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海野まなみ
2022年3月31日 12:17
修羅場は3時間以上、続いたと思う。最初はとぼけていた彼も、次第に冷静さを失ってきて、私に罵詈雑言を浴びせ始めた。それは浮気とは全く関係のないことだった。「俺の金で暮らしてるくせに!」「誰のおかげでこんな生活ができると思ってるんだ!」しまいには、「俺のプライベートに口出す権利はない!」と無茶苦茶なことを言った。巧みに論点をずらし、相手を追い詰めていく。彼のよくやる戦法
2022年3月30日 16:58
2回目の裏切り。これをどう表現したらいいだろう。彼を信用していたわけではなかったが、いくらなんでもそこまでバカじゃないだろう、とも思っていた。彼はバカだった。私はもう、精神的に限界で、後先を考えずに彼に直接言った。「まだ、あの女と付き合ってるんだね」「・・・なにそれ。どういうこと?」「偶然、あの女のSNSを見たよ。バカ丸出しだね。 あなたから聞いたスケジュールと、行き先
2022年3月29日 08:15
彼はまた浮気をしている。もしかしたら、浮気相手と切れていないのかもしれない・・・。彼の自爆によって、はっきり判明した女の存在。その時に、フルネームや年齢、住んでいる地域などがわかったから、ネットで調べるのは簡単だった。女は脇が甘いのか、自分の行動をSNSでアップしていた。あとはもう、彼のスケジュールと照らし合わせるだけ・・・。結果はもちろん。ビンゴ!だった。自分のカ
2022年3月28日 15:50
浮気が発覚してからしばらくは、彼もおとなしくしていたと思う。私もしばらくは塩対応だったけど、日常に流されてだんだんと緩やかになり、一緒に食事に行ったり、旅行を楽しんだりした。ただもちろん、そんな簡単に傷は癒えるわけでもなく、「終わったこと」として、彼を責めないようにするのが精一杯だった。それから数ヶ月経った頃だと思う。私の中で「何かがおかしい」と感じたのだ。彼の、私に対
2022年3月27日 16:22
浮気がバレてから、しばらくの間、彼はとても気を使っていたが、私は顔を見るのも嫌な時期が続いていた。離婚も考えなかったわけでではないが、当時は無職の専業主婦で、選択の余地はない。浮気なんてよくある話で、この程度で済めばいいのかもしれない。むしろ彼も、自爆したことで反省し、私を傷つけたことを後悔しただろう。そんな風に思わなければ、私の傷は癒えなかった。けれど、現実は、そん
2022年3月26日 18:21
突然の浮気相手からのメッセージを目の当たりにし、私は茫然自失。彼は言い訳のオンパレードで、まともな話し合いにならない。私はそれ以前から、彼の浮気を知っていて、いつ、その事実を突き付けようかとずっと考えていた。けれど、まさかこんな風に、向こうが勝手に自爆するとは思わなかった。だから、私は知らなかったフリをした。初めて知って、とても傷ついた。というフリをした。いや、もちろん十分
2022年3月25日 13:58
それからすぐにカフェを出て、無言で家まで帰った。「ちゃんと話そう」と言ったのは、彼の方だったと思う。それは言い訳のオンパレードだった。彼女は気の合う女友達の1人で、やましい気持ちはない。来月は出張ついでに彼女と遊ぶ約束はしてたけど、ホテルは2部屋取った。ただ、誤解されるようなことになったのは悪いと思っている・・・。最初は冷静に聞いていたものの、あまりにも馬鹿馬鹿しい言い訳ば
2022年3月24日 14:13
私の目の前で、彼の携帯に、浮気相手の女からメッセージが届いた。その時、私たち夫婦はカフェにいた。ランチを済ませ、それぞれが本を読んだりスマホを見たりして、くつろいでいたと思う。もうその辺の記憶が曖昧だが、確か彼が、「このニュース面白いから読んでみてよ」と言って、自分のスマホを私に手渡した。その時だった。「来月のホテル予約したよ!楽しみ!」という、ハートマーク付きのメッ
2022年3月22日 17:37
必要書類を順番に処理をしながら、Xデーに向けて準備を進めている。見通しが立ってきたせいか、最近は彼の機嫌がとてもいい。相変わらず会話はほとんどないけれど、無愛想ではなくなったし、家事も積極的に手伝ってくれている。そうなると、私の心境もまた変化する。また、結婚生活に未練が出てくるのだ。あれだけ酷いことをされたのに、喉元過ぎたら忘れてしまう。けれど、忘れないと辛くて生きていけ
2022年3月21日 17:30
それでもまだ、私が会社員として働いていた時は、バランスは保たれていたような気がした。給料から生活費を入れていたからだ。彼の転勤に伴って仕事をやめてからは、パート仕事の繰り返し。決して納得していたわけじゃないけど、彼のライフスタイルに合わせて生活をしてきたので、自分から変えることが出来なくなってしまった。もし、私に経済力があったら、夫婦仲はもっとよくなっただろうか。もちろ
2022年3月20日 18:22
出会った時、彼はすでに起業家として活躍していたから、私には、それがとても眩しく見えた。当初、彼への感情は「尊敬」が先だったのだ。だから「あれ?ちょっとおかしいな?」と思うことも、「私よりも成功しているんだから、きっと彼の方が正しいのだ」と、無理矢理、自分を納得させることもあった。リーダーシップや決断力は、簡単に「自分勝手」に転ぶ。仕事モードを家庭に持ち込まれたら、夫婦関係は、上
2022年3月19日 17:54
たまに「そんな男と結婚したのは自分自身。自業自得でしょ」という言葉を見かける。確かにその通りだけど、結婚前にその人の本質を見抜けるわけがない、と思う。結婚前は誰だって、相手に好かれたいし、嫌われたくない。必要以上に自分をよく見せるし、相手の欠点も見て見ぬふりをする。現実の結婚生活が始まってからようやく、お互いの化けの皮が剥がれるのだ。彼の場合、出会った時にはすでに起業し
2022年3月18日 18:56
先月は結婚記念日があった。今更、祝う気もないので黙っていたけれど、もちろん彼からも何も言われなかった。ただこれは毎年のこと。例年は私から予定を聞き、レストランで食事をするのが恒例行事だった。入籍日のことは今でも覚えている。区役所に届け出を出した後、予約していたレストランで食事をしたのだ。それからずっと、この日の外食は恒例行事になった。1年前はコロナ禍真っ最中だったから希望の
2022年3月17日 17:32
彼に、離婚後もここで1人で住んでみたい、と伝えた。「あ、そう。それなら俺も物件を探すから。 いいところがあったらすぐに引っ越すかも」それならそれでいいのかもしれない。まずは別居。それから離婚の話し合いの方がスムーズに行きそうだ。弁護士にもお願いできるかもしれない。経済面での不安は残るけれど、遅かれ早かれだ。彼の会社ではリモートワークが定着したため、出勤することがほとんど無く