【介護】女3世代で日帰り箱根
贅沢な暮らしとは程遠いけれど、我が家には唯一の趣味がある。それが旅行だ。
若い頃から海外へはよく行った。ただ高齢の母との暮らしがはじまって3年9カ月。徐々に我が家の様子が変わってきた。
コロナ禍でも母と北海道には数回行った。ただコロナ禍で動きにくくなったことで、徐々に家族旅行も変わっていった。
歩くことが厳しくなった母は、旅先で足手まといになるのが嫌なのだろう。
「わたしはいいから、皆でいってらっしゃい」
そんなことを言うようになった。
遠慮しているのだ。
夫は母に優しい。人を待つことのできる人だし、母が行けない場所は決して選ばない。
けれど母もそこはよく分かっているのだ。
母と夫はどこか好みが似ていて、旅などはパンフレットを隅々まで読み込むため、記憶の整理もみごと。位置も、訪れた場所やホテルもよく覚えている。そこが夫とよく似ている。
だから行きたい場所に行けなくなった家族に悪いと思っているのだ。
夫と母は、互いに気を使ってしまう関係。この関係ばかりは、わたしにもどうすることもできない。
そこで、娘の手を借りて、母を箱根へと連れ出した。
電車以外の移動はタクシーだけれど、それでも母は自分で車の乗り降りは出来る。
そんなわけで、早朝タクシーをお願いしてロマンスカーで新宿から箱根へ向かった。
緊張していたけれど、やればできるものだ。なんとか席に着けた。
夫抜きで母をサポートしながら遠出するのははじめてのこと。
少し緊張しながらも、なんとか無事に箱根に着いた。
早速ランチを。母が選んだのはサンドイッチ。
それから予約してあったホテルで、母にはお昼寝をしてもらった。
母はよくお昼寝する。これが長生きの秘訣なのかもしれない。
そして、娘とわたしは箱根神社へ。
箱根は今や外国のよう。海外からの客人ばかり。しかも鳥居をくぐる時に、軽くお辞儀する人も何人もいるから驚きだ。
考えてみると、母を温泉に連れて行ったのはもう一年ほど前になる。
ただ、幸せなことに、また母とこうして温泉にこれた。
娘の力は借りたけれど、それでも母を連れ出せたことに、今わたしは満足している。
きっと母も嬉しかっただろう。
一緒に動ける、まだ旅ができる、そんな小さな幸せを確かめられた一日だった。
※最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※スタエフでもお話しています。
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