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#00 Prologue:忘れられない記憶
あの日のこと君は覚えてる?
何事にも代え難いものと出会えたあの日を…
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この街に引っ越してきたばかりの時だった。私は荷解きを手伝っていたけど、残すは重いものだけになった。だからその時小学生だった私は手持ち無沙汰になり近くの浜辺でギターを弾くことにした。
閑静な土地柄ということもあってあんまり人気や車の往来はなく、ギターを弾くにはうってつけだった。
引越し先の家に来る途中車でこの海辺を通りかかったとき一目見てここで演奏したら楽しいだろうと感じ、一度ここで演奏してみたいと思っていたんだ。
そしてしばらく私は気の向くまま頭に浮かぶ名もなき歌を演奏した。
(やっぱり、思った通りここで演奏するの楽しい…)
そう思いながら、夢中になって演奏してどれくらい経った頃だろう、ジャーンととある一曲を演奏し終わったときだった。パチパチと拍手をする音が聞こえて音のする方へ顔を向けると横で満面の笑みを浮かべた同い年くらいの女の子がいた。そう、君だ。
「うわぁ⁉︎」
夢中になってギターを弾いていて隣に人がいることに気づかずにいたから、君がいたことに気づいた時は思わず驚いてしまった。
そんな私の様子を見て君は少しキョトンとした様子になったがすぐにハッとして慌てた様子で私に話しかけてきた。
「あっ!驚かせてしまってごめんなさい!あなたの曲がとても素晴らしかったから思わず…」
「気にしないで!即興で弾いたものなのに褒めてくれて嬉しい」
「それで…ひとつお願いがあるんです。」
「何?」
「もう一度さっきの曲弾いてくれませんか?」
そう言った君は目を輝かせていた。
「即興だからさっきみたいには弾けるかわからないけどそれでもいい?」
「はい!お願いします!」
「わかった…」
そして記憶を手繰り寄せながら再び私は演奏を始めた。
そうすると君もそれに合わせて歌い始めた。
私は君のその声その姿に心を奪われてしまった。君の口から紡がれる歌詞もとても美しかった。
君の歌声と私のギターの音色が一つに重なり合う感覚は心地よかった。
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この時から始まった君との時間は、私にとって忘れ難く大切なものとなった。
ーTo be continued ー
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