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移動手段をシームレスにつなげるWhimをビジネスモデル図解

1.Whim(あらゆる移動手段をシームレスに繋げるサービス)

「移動」をものすごく便利にしてくれるサービスがヘルシンキ(フィンランド)にあります。

新しい経済「ネオエコノミー」の代表例として、2019/2/25の日本経済新聞朝刊で紹介されていた、
「Whim」
という世界初のMaaSプラットフォームです。ヘルシンキ(フィンランド)で2017年に提供が開始されました。

「快適な移動」という豊かさを生むのは、車というモノの所有ではない。どんな乗り物が、どこに、どれだけ、どんな状態にあるか。ばらばらで形のない情報をつなぐことで価値が生まれる。

Whimというサービスは、これを実現しているサービスのようです。どんなビジネスモデルなのか気になりますよね?
ということで、ビジネスモデル図解してみました。

と、その前にMaaSって何?という方のために、MaaSの説明を。
MaaS(Mobility-as-a-Service)について、総務省のHPでは、以下のように定義されています。

電車やバス、飛行機など複数の交通手段を乗り継いで移動する際、それらを跨いだ移動ルートは検索可能となりましたが、予約や運賃の支払いは、各事業者に対して個別に行う必要があります。 このような仕組みを、手元のスマートフォン等から検索~予約~支払を一度に行えるように改めて、ユーザーの利便性を大幅に高めたり、また移動の効率化により都市部での交通渋滞や環境問題、地方での交通弱者対策などの問題の解決に役立てようとする考え方の上に立っているサービスがMaaSです。引用元:総務省HP

要約すると、

・移動ルートの検索、予約、支払がワンストップで行える
・移動の効率化を図り、交通渋滞や環境問題、交通弱者対策などの社会課題の解決に役立つ

これらを実現するサービスの事をMaaSと呼んでいます。

2.ビジネスモデル

Whimのサイトはこちらです。

図解してみました。

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Whimのサービスの特徴は大きく分けて3つあります。

①鉄道、バスなどの公共交通機関に加え、タクシー、レンタカー、カーシェアリング、レンタサイクルなどの、あらゆる移動手段が利用できる

②これらの移動手段を組み合わせて、最適なルートが検索できる

ルート検索・予約・決済がワンストップで行える

最大月額499ユーロを支払うだけで、これらのサービスが利用できる。

移動手段が「電車だけ」といった場合は良いですが、複数の移動手段を組み合わせないと目的地に辿り着けない時、
・まず、どのような移動手段があるのかを調べ、
・乗り降りする場所や時間、料金を確認し、
・必要な手配をする。
出張などで、こういった経験がある人にとっては、このサービスの素晴らしさが良く分かるのではないでしょうか?

3.使い方

使い方は至ってシンプルです。

①目的地を入力して検索
②表示された移動手段(経路)と料金を確認し、決済
③電車の中やタクシーなどで、求められたらアプリの画面を見せる

これだけです。

こうした新しいサービスが社会に受け入れられるかどうかは、以下にシンプルで分かりやすいユーザインタフェース(UI)に出来るかがキモです。
自分は実際に使ったことはありませんが、HPを見る限り、しっかり設計されているように思います。

日本で同様のサービスを普及させる際は、老若男女、誰でも使いやすいサービスにする必要があると考えており、少し例えが古いですが、Suicaの「タッチ&ゴー」のようなシンプルさ、分かりやすさを目指して欲しいところです。

4.料金プラン

料金プランは3種類用意されているようです。

①月額数万円で「全て乗り放題」プラン(ただしタクシーは5kmまで)
②月額数千円の「公共交通機関+レンタサイクル乗り放題」プラン
③月額無料の「都度払い」プラン

それぞれ以下のユーザを想定しているようです。

①はマイカーに代わってWhimを使うユーザ
②は公共交通機関での移動が多く、たまにタクシーや車を使いたいユーザ
③はとりあえずWhimを試してみたいユーザや、滞在期間が短い観光客

このように複数プランから選べるのは、利用者にとって嬉しいポイントです。

5.今後の展開

Whimは、

公共交通機関が整備されているにも関わらず、マイカー利用が多く、交通渋滞や環境破壊が起きている

というヘルシンキの社会課題をキッカケに生まれたサービスです。
この課題は、今の日本が抱える課題でもあります。

「早く日本でも導入して欲しい・・・」

そう思って調べてみたところ、現在はヘルシンキ以外に、アントワープ(ベルギー)、バーミンガム(イギリス)の3都市でサービスを提供しているようですが、2019年中に、シンガポール・ウィーン・ハンブルク・ロンドンなど12都市・6カ国でのサービス開始を予定しているのに加え、2019年に日本に進出する可能性もあるようです。

インタビューで同氏は、2019年中の日本展開の可能性も口にした。

「私たちは少なくとも、名古屋、福岡、東京、特に横浜エリアで、パートナーとの交渉を続けている。(パートナーたちは)とても意欲があり、いくつかの問題を解決すればすぐにでもサービスは開始できる」
引用元:BUSINESS INSIDER JAPAN 「世界初のMaaSアプリ、2019年に日本上陸か。スマホ一つで全ての移動手段を手配・決済」

実際に日本で本サービスをローンチするに当たっては、以下が課題になってくると思います。

・プラットフォームの担い手を誰にするのか?
・一部ではなく、あらゆる交通サービスを一気に提供できるか?
・API開放による参加企業間の相互接続、プラットフォームに流通させる際のデータ変換(とそれに伴うシステム改修の投資負担)

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フィンランドにおけるこのWhimを成功事例として、官民一体となって日本版MaaSの実現を推進してもらいたいと思います。

6.最後に

「所有から利用」

シェアリングエコノミーが定着し、最近はこの言葉にも聞き慣れてきましたが、日本での移動手段は、「徒歩」、「自転車」、「車」、「鉄道」と、まだまだ各移動手段が分断されています。
こうした「持続可能な世界をつくるデジタル化」を進め、より暮らしやすい社会になっていって欲しいと思います。

自分もその実現に向けて引き続き、

・優れたビジネスモデルを図解して型を覚える
・図解したビジネスモデルを変形させ、新しい価値やサービスを考える
・自分の考えを発信する

に引き続き取り組みたいと思います。
では今日はこんな所で。

note執筆にあたり参考にさせて頂いたサイト:


いつも支えてくれている嫁と息子に、感謝の気持ちとして美味しいお菓子を買ってあげたいと思います^^