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私の見えている世界。


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子供の頃から絵を書くのが好きだった。

3歳くらいの頃、母が毎日絵本を読み聞かせてくれた。


めっきらもっきらどーんどん、もりのかくれんぼう、そらまめくんのベッド、わたしのワンピース、てぶくろ、三匹のやぎのがらがらどん。


全部、全部。今となっては大切な宝物。

読んでもらった絵本を、毎日、私は絵におこした。

絵本の言葉は、簡潔に書かれているものが多い。だからなのか、グッと来るというか…言葉一つ一つが、キラキラと私の心と握手して結び付く。そして、その「言葉」を私も使ってみたいと思う様になり、沢山の「言葉」を私の宝箱に出来るだけ多くしまいたいと思った。


小学生になって、「音読」という宿題が出されるようになった。母が読んでくれた様に、私も声に出して読んでも良いんだと思ったらワクワク、ドキドキとした。


きつつきの商売、ふたりはともだち、もちもちの木、ごんぎつね、スーホの白い馬、私と小鳥と鈴と、やまなし。


声に出して毎日読んでたら、言葉が私の周りをぐるぐると回った。私の心を撫でる様に物体化したり。そして呼吸をするように、ぶくぶくと色んな音が混ざりあって私に素敵な夢を見させてくれた。

子供たちが大縄跳びをしてキャッキャしている情景や声が見えた気がした。


毎日絵を書いた。正確には、絵日記を付けた。

下の項目に、今日好きになった「言葉」を書いて、上の絵欄には、イメージを思い描いた。


あたりの景色がだんだんとグラデーションの様に変わっていって、私の回りは真っ白になった。金魚などが入った水槽のエアーポンプの音。

ぶくぶく、ぶくぶくと私の心臓の音と共鳴して聞こえてきた。

ぶくぶとした音→ https://youtu.be/lUuvXLPNLx4

そして言葉の単語がパラパラと私の周りを浮遊して、カーンとぶつかって単語と単語が1つの物語として語りかけてくれた。

カーンという音→ https://youtu.be/59qOsX-i2q8


急にハッとなって、窓をガラガラと開けた。

夏の夜の少し重たい暑さに、遠くの方でセミの声が小さく聞こえる気がする。それよりも風がザッと木の葉を揺らした音が秋の訪れを告げている様な…。

部屋の中を外の匂いが包んでいく。

(この時間がずっと続けばいのにな)

私は目を閉じて、ゆっくり深呼吸した。

FIN


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