マガジンのカバー画像

【詩集】月のぬくもり、星のなみだ。

178
10代~20代に描いた詩
運営しているクリエイター

2022年11月の記事一覧

【詩】淡いゆめ

【詩】淡いゆめ

雲がながれて
太陽のひかりを遮断する

空はこんなにも身近に感じるのに
実際のところは
淡いゆめのなかにいるのかのように遠い

すべては
ここからもたらされ
ここからはじまった

雲がながれて
太陽のひかりがもどったのなら
また歩き出せるよ

きっと、わたしなら。

【詩】あかい花

【詩】あかい花

ふらりと散歩をしていて
ふいに目に入った
大きなあかい花

そのとき
生きていることにさえ
疲れていたので

この見惚れた花に癒されながら
写真を撮った

そうだね

どうやら
ないものねだりばかりをしてしまって
自分に持っていることを
忘れてしまっていたみたいだね

【詩】ここにいるから

【詩】ここにいるから

守るべき 君という存在と
信じるべき この想いを
決して見失いたくない

この先も
ずっと君が僕のとなりで
笑っていられるように

例え悲しい出来事があっても
一緒に乗り越えられるように

僕は いつもここにいるから
ずっと ここにいるから

君と 一緒にいるから

14歳の始まり

【詩】かかとを鳴らして

【詩】かかとを鳴らして

ひとめ見た瞬間 恋におちた
そう言っても過言ではないほど
彼に見惚れる私がいた

話してみたら
楽しくて、嬉しくて
ますます彼に見惚れる私がいた

低めのこえも
小さいてのひらも
優しくほほえむところも

全部、すきだよ

あなたに会う度に
わざとかかとを鳴らしながら
歩きたくなるよ

20歳の躓き

【詩】おかえし

【詩】おかえし

―ちょっとね。

そう曖昧に言葉をにごす
彼を疑うまでに
時間はかからなかった

何かを隠していることを
感じ取ったけれど
問い詰めることはしなかった

―どうしたの?
そう彼に訊かれて
―ちょっとね。

とっさに言葉をにごした
私を疑うまでに
時間はかからないだろう

24歳の葛藤

【詩】イエロー・ハート

【詩】イエロー・ハート

きらきらと光る
ラメ入りのネイルを塗りなおしたら
きれいに仕上がった

こころにもネイルが塗れたら
どんな風になるのだろう

それが叶うなら
わたしは真っ先に黄色のネイルを塗って

イエロー・ハートにするんだ

25歳の居場所

なみだのしずく

なみだのしずく

ぽたり、ぱとり。
目元から頬、首筋をつたい
手のひらや洋服に
次々とおちて跳ねかえり
音をたてる

なみだのしずく

私が泣いたって
あなたは動揺することもなく
大きなからだで
すっぽりとやさしく包みこんでくれる

だけど
あなたが心のなかで
泣いているところを
なんども目撃している
その度に動揺してしまうよ

決して
音を立てることのない
そのなみだのしずくに

18歳の冒険

【詩】波音

【詩】波音

繰り返される 波音
自分の声すらまともにきこえず
波音にかき消された

波打ち際に沿ってあるく
ふいにこのまま
どこか遠くへ行ってしまいたいと
酷くばかげたことを本気で考えながら。

それでも
やっぱりまだ生きていたくて
砂浜に転がっている
無数の貝がらのなかから
気に入った色の貝がらだけを選んで
丁寧にひろった

世の中のできごとには
意味が隠されている

嫌なこと
良いこと
どうでもいいことも

もっとみる
【詩】現実の美しさ

【詩】現実の美しさ

あなたの
大きなてのひらを
つよく握りしめた

なみだばかりで
言葉なんて何も出てこなかった
言葉なんて何も必要なかった

だって
あなたは
もう喋れないから

この手のひらのぬくもりも
あと僅かな時間だけ

現実はひどいことを
時にするけれど

それでも
現実の美しさを忘れてはいけない

23歳のルール

【詩】しずく

【詩】しずく

優しくしないで
きれいな言葉ばかりを並べないで

あなたがそうする度に
わたしはハチミツみたいな
甘ったるい感情をかかえて
自分を見失いそうになる

あなたは何を言っても
結局、あの人のもとへ帰ってしまうのだから

これ以上、優しくしないで
きれいな言葉はもうたくさん。
わたしに対して冷たくしてくれたらいい

瞳からしずくがあふれだす
しずくがこぼれ落ちる度に
あなたのことを忘れられたのなら いい

もっとみる
【詩】ルミナリエ

【詩】ルミナリエ

街中で
彼に似ているひとを
みかけました

こんなところに
いるはずもないので
彼ではないことを
知っているけれど

何度も後ろをふりかえり
何度もたしかめた

あの日にみたルミナリエ

私たちの思い出は
そこで止まっているのに。

19歳の青春

【詩】あの日

【詩】あの日

あの日
あなたは気づいていた?

抱きしめられて
ぬくもりに包まれた
あなたの腕のなかで

わたしの想いが
加速を増したこと

あの日
そのことに
あなたは気づいていなかったでしょうね

24歳の葛藤

【詩】あなたのいない世界

【詩】あなたのいない世界

あなたがいることで
わたしの世界は今日も動きはじめる

たとえば
おはよう、おやすみの挨拶
どうしようもないときにかけてくれる言葉
眠りにつくときの寝息も

だけど
あなたがいなくても
わたしの世界が動くこと 知っているよ?

誰からも挨拶がなくて
どうしようもないときは泣きまくって
眠りつくときは自分の息だけがきこえる

それでも
あなたのいない世界なんて
考えられない

一緒にこの世界を駆けめ

もっとみる
【詩】今年の線香花火

【詩】今年の線香花火

人生は、線香花火。

だんだん
ひかりかがやいて

じょじょに
ひかりが小さくなって

燃え尽きる

線香花火は、人生だ

29歳の出発地点