小川原湖の夕焼け②
2022年、今年もこのツアーが始まった。
いつも、ツアー3日前から夕凪に出会えるだろうか、夕焼けを見れるだろうか、ハラハラハラハラとしながら前日を迎える。
もちろん、夕凪にも出会えなければ夕日も見えないことだってある。
夕凪や夕焼けはもちろんだが、一番は人の活動が落ち着く夕方、静かな時間をじっと湖上の上で自然に溶け込む、そんな感覚を大事にしてもらいたいのんびりとしたツアーだ。
この日の集合は17:00。受付、準備を済ませ、小川原湖畔へ。
今の時期は、日中は暖かくとも日が落ちるころには寒い。ウインドブレーカーや雨具などがあればより快適なツアーになるだろう。
また、ひっくり返らない限りはびしょ濡れにはならないが、ひざ元や足などはパドルから滴った水が落ちてくるので、濡れる、と思った方が後で苦労は少ない。せっかく水辺でのツアーに参加するのなら、服装は濡れても困らないもの(普段のスポーツウエアでも十分)を選んでいただける方が、楽しめる。
プライベートツアー(貸し切りツアー)として設定しているので、周りに気を止めることもなく、ゲストに合わせたペースでツアーは進んでいく。
2人参加が多いが、1人でも、3人でも受け付けている。定員は1グループ5人までとなる。
カヤックが初めての方でも、陸上での操作や器具の説明、安全について、水上では基本操作をさくっとおさらいしてから、夕日を見に出かける。
ガイドツアーであれば、カヤックを漕ぐ、ということはそんなにハードルは高くない。遠浅であり、ましてやこのツアーは「カヤックを漕ぐ」ということにあまり念を入れていない。カヤックは、夕日を見るために、少し湖上を移動するための道具だ。
陸上での操作説明や、安全についてのお話を15分程ですませ、いざ、水上へ。
出艇後は10分ほど基本操作をおさらいする。真っすぐ進めるか、右に曲がれるか、左に曲がれるか、あとはブレーキ、バックができるか。
何度も言うが、そんなに難しいことではない。少し漕げば、無風であればいつの間にか思う方向に進めるようになっている。
そろそろ、そろそろこんないい条件の中で、ガイド大津もゲストの皆さんにあーだ、こーだ、と言うのが辛くなってくる。
でも、言わせてください、僕らも仕事なんです・・(笑)。
ここまででガイドが小言を言うのは終了。ツアーが始まっておおよそ30分ぐらいだろうか。なんとなく思う方向に進める、漕げることを確認してから、夕焼けポイントへゆっくりのんびり進む。小川原湖のお話、またはゲストの皆さんの道中のお話などを聞きながら。
この日の日没は18:34。日没前後20分程度は、日没をじっと眺めてもらう。ガイドはゲストの視覚から消えるが、もちろん後ろで待機。
思ったよりもすごい景色を見たとき、息をのむし、薄い曇り空で心地よい夕焼けのグラデーションが見えると、心が和む。分厚い雲に覆われて夕焼けが見えないときは、貸し切りの静かな湖上で心を静める。
夕日が見えるか、夕凪に出会えるか、マジックアワーを見れるのか。
それがその日の自然の顔なのだろうと思っている。
普段の行いがよくとも、この景色が見れないときはある。
季節が変わると、夕日の沈む方向が少しずれる。ツアー出艇場所から見ると、春は北西に沈み、はっきりとした姿形を見せる。秋には、八甲田をバックに夕日が沈んでいく。
そうして、夕焼けが沈むと一気に周りは暗くなり、反対側には月が出始める。夢中無心で日没を望むゲストに、「寒くなるので、そろそろ帰りましょうか」、の一声で出艇場所へ戻り、ツアーを終了する。
青森、三沢、小川原湖で心静まるひと時を。
「夕暮れの日常を忘れるひと時を。一組限定のプライベートカヤックツアー」
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