掌編小説「千生」

私には千生(ちせ)という友人がいた。

今日あった、楽しかったこと、嫌なこと、なんでも話せて、まるで双子のように仲が良かった。

ずっと私は千生と一緒に遊んでいた。

痛いこと、苦しいことがあっても、千生と遊ぶだけで全て許せるような気がした。それくらい楽しかったし、笑ってた。

時が経って私は千生を忘れるほど、成長していた。

けれど、千生ほど親しい友人は出来なかった。

話したいことが山のように積み重なっていく。

けれど、言える相手がいない。


私は空想の世界に逃げこんだ。現実逃避するように。

運命の人に出会ったらどうなるだろうか。

空を飛べたらどんなだろうか。

この世界が偽物だったらどうだろうか。

……私に空想の友達がいたらどれだけ良いだろうか。

私の空想の友達。名前はなんとしようか。

「ちーちゃん」って言う呼び名が可愛いから、「ち」は絶対入れよう。「ちあ?」「ちえ?」「ちか?」

うーん、なんか違うな。「ちこ?いや、これじゃなんか叱られそう…」「ちさ…ちせ…」

あ、「ちせ」いいじゃん。漢字はどうしようかな。

私のことなんでも知ってて、空想の子で私よりも長く生きられるから…当てはまる字を探して…「千生」なんてどうかな。

よろしくね、“ちーちゃん”。また、私を助けてくれる?


空想の世界でまた繰り返す。

出来損ないの私の物語を。




あとがき

フィクションです。名前は私の感性で決めてます。理由は単にこれが一番しっくり来たから。走り書きしたもので、特に何も凝ってません。すいません。