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ケモノの医者の体験談 vol.9 就活秘話 面接その④

夫を理由にしてB動物病院を辞め、M院長が新たに紹介してくれたY動物病院へ面接に行きました。

正確にはM院長は別の動物病院を紹介してくれようとしたのですが、そこは今は募集をしておらず、代わりに院長ご自身の同級生がやっているY動物病院を紹介してくれたのです。

Y院長は男性で前に代診を3人ほど雇った経験があり1人目は男性。Y院長自身が初めて雇う代診だったので少々一所懸命になりすぎてしまったようで、それが負担になって辞めてしまったとのことでした。

2人目はもともと体調に少し不安があった女性の方を、大学の先生からお願いされて雇ったものの、やはり仕事の責務に耐えられず辞めてしまったとのことですが、自分が追い詰めてしまったのかもしれないとのことでした。

実は1人目、2人目は同じ大学出身、そして3人目もそうでした。大学の研究室の先生などとのつながりがあると就職をお願いされることがあったり、逆に病院側から募集をしたりがよくあります。

3人目の先生は男性で、やはり親しくしていた研究室の出身でした。でもどうやらこれまでの2人以上にY院長と波長が合わず、いや、合わな過ぎたようで、かなりトラブって辞めることになったため、もう同じ研究室からの募集は見込めなくなってしまったとのことでした。

3人ともいわくつきの退職だったこともあり、Y院長は自分には人を雇う資格がないのかな、とだいぶ凹んでいたようでした。

そして募集はしているけれど本当は男手がほしい、ということをM院長から聞きました。なので働けるかどうかは会ってみるまでわからない、と。

いざ

面接の日、Y院長には子供がまだ小さいことと家庭福祉員さんにみてもらっているためフルタイムでは働けないことを伝え、Y院長からは勤務条件などの話がありました。

私の今の状況ではアルバイト扱いで時給800円と言われました。

雇う側としては、例えば緊急時に呼び出せばいつでも飛んで来られる自由が利く人にお金を出したいと思うし、私を雇ってもあとで良い条件の人がきたら辞めてもらうかもしれない(事前に聞いていたように本当は男性獣医師がほしい)から、それでもいいならと言われました。

子連れで臨床経験がないのは不利でしかないので、臨床に少しでもすがっていたければ800円でもありがたいと思ったほうがいいよ、とも言われました。

ただ…。

私の前に3人辞めていることについて、Y院長は自分のせいだと言いました。

3人とも精神的なストレスを受けて心を病んで辞めてしまったらしく、その内容についてかなり具体的に話してくれました。

確かに3パターンそれぞれ違えどやや衝撃的な辞め方でした。

院長側の話であるので先の代診さんたちの言い分はわかりませんが、Y院長と3人の代診のタイプが合わなかったことがトラブルの原因だという印象で、Y院長だけが悪いようには感じませんでした。

Y院長が何か嫌がらせをするとかパワハラをするとかそいういうことではなく、物事の考え方や仕事の運び方などへの姿勢やタイミングなどが、ちょっと合わせられなかったような印象でした。

ただ話が本当だったとして、今度は私がそれに耐えられるかどうか、Y院長とタイプが合うのかどうか。

「みんな病んじゃってるからね。キミもそうなるかもしれないよ。」

そこでY院長に「私は今、心身ともに健康なので、もし私が精神を病んで辞めたらそれは先生のせいです。」と言いました。

Y院長は笑って、それで就職がきまりました。

時給800円、もし男性獣医師が就活に来たらクビ。勤務時間は平日9時から17時、土日は9時から20時までのフルタイム、休診日は木曜日と祝日。

通勤時間はdoor to doorで約1時間とこれまでで一番遠いけど、もう頑張るしかないなと思いました。



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