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ソーシャルゲームビジネスを成功させるために一番大切なことは?

ソーシャルゲームビジネスで大事なことは、

「ゲーム内容を面白くして、ゲームユーザーの期待値の総量を増やすこと」
「ゲーム内容が面白いのが大前提!」

「日本人全員が財務諸表を読める世界をつくる」でおなじみの会計クイズの主催者、大手町のランダムォーカーさんが毎月開催されている「財務分析勉強会」。

今月のテーマは「ゲーム業界」

告知

ソーシャルゲームの「特徴」、「経済循環」、「経済指標」、「マネタイズパターン」を学んだあと、最後に「mixiの営業利益率を上げる施策を考える」ワークショップを行いました。

ワークショップでは、なんとソーシャルゲームの開発・運営に携わっておられた方(モッチーさん)が、ゲストスピーカーとして、それぞれが考えた施策内容についてコメントされるという豪華な内容。
大手町さんが「今回は神回です!!!」と宣言されていたとおり、各グループからさまざまなアイデアが出、それをもとにモッチーさんが業界の構造をめちゃくちゃ丁寧に、わかりやすく語ってくださる、まさに神回となりました。

ゲストスピーカーのモッチーさん、参加メンバーのしょーごさんからnoteがアップされていますので、ぜひご覧ください!

アイスブレイク(強いチームのつくり方)

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特技が「戦争の実務経験」で、昔ネットゲームで複数のチームを率いて日夜問わず戦っていた経歴を持つ大手町さん。
勉強会前のアイスブレイク(特別企画)として「戦争の実務~強いチームの作り方~」の解説がありました。

強いチームをつくる秘訣は、

・いきなり強いプレイヤーを連れてこない。まずはチームを盛り上げること
・強い人が増えてきたらレベル制限を設け、レベルの高いメンバーで構成されているというチームブランドを作ること

とのこと。
これらの秘訣、コミュニティづくりに通じるものがあるなと思いました。

スゴイ有名人がいたとしても、その人だけでコミュニティを盛り上げるのには限界があるので、コミュニティを盛り上げるためには、頻繁にメンバーに絡みにいく盛り上げ役が欠かせないです。
こうした運営のような役割を担ってくれるコアなメンバーをいかに増やし、モチベートさせるかがコミュニティを成功させる秘訣じゃないかと思っています。
こうしたコアメンバーによる盛り上げが、「あのコミュニティ、むっちゃ盛り上がってるらしい」、「面白そう」というコミュニティのブランドをつくっていくと思います。

今年の2月に立ち上がったファイナンスラボも、「会計や株セクターのスゴイ人が集まっていて、回答内容とかめっちゃ勉強になるらしい」、「でも質問チャンネルや雑談チャンネルに書き込むと、そんなスゴイ人たちが色々教えてくれるらしい」、「初心者向けコンテンツも充実してるらしい」と、着々と強いチーム(コミュニティ)に育っていると実感しています。

なお、この特別企画、午前中に行われたマーケティングトレースのイベントを意識して急遽つくられたんじゃないかと勝手に思っています笑
(マーケティングトレースのイベントレポートはコチラ↓)

ソーシャルゲームの特徴

を端的に言い表されていたのがこのスライドです。

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新幹線のグリーン車と普通車の価格差や映画館のプロファイルによる価格差のように、ソーシャルゲームでは強いキャラやアイテムを手に入れるためには、お金を支払う(=課金する)必要があります。
このお金を払う課金勢と、無料でゲームを楽しむ無課金勢が共存しているのが、ソーシャルゲームの特徴です。

ちなみに課金勢は、課金額によって「微課金勢」と「廃課金勢」に分けられます。
廃課金勢の課金額はマジでヤバイです。

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無課金勢を課金地獄に落とす落とし穴

ほとんどの人はまずは無課金で遊ぼうと思うと思いますが、ソーシャルゲームにはそんな無課金勢を課金勢にするための落とし穴がたくさん用意されています。

それを表しているのがコレです。
「1度だけなら・・・数百円だけなら・・・」と、軽い気持ちで1度課金してしまうと、後はもう課金地獄真っ逆さまです。麻薬と一緒です笑。
「1ヶ月限定!スターターパック」、「1周年記念特別ガチャ!強キャラ排出確率アップ!」とか、そこかしこに落とし穴が掘られています。
ムシャクシャしてお酒を飲んだ後にその穴にハマると、本当に本当にヤバイです(実体験)。

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私が経験した中で、「この課金地獄はヤバイ!」と一番思ったのは、5年くらい前にプレイしていた『神撃のバハムート』というゲームの聖戦というイベントです。

月に1回(?)開催され、所属チームで別のチームと戦って聖戦ポイントというポイントを稼ぎ、上位チームはレアカードやアイテムがもらえるというシステムなんですが、戦いに勝つか負けるで得られるポイントが全く変わるため、終盤はお互い叩き合いになります。
相手を攻撃するのにBP(バトルポイント)を消費するため、BP回復薬をいかに多く確保し、効率よくポイントを稼げるかが勝利の鍵なんですが、途中から、全力攻撃(BP回復薬を1個消費して攻撃)、全力攻撃×3(BP回復薬を3個消費して攻撃)と、BP回復薬をどんどん消費する方向にシステムに変更が加えられました。

BP回復薬はイベントや課金で手に入れるアイテムなんですが、終盤はボタン連打合戦になり、ほんの数秒で100個単位でBP回復薬が消費される様は凄まじく、「札束で殴り合う」と形容されていました。
(大量にBP回復薬を使ったのに負けたときの喪失感は半端なかったです・・・)

ソーシャルゲームのKPI

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ソーシャルゲームの売上を因数分解すると、

売上高
=DAU
(Daily Active User、1日1回でもログインしたユーザー)
×課金率
×ARPPU(Average Revenue Per Payed User、課金ユーザーの平均課金額)

で表せます。

ワークショップではこの指標を参考にして、「mixiの営業利益を上げる施策」を考えました。

この3つの指標のうち、

・上げやすいのはDAU
・上げにくいのはARPPU

だと思い、DAUを上げる施策を提案しましたが、モッチーさんによると全く逆で、

・上げやすいのはARPPU
・上げにくいのはDAU

とのことです。
ARPPUは、強キャラを出したりすれば上げることが可能ということでした。ただし、一時的な施策にしてしまってはダメで、「そのキャラを使って活躍できる」というユーザーの期待値を上げる場をセットで提供しないと、ユーザー離れを招き、そのゲームは短命に終わってしまうとのことでした。
露骨な課金を促すようになってきたな・・・と感じたら、そのゲームが終わるサインらしいので、養分にならないよう気をつけないといけないですね。

なお、一番難しいというDAUについては、ログインユーザー数だけでなく、「各アクティビティのユーザー数」、「コアユーザー数の割合」、「イベントの到達率(イベント終わりまでいった割合、簡単だったから終わりまでいったのか、面白かったからなのかを見る)」などを見て、とにかくリアルタイムでPDCA回すとのことです。
課金率もイベント累積でみるとのことで、ゲームの裏側ではめちゃくちゃ色々なことが行われているんだと驚きました。

緊急メンテやメンテ時間の延長とかあると、「運営がー、運営がー」となりますが、イベントごとの短期間でこんなに多くのことがで行われているんですね。
ITのシステム開発・維持の経験者としては、現場では大変な苦労があるんだろうなと、モッチーさんの話を聞きながら、運営の人たちに思いをはせていました。

ソーシャルゲームとは

一言でいうと、

「ソーシャルゲームはユーザーの期待値をいかにコントールするかのビジネス」

とのことです。
で、「この顧客の期待値をどうコントロールするかってところ、全てのビジネスに通じることじゃないか!」と思っていたところ、大手町さんがこのようなツイートをされていました。

ソーシャルゲームに限らず、売上や利益増につながる施策を考えるときは、WTP(Willing to Pay)、いくらまでなら支払ってもいいと思えるか(=期待値)を高める施策を考えるという点が、今回の勉強会の一番の学びです。

mixiのモンスターストライクでは、WTPを高めるためのコンセプトとして「BBQ」を参考にしているそうです。
実はモンストはプレイしたことがないのですが、CMとか見ていると知り合いとかとワイワイプレイしているイメージなので、BBQというコンセプトどおりですね。

この「ワイワイ」を盛り上げるため、mixiではオフライン大会を開催したり、ユーザー参加型の企画を開催したりしているようです。
これが長くヒットしている理由の一つなんですね。

ワークショップでも、「リアルイベントの大会を年2回にして参加料をとる」というアイデアは出ており、モッチーさんからも「リアルイベントを盛り上げるのはアリ!」というコメントが出ていました。

まとめ

参加者から出た施策の一覧です。

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モッチーさんがnoteの中で、

「素人として幅を広げるアイデア」ではなく「議論できる筋のあるアイデア」がここまでの短時間で出るので、専門領域とする自分ももっと頑張らねば、と気合が入る。

と書かれているとおり、本当に参加者の方のレベルが高く、勉強になります。

私は6に書かれている「ログインで寄付が行われる仕組みを導入し、社会貢献をキーワードにDAUを増やす」という施策を考えたのですが、モッチーさんから、

「寄付は結構やってるけどDAUは増えない」
「寄付を募る際は、会社も同額寄付するという形になるため利益は増えない(むしろマイナス)」

というフィードバックをいただきました。
学びというのは、アウトプットして、フィードバックをもらうことで磨かれると思っているので、上質なインプットとフィードバックに揉まれ、本当に勉強になりました。

ファイナンスラボへのお誘い

この財務分析勉強会、オフラインだけでなく、オンラインでの配信も行われており、現地に来れない方でも楽しめます。
動画配信を担当されるのは、動画配信のスペシャリスト集団、「やわラボ」さんです!
(やわラボさんの動画配信技術は神です。Nサロンというコミュニティでも、いつも本当にお世話になっています。)

毎回オンライン上でも、会場以上にアツい議論が行われ、めちゃくちゃ盛り上がっているので、イベント終了後にオンラインチームの会話を読むのも、ひそかな楽しみだったりします。

また、オンタイムで参加できない方のために、資料配布+動画配信のフォローがあり、大手町さんは本当にコミュニティ運営に長けているなぁと感心させられます。戦争の実務経験が存分に活かされていると感じます。

今回の勉強会では語られなかったゲーム業界の裏話については、ファイナンスラボの中で、モッチーさんとバフェット・コードさんがさらに突っ込んだディスカッションをされています。
もしご興味がある方はぜひファイナンスラボに参加してみてください!(ログを遡れば読めますよ)

一緒に会計を楽しく学びましょう(^^)


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