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芥川賞はやらせなの?に迫る!(勝手に)【宍戸竜二メルマガvol.6】

こんにちは。

宍戸です。

お笑い芸人の又吉は、稀に見る読書家だ。

そう言い放ったのは、単発で通っていた小説教室の講師、
根本昌夫先生である。


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今日は勝手に芥川賞はヤラセなのか?
という、言いがかりも甚だしい部分を切り裂いていこうと思う。
ミニチュアのような刃で。


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根本先生は、よしもとばななや小川洋子など、
そうそうたるメンツをこの世に解き放った稀代の編集者である。
しかも、ここ数年で教室の参加者の中から芥川賞が3人も出ている。愕

驚愕の「愕」という字がわたしは好きだ。
まさに驚愕を字で体を表しているから。笑

去年映画化された小説で、40万部を売り上げた、
「おらおらでひとりいぐも」の若竹千佐子さんもその一人である。

先生はずっと、若竹さんにあなたは大きな賞を獲る。
と言い続けてきたらしい。

60歳で初めて世に出た若竹さんももちろんすごいが、
根本先生の神眼も相当なものだ。





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小説サロンに集まる参加者はプロの作家を始め、
新人賞で最終候補に残るような人たちがゴロゴロいる。

小説家を目指すノベルバムな方々は、まず娯楽としては読まない。
(バムという言葉は、狂ってのめりこむ。のような語彙。
クライマーのクライミングバムとか、バイクのモトバムとか?)

その作家が、
どんな作家に影響を受けたのか、
どれだけの量の本を読んだのか、
どの文章がどの本にインスパイアされたのか、
その辺りをまずは考察する。

その娯楽感のない感想を聞いたとき、
今目の前で何が起こっているのか全くわからなかった、


===
教室では、お互いがお互いの作品を読みあう「合評」、
というえげつないシステムが採用されていた。

先生はもちろん提出作品のすべてを読むが、
(ただ読むだけじゃなくて、長編だろうと3回読むとおっしゃっていた。
3回とも違う読み方があるらしい。もはや神の聖域である)
参加者同士も読みあうのだ。

しかも、ガチムチのノベルバムの方々の合評は熾烈を極める。


わたくしもへらへらと、作品を提出したものの、
皆さんの批評は僕の膝を地につけるには、
お釣りが-2兆円くるような凄まじい衝撃だった。

もう心は借金まみれだ。

とんでもないところに足を突っ込んでしまったと、
大火傷をして帰ってきた記憶が生々しく、
いつ思い出してもガクガクブルブルンとなる。


===
誰一人として、
ストーリーを追うだけの娯楽感覚では読まない。

要はもう編集者なのである。

根元先生はとても温厚だが、その視線は誰よりも鋭い。

どこそこの文章の裏には、あの社会事情の事件が隠されている。
とまで言い出す。

そう言われて読み直しても、
自分が読んでいるところが間違っているのか?
と思うほど、なんでそうなるの?!
と西田敏行になった。ふるっ!

まるでダイイングメッセージでも読み解こうとするかのようで、
視点の角度のバリエーションの多さを思い知った。


===
根元先生を筆頭に、そんなノベルバムの方々が、
その時の課題だった又吉の「劇場」という作品を全員が絶賛した。

しかも惚れ惚れするくらいの出来だと言う。


先生は、彼の圧倒的な読書量が容易に想像できると言った。
そしてどんなジャンルが好きで、どんな作家が好きなのかも言い放つ。

何をどう感じたらそうなるんだ…、
もはやそこはスピリチュアルな世界のようだった。

そんなこと信じられん!

と思うかもしれないが、
そんなことは日常にいくらでもある。


例えば、

ラーメンの猛者ならば、

ひとくちラーメンをすすれば、
その作り手がどんな店で修行し、
どんなラーメンにインスパイアされているのかなんてすぐにわかるだろう。


車の猛者ならば、

そのデザインや性能を見れば、
歴史文脈まで手に取るように説明するだろう。

そんなことと同じなのだ。

そう、もうマニアなのだ。
マニマニのマニアの世界なのだ!


===
昨今の芥川・直木賞レースは、
芸能人や最年少なんとの話題ばかりが目立っているが、
そんな手先だけで書いた小説なんて、
絶対に評価されるわけがない劇薬マニアの世界なのだ。


娯楽でしか読まない一般読者が、
その選考に追いつけないのも無理はない。


だから、娯楽としてしか読めなかったからといって、
あの賞レースの選考をしのごの言うのは、浅はかすぎるのだ。


===
芥川・直木賞は、マニア向けであったものが、さらにマニア向けになり、

一読者を置いてきぼりにしているのかもしれない。

それはそれで問題であるのかもしれない。

本が売れない出版業界において、

マニア向けになるほど読者離れを誘引し続けてしまうだろうし。

まあ出版業界の行く末は、今は置いておこう。


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自分が強く思うのは、

どんなことでも自分の価値観で判断したことだけが正しいことではなくて、

世界には、様々な価値観からの視点がある。

そんなたくさんの目線を持ち続けたいものだ。

と、ありきたりな着地を決めて、今日はさようなら。


今日もお読みくださり
ありがとうございます。
 
 
宍戸竜二

イラストレーターと塗装店勤務と二足のわらじ+気ままな執筆をしております。サポート頂けたものは全て大事に制作へと注ぎます!