コンサル視点で、育児の情報を見極めるちょっとしたコツ
育児をしていると毎日多くの意思決定を求められ、ほんと大変。抱っこ、授乳、寝かしつけ、おもちゃ、発達、離乳食etc 正解が分からなくて、検索魔になる。Googleの検索履歴が「スワドル いつまで」「スパウト ストロー コップ 違い」「ミルク あげすぎ」とかで埋まる。でも調べるとA説もB説もあって、結局正解が分からなくて悩む。こうなってるママさんは多いと思う。
ところで私は会社に戻ると「コンサルタント」という肩書を持っているのですが、これはこの世で最も胡散臭い職業です。だいたいコンサルと名乗る人の話は、話半分に聞いておきましょう。だから私の言うことも全部信じないでください。でも、話半分に聞くのはとても大切なことです。意思決定をするのは自分しかいないのだから。
コンサルタントの特技のひとつで「情報を取ってきて意思決定する」というのがあります。多くの人は意思決定が苦手なので、意思決定を手伝ってほしくなり、お金を払ってコンサルタントに発注します(コンサルの説明が雑すぎて同業者の方ほんとごめんなさい。遊びで書いている文章なので見逃してください)。
コンサル視点で、育児に関する情報を取ってきて意思決定する時に気を付けていることを書いてみると他のママさんの役に立つかも? と思ったので書いてみます。
①調べても正解はない、正解を決めるのは自分、という心構えを持つ
あなたは、調べたら正解が見つかると思って調べていますか? その場合、残念ながら永遠に正解は見つかりません。私たちが生きているのは正解のない世界です(突然何)。
調べると正解っぽいものはたくさん出てくるのですが、あくまで「っぽい」だけであって正解ではない、つまり万人に100%当てはまる答えはないです。正解っぽい選択肢から自分でどれかを選び、自分の子育ての正解にするしかありません。
②調べてみる
Googleでも本でもなんでもいいので、とりあえず調べてみます。
③言ってる人の肩書を見る
調べた内容は誰が言っているのか、肩書を確認します。育児関係でよく出てくるのは、医師、助産師、保育士、栄養士、研究者、メーカー、先輩ママあたりです。
この肩書によって、重視しているポイントが異なります。育児においてよく論点になるのは、リスク(病気やケガ、死亡の可能性)、赤ちゃんの発達、育児の楽さの3点かと思います。
例1)スワドル
・リスクの観点:股関節脱臼を引き起こす可能性
・育児の楽さの観点:寝かしつけお助けグッズ
例2)スパウト
・発達の観点:口腔機能の発達阻害
・育児の楽さの観点:水をこぼさず飲んでくれる
リスクと発達は似ているように感じられますが、リスクは赤ちゃんが病気になったり命を落とす危険があるかという観点、発達は赤ちゃんの標準的な発達に影響するかという観点です。
以下は私見ですが、各職業が重視しているポイント(レーダーチャート)と特徴を挙げてみます。あくまで各職業の傾向を相対的に示しただけなので、もちろん当てはまらない人もいる点に留意ください。
医師が気にしているのは、深刻な病態になったり、命に危険が及ぶことです。なのでちょっとした肌荒れや風邪なら薬を出して終わりです。
ママ友さんで、赤ちゃんの頭の形についてかかりつけ医に相談したけど「大丈夫ですよ」で終わってしまった、という方がいました。当然っちゃ当然で、将来的に目や歯などの発達に影響が出るほど頭の変形が強いとヘルメット治療を勧められるでしょうが、多少歪んでても元気に生きられれば医師的には問題ないので「大丈夫ですよ」で終わります。ママの「頭の形が悪くてかわいそう……」という気持ちは二の次です。
また、医師=正しいと信じるのは危険です。大学病院の医師でもない限り、数年~数十年知識をアップデートしていない可能性があります。私自身、総合病院にかかっていたのに医師が妊婦の体重増加の目安について最新の知識を持っておらずおったまげたことがあります。
助産師は赤ちゃんのことを第一に考えつつ、母親が産後うつなどに陥らないよう、育児で楽をすることも認めてくれる人が多いように感じます。赤ちゃんの発達・成長のためには母乳育児が最良なので勧めるけど、母乳育児は本当に大変だから混合や完ミでもいいよ、と言ってくれるイメージ。
科学的根拠については、勉強してる助産師は知識アップデートしてるけど、そうじゃない人もいるので見極めが必要です。
保育士は赤ちゃんの発達を見つつ、親に育児と仕事を両立してもらうため、育児で楽をすることも一定認めてくれる人が多いのでは、と予想しています(私自身まだ保育士に数人しか会ったことがなく、推測による部分が大きい)。
科学的根拠よりは、経験的に蓄積されたノウハウが活きる職業だと思います。うちでお願いしている保育士歴十数年のシッターさんは、赤ちゃんの扱い、母親への声掛け、アドバイス、全てが心地よすぎて感動しています。
ただ、保育士は意外と取りやすい資格で、「自分が産んでみたら子ども好きと気づいて保育士資格取りました」という、保育園での勤務経験がほぼない人も混ざってるので注意です。その場合は保育のプロではなく、先輩ママとして話を聞きましょう。
一番惑わされるのがメーカーの情報です。各商品のメーカーは、商品を売るために紹介文を書いたり記事を作ったりしているので、商品の良いところを強調して書きます。商品の購入者は親なので、親にとって魅力的、つまり育児が楽になることをアピールします。
スパウトやストローマグは、こぼさず水を飲んでくれるようになるので便利ですが、口腔機能の発達にはよくないと言われています。他にもエルゴ(縦抱き抱っこ紐)、バンボ(赤ちゃん用イス)、ジャンパルー(赤ちゃんを立たせるおもちゃ)など、発達の観点からはよくないとされているものの育児が楽になるので多用されている商品は多数あります。
難しいのは、赤ちゃんが嬉しそう=赤ちゃんにとって良い、ではないことです。赤ちゃんが嬉しそうでも、身体に負担をかけているケースが多々あります。
でも発達に良くないから使うとダメかというとそういうわけでもなく、育児で楽するのも大切なので、親のキャパや考え方によって使う・使わないを決めるべきです。盲目的に、マグのパッケージに「生後5ヶ月頃から」と書いてあるから5ヶ月から使う、というのはよろしくないと思います。
ただし、明らかにリスクがあるもの、つまり命を落とす危険があるものは使用をやめましょう。有名どころではスイマーバ(首浮き輪)、溺死リスクが容易に予見できます。
先輩ママ、めっちゃ頼りになる! けど所詮素人。という点は頭の隅に置いておかないといけません。先輩ママの子と自分の子は違うので、教えてもらったことが当てはまらないことも多々あります。
また、先輩ママが使ってよかった便利グッズが自分にとっては微妙、ということもよくあります。友人の先輩ママが使って便利だった離乳食グッズを出産祝でいただき、うちではほぼ使わずどうしよう……となっています。
気軽に相談できたり、些細なことを聞けたり、親身になって話を聞いてくれる点は先輩ママが優勝なので、仲良くしておくに越したことはないですね♡
アンケートってよく見かけますが、実は結構難しい調査手法で、母集団の偏りや設問設計を考慮しなければいけません。でも多くはそこまで練られたアンケートじゃないので、調査者の意図が大きく介入しています。
アンケート結果は「そういう人もいるんだ、へぇー」と眺めるくらいが丁度いいです。アンケート結果で「○○している人が多いからそうしよう」と流されるのはやめておきましょう。
科学的に証明されたものは正しいと思ってしまいがちですが、科学とは常に反証可能性を抱えたもので……(ごにょごにょ)。
難しい話は省きますが、とにかく科学の方法に則って導き出された研究成果だからといって、我が子に当てはまるかはわかりません。
最近では、理化学研究所から寝かしつけ方法についての研究成果が発表されましたが、これは統計的にみると成功する確率が比較的高い寝かしつけ方法であって、寝る子はセルフねんねするし、寝ない子はいくら抱っこしても寝ない。育児と科学は相性が悪い、と私は思っています。
(番外編)離乳食や幼児食に関しては栄養士もいます。厚生労働省から『授乳・離乳の支援ガイド』が出ているので、どうしてもガイドにそぐわないことは言いにくい、保守的な雰囲気を感じます。
ガイドが食べる練習を重視していることと、食べてくれない悩みが多いことから、食べない子にどうやって食べてもらうかという話が多いです。ゆえに、よく食べる子向けの話はあまり出てきません。
④別の職業の人の意見を調べてみる
ここまで、職業別に育児情報を発信する際の特徴を述べました。最初に調べた情報が医師のものなら、助産師の意見、保育士の意見、先輩ママの意見なども調べてみます。
⑤いろいろな意見から、自分に合っているものを選ぶ
いくつか見た中で、じゃあ自分はどうするのか、考えて選びます。「先輩ママがこうしてるから」「本にこう書いてあるから」という思考停止に陥るのではなく、情報を吟味し選択し、自分の子育ての正解にします。迷ったらまたやり直します。
別に毎回①~⑤をするわけじゃないのですが、特に自分が気にかかるもの(何か違和感を感じるもの)については調べてみたらいいと思います。例えば私が本気で調べたケースを2つ紹介すると、
例1) 抱っこ紐
新生児期から縦抱きの抱っこ紐(エルゴとコニー)を愛用していたのですが、抱っこ紐に入っている赤ちゃんの姿勢が、明らかに自然な姿勢ではない、と感じていました。
そこで赤ちゃんの発達に詳しい助産師の意見を調べると、やはり新生児~首が据わるまでは縦抱きにすると赤ちゃんに負担がかかるので、横抱きがおすすめされています。これを知ってから横抱き、いわゆるまんまる抱っこを増やしました。
例2)離乳食
詳細は別記事「離乳食/補完食/BLWを比較してワイルド離乳食爆誕」に譲りますが、最初に通常の離乳食を調べてこれが本当に赤ちゃんにとって最適な離乳の方法なのか……? と強い違和感を持ったので、いろいろ調べました。
違和感を持たなかったら、通常の離乳食を進めればいいと思います。離乳食があまりに進まなくて、違和感を持って調べる人もいるようです。この辺は個人の選択次第です。
情報を読む力は子どもにもぜひ身につけさせたい力で、親が見本を見せたいところです。まずこの世に正解はないという心構えから、親も迷って、調べて、選択して……という繰り返しを見せてあげるのが良いのだろうなと思います。難しいし、しんどいですけどね。
最後に、大事なことをもう一度言います。
・育児に正解はない
・医師助産師保育士etc 一見正しそうでも、疑え(私の言うことも信じるな)
・子育ての正解を決めるのは自分
情報とうまく付き合える人が増えますように。私も迷って、調べて、選択して……を繰り返します。
……はい! ここまで読んで「そんなクソ面倒くさいこと無理じゃ〜〜!!」と思ったそこのあなた! 人間楽したいもの、当然です! そんなあなたはとにかく赤ちゃん抱っこしましょう。
育児書にも子育てセミナーにも正解はない、と感じていた私に最初の3行がグサっと刺さりました。泣いてたら、抱っこしよ。それだけ。
この記事がおもしろかった、参考になったという方は♡押していただけると喜びます! 最後までお読みいただきありがとうございました。
≪終わり≫