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ケモノの医者の体験談 vol.5 就活秘話 面接その③

B動物病院

とても親身になってくれたM動物病院の先生(vol.4)のおかげでなんとなく働けそうな気分。紹介してもらった女性院長のB動物病院へ面接へ行ってみました。

今度こそ(というほど苦労していないが)働けますように…。

地元の主要な街道に沿って1階を店舗にした2階建ての家が並び、B動物病院はその並びにある小さな病院でした。正面には院内が見える小窓があり、その横に開き戸の入り口がありました。

入り口を入ってすぐの8畳ほどの空間は、オフィス用のカウンター机を受付にして、棚で目隠しをした奥に診察台と院長のデスク、電子カルテ用のパソコン、調剤スペースなどがありました。

診察室の奥には狭い廊下があって、廊下の左奥はオペ室兼入院室となっており、レントゲン撮影もオペ台で行います。犬のシャンプーや院内の洗い物をするシンクもありました。

廊下の真ん中に階段があり、院長の居住スペースである2階に続いていました。患者さんがいない時間、B院長はほとんど2階にいるようでした。

階段の下に高さ60cmくらいの納戸があり、その中を暗室としてレントゲンフィルムを現像できるようにしていました。納戸の前に黒いカーテンをして光を遮断し、しゃがんで現像する感じでした。

ちょっと昔のレントゲン現像の話

当時、レントゲンフィルムの現像は手現(手で現像)でやるか自現機(自動現像機を使った現像)でやるかのどちらかで、今のようなデジタルレントゲンを備えている動物病院はほぼありませんでした。

現像時間は当然ながら手現よりも自現機のほうが早いですし手間もかかりません。

ですが当時の自現機は立ち上がりに時間がかかるため、撮影予定がなくてもスイッチを入れてready状態にしておくのが一般的で、スイッチを入れれば中の現像液や定着液が循環したり消費されるので、使わなくても一定期間で交換しなければならずランニングコストがかかっていまいます。

なのでレントゲンを毎日撮影するわけではない小さな規模の動物病院では、工夫をして暗室を作り、タイマーで時間を測りながら一定温度に温めた現像液と定着液に順に浸して…という手現像をしているところが少なくありませんでした。

私が大学時代に所属していた研究室では、電子顕微鏡写真の現像やウエスタンブロッティングなどで反応させたフィルムの現像をする暗室があったので、なんだか懐かしく感じました。

日給6,000円、週3回

B院長の代診時代の恩師であるM動物病院の院長の紹介ということもあり、B院長は院内を案内してくれたり、治療方針などについてのポリシーも聞かせてくださいました。

B院長は「まだ軌道に乗っている病院ではないので常勤で雇うことは難しいが、むしろあなたもお子さんがいるならパートとして平日9時~17時を2日間、土曜日9時~20時のフルタイムで、日給6,000円ではどうか」と提案してくれました。

6,000円×月12回なら、家庭福祉員さんに支払う保育料とトントンになるか、ちょっと余るかもしれないくらいなので、私にとっては理想的な臨床入門でした。

ちなみに多くの動物病院は9時~12時が午前の診療時間、12時~15時または16時までがお昼休みで、この時間に手術などを行い、午後の診療は16時~19時・20時などとなっています。

規模の大きな病院だとスタッフが交代で診療にあたるので、年中無休だったり昼など特に休診時間を設けてないところもあり、診察中も奥で手術をしていたりするところもあります。

そして今でこそ多少変化してきていますが、なぜか木曜休診の動物病院が多いです。学会なども木曜日に開催するところが多くあります。嘘か本当か、人間の医師会や弁護士会の真似をしていたんだよと聞いたことがありますが、実際はどうなんでしょう、ナゾです。

B院長は外科研究室出身だそうで手術全般は得意なようでした。基礎系出身の私としては勉強させてもえるのでとてもありがたい!

西洋医学と代診時代にM動物病院で習得した漢方や鍼灸など東洋医学の知識と技術のほか、自然食品で良いと思ったものは取り入れてるとのこと。

すこ~し怖そうな?一面もありそうでしたが、お話の端々におちゃめな感じがする雰囲気の先生でした。

看護師兼トリマーの女の子(勤2か月)と、週1回トリミングだけに来るトリマーの女の子がいるとのことでした。

そして!なんと!やっと!

これで就職がきまりました!!

平均して診察件数の多い火、水、土曜日の週3回を勤務日として通うことになり、常勤している看護師兼トリマーさんに挨拶をしてその日は帰りました。

いよいよ念願の臨床だ!

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