夢小説のヒロインになりたかった。

努力をしないで特別な人間になりたかった。
誰彼構わず大切に思ってもらいたかった。
甘すぎるくらい甘い世界を、生きたかった。

世界はわたしのためにあるわけではないのだから、仕方がない。いつまでもこんな気持ちを抱えてるなんて、我ながら本当に気持ちが悪いけれど、なんということ、わたしはきっと夢小説のヒロインになりたくてたまらない。替えのきかない唯一無二の存在として、崇め称えるように愛してほしい。

努力をしたって結果が出るとも限らないし、スタイルや容姿はもはや才能の域、なにからなにまで運要素強すぎるこの世界、荒れ果てた大地かよ。大したアイテム持たずに生まれ、そして手にいれられないまま一定の時間を過ごしたが最後、吹きすさむ風の中でうずくまったまま死んでいく。羨ましい、才能をもつ人々が。恨めしい、わたし自身が。輝かしい人生を送っている人々よ、わたしというような影がいるからこそ輝けるんからね、うう。努力も正義も友情も持てなかったわたしはヒーローにもヒロインにもなりえない。どうしようもないくらいのモブ中のモブだけどさ、せっかく生まれてきたんだ、もっと大切に思ってほしいって夢をひとりひっそりと見ることくらい許してほしい。(仕事のミスも許してほしい)そして願わくばそれが現実に・・やっぱりなってほしい。
わたしが投げ打つわたしを、溢れる愛で受け止めてほしすぎる。


愛される夢のような夢を見たら寝ながら右手を上げるから、どうかそのまま永遠に起こさないでくださいね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?