JSCA)の岩手県北部沿岸エリアでの研修に参加。私は2日目、3日目のプログラム、「シーカヤックツアーにおける安全管理」のみの参加となった。
いつか「なかのカヤック」なかのさんと一緒に漕ぎ、撤退したこのエリア。若干トラウマではあるが、今回は、どうなることか。

前日夜(20日)に到着し、集合場所である田野畑村・明戸キャンプ場へ。
夜中の海岸線の山道は本当に怖い。何か飛び出してきてハンドル操作を誤って海岸線から転落なんてことはシャレにならない(笑)
おしっこをちびりそうになりながら普代村をこえて30分ほど、ようやくたどり着いた。海岸線は車1台ともすれ違わなかった。家を出た時から、研修は始まっている。
到着したら、前日より参加していた講師陣、参加者ともどもブルブル震えながら宴をしていた。待っていていただいて?すいませんありがとうございました!

そそくさと就寝の準備をして翌日へ。
漢たちの朝は早い。日の出とともに起床。

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起きるのが早いとか遅いとかそんな情報はどうでもよく(笑)、9時の出艇に合わせ車の回送やらなんやら、準備をすます。
知らない場所を漕ぐという楽しみは勿論だが、研修である。
ただ楽しいで終わるわけがない。そんなプレッシャーをひしひしと感じながら、幸いこのエリアはお客さん役、ということで肩の荷がホッと下りたところ。(笑)

出艇前のブリーフィング。
そうそうたる面々の皆さんと、北三陸の海を漕げることを実は密かに楽しみにしていた。総勢8名。この日は、高気圧の中心が本州をゆっくり太平洋へぬけるような天気図であった。風も、午前中はだいぶ抑えられているが、午後からは一気に南東風が強まる。できるだけ早い時間で普代まで漕ぎぬけよう、という計画であった。距離は約14kmほど。水温は18度前後。

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まずは弁天崎灯台へ向けて。
出艇してすぐ、断崖は始まっている。前回も、ここまでは良かった。
弁天崎を抜けて、どれほどうねりと三角波が立っているのか。

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ここを回り抜ければ、外洋だ。島にポツンと松の木が生えている。
THE日本。盆栽のようだ。よくもそんな奇麗に生えるもんだと感心する。
外海に面しているだけあって夏ももちろん海はきれいなのだが、この時期になってさらに海水温がさがり、よりきれいになっているようにも感じる。
透明なエメラルドグリーンの海。海の色一つとっても感動する。

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弁天崎を抜け、いよいよ外海へ。以前来た時よりも海は安定していたし、三角波もそれほどのエネルギーを感じなかった。もしかして、と思うのだが、もしかして、前回は沿岸沿いを漕いでいい海ではなかったのではないか。なんとなくそんなこと思っていた。
奥には机浜漁港。ここには机浜番屋群がある。

机浜漁港の海岸から100mほど離れた、22棟の木造番屋。漁の拠点として作業場や漁具置き場、土間などの居住空間があります。
 昭和8年の三陸大津波後に建て直され、地元の漁師が出漁の準備や養殖ワカメの出荷作業に使っていました。漁村の原風景と評判となり、平成18年に「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財百選」に選ばれました。
 残念ながら、平成23年3月11日の東日本大震災の大津波により流失しましたが、多くの方のご支援により、以前の面影を復元する形で再建されました。現在は塩づくり体験や番屋漁師ガイド、番屋料理体験など各種体験観光の拠点となっています。
~田野畑村HPより抜粋~

NPO法人たのはたネットワークで運営している、様々なアクティビティが楽しめる番屋群。今回は立ち寄ることはなかったが、「海のアルプス」と称される北山崎を感じることのできるトレイルガイドや、ザッパ船アドベンチャーズを体験できる。この景色を見るためにはそれなりの修練が必要なカヤックとは違い、北山崎が手軽に見れる、これはすごいアクティビティだと思う。カヤックを漕いでいても、ザッパ船と2回ほどすれ違った。
なんで苦労してまでここを漕ぎたいと思うのだろう。
なんでだろう?残念ながら海上で答えは出なかった(笑)。
机浜漁港を過ぎるとその先10km、黒崎を回り込むまで逃げ場はない。ここから先、進むか、進まないか。よりシビアな判断が求められる。

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机浜漁港を過ぎるとすぐに巨大なロウソク岩のような尖った岩と、でっかい海蝕洞が見えてくる。ここは矢越岬。地球がデカイのか。それとも人間が小さいのか。前回よりも波の花が無いし、セットもこない。やっぱり前回よりも海況はいい。

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海蝕洞の前で何を楽しそうに話しているのか。覚えていないが、きっとまた海の上で下ネタか関東の恋愛事情でも聴いているのだろう(笑)
お決まりになった武ちゃんの恋愛相談室in北三陸。もはやそのキャラは定着してしまった。

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地図を見て現在地を確認しながら進んでいるが、似たような地形を進んでいるため、現在地の確認がものすごいわかりにくい。その中でも明確な目標物にできたのは、岬と灯台と展望台、少し大きな島であったり。滝であったり。もう少し地形図から情報を読み取れるようにならないいけないな。目標物を選べるようにはなったが、地形図から地形を予想する、そこにまだ到達できていない。

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そうして漕ぎ進んでいくうちに、たまに後ろを振り返ると見えるその景色に感動する。向きを変えて進めば、また違った感動があるのだろうな。北山崎展望台から見る景色を海抜0mから見る。

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リーダーの「行けません!」の声に肩を落とすガイドたち。嘘でしょ?ここ行くの?と思い、リーダーの判断にほっとしたのは私だけかもしれない。(笑) ガイドとして、いかなる隙間も見落とせないと思って活動しているが、やはり先輩ガイドたちの嗅覚は鋭い。

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北山崎展望台を越え、少しずつ断崖の標高が下がってくる。緑色が増え、久慈の半島が見え始めると少しホッとする。ただ、南東の風があがってくるのはこれからだ。武ちゃんのフラストレーションも、この辺がMAXだったのではないだろうか(笑)。

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一つ手前の入り江にも小さい滝が流れており、どっちがアンモ浦の滝?と迷ったが、ザッパ船で滝の下付近にいた漁師さんに確認したところ、上の写真がアンモ浦の滝のようだ。水量が少し少ないが、こんなものだろうか?
それとも、ここにたどり着くまでに多くの感動を見てきたためか、少し感動が少なかった。もしかしたら、日の当たり方もあるのかもしれない。
ちなみに、ここは釜石のシーカヤックショップMESAの草山親分に、「感度の高い人は感動のあまり失禁するエリア」と聞いていた(笑)。残念ながら今回のカヤッキングでは失禁した人はいない(と思う)。

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黒崎灯台を回り込み、南東の風が上がってきた。予報よりちょっと早いだろうか。

ちなみに黒崎灯台、恋する灯台、そして日本の灯台50選に認定されている。
以前、日本の灯台は小さいモノまで含めると2000近くある、と聞いたことがある。それが本当であれば、50選に選ばれるのはすごいことだ。
海から見た灯台は、なんだかすごく小さく、短く見えた。
断崖のインパクトがありすぎるのか。まあ、そんなこと思っていても灯台の役割は灯台の大きさに関係ないだろう。

海上交通の要所で、幕末には砲台場があった黒崎に立つ灯台。約130メートルの断崖という険しい自然の中にあって、砲弾にかわり灯光で船を守る灯台は白い道標として誇り高い。近くの展望台から広がる紺青の太平洋と空のグラデーションは、「青の国」とうたう土地ならではだ。この地には、縁結びの神として古くから信仰される鵜鳥神社がある。「情熱の赤」ではなく、深く落ち着いた「静かな青」の恋をしたい時に訪れたい場所だ。

荒々しい海の上で恋なんて・・・。ねぇ、なかのさん。(笑) 私も他人の心配している場合ではないが。

バカな話はさておき、今は工事中のネダリ浜を越え、ようやく普代浜が見えてきた。
みちのく潮風トレイルを歩いた時もそうだったけれど、たった3時間4時間、たかだか15kmほどの距離でも街が近づいてくると安心する。その感覚が好きだったりもする。

前回の撤退と、今回の状況を比べてみて。技術も、知識ももちろん大事なのだが、行くか行かないかの判断はやはり経験でしかないのだろうと感じる。
前回、撤退した理由は危険な場所にリスクを省みず突っ込んだからだ。いかない、その判断ができなかったのは経験のなさだ。そしてその経験から、外洋のツーリングではドライレイヤーと大判のタオルを持つようになった。経験を積むことの大事さを痛感する。そして、経験を積まなければ必要なこと、必要じゃないことは判断できないだろう。経験を積み上げて初めてその判断は感覚ではなく、根拠ある意味のあるものになるんだろうな。この海で仕事をするのであれば、経験が、まだまだ足りないな。そんなことを痛感した。

北山崎をはじめとする北三陸エリア。
昭和30年に陸中海岸国立公園の名で編入された当初から、その核心地である北山崎。国立公園概要には「我が国最大級の海食崖」と称されている。
200mの断崖が、8キロ近く続いている大断崖。別名、海のアルプス。
まだそんなに多くない私の経験の中で、一番感動が多かったかもしれない。
自分を奮い立たせることのできる場所が近くにあることを、嬉しく思う。

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三陸復興国立公園、みちのく潮風トレイル、三陸ジオパーク。
陸路も、海路も。
ここは、一つの憧れの地だと再認識しました。


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北三陸OUTDOORSの漕ぐ人。北三陸エリアをベースとし、カヤックを軸としたアウトドアガイドサービスを提供します。 三陸復興国立公園、三陸ジオパーク、そして、みちのく潮風トレイル。 北三陸という壮大な遊び場が皆さんにとって身近な遊び場になりますように。迷走日記です。