女性に認められている法的権利が、男性の8割弱という現実
今年も世界銀行の調査結果が発表された。
日本は経済的権利をめぐる男女のバランスの悪さが先進国の中でまたまた悪目立ちした。
世界銀行
ところで、このジェンダー平等の調査結果を世界銀行が発表している。けれど国連やILOが発表するというのならわかる。ただいったいなぜ銀行がそれをするのか、そこがどうにも不可解なのだ。
で、調べてみた。
すると世界銀行はジェンダー平等がスマートな経済学であると考えているようだ。
スマートな経済学、初めて聞く言葉。
世界銀行はあまり所得の高くない国への資本プロジェクトを進めるため、融資や助成金を提供している国際金融機関だ。だからこそ開発成果と政策策定の両方にとって、ジェンダー平等の進展は重要だと考えている、ということのようだ。
そして、今や世界の労働力の約40%が女性。けれどその女性、所得・生産性・社会における発言権の大きさで、依然として後れを取っている。
そのため世界銀行は、人的資本におけるジェンダー格差を減らそうと経済機会へのアクセスや所得や生産性におけるジェンダー格差の調査を続けているというわけだ。
日本の不平等
そうした経緯で、調査結果が毎年発表されている。
NHK(20230303)によれば、世界銀行はジェンダー格差に関する日本の課題を2つあげている。それは、
①この国には男女が同じ仕事に対して同じ水準の賃金を払うことを義務付ける法律がない
②職場のセクハラを罰する法律がない
というもの。
つまり、女性に認められている法的権利が男性よりも弱いということ。
だからこそ、経済的権利の日本の男女格差はOECDの中でまたもや最下位だったのだ。
そして世界でも104位。
外圧
この国の男女格差はひどい。だから女性が本当に貧い。
けれどきっと待っていても、その格差は解消されない。それは歴史が教えてくれる。ずっと変わらないのだ。
けれど今、欧米では男女の賃金格差を開示する流れがある。
これはとてもいいと思っている。
欧米は国主導で働く場の男女平等を創り出そうとしている。
そして、企業が男女の賃金格差を公にすることで、企業は外側からチェックされる時代になったともいえる。
そして日本も厚生労働省がおなじような義務を課している。
さらには金融庁が有価証券報告書にその記載を求めている。
企業の中身を見える化する働きが欧米からわき起こり、それがこの国にもやってきたのだ。
法的権利
時事通信によれば、この世界銀行でジェンダー格差をはかるための指数は「結婚」「育児」「起業」「資産」など8分野。
この分野での女性の経済参加に関する法規制を検証している。
その結果が実にまずいということ。
日本では、女性に認められている法的権利が男性の8割弱にすぎないことが示されたのだ。中でも特に「職場」と「賃金」の分野が低い。
男女が同じ仕事に対して同じ水準の賃金を払うことを義務付ける法律がないとは衝撃的な報告だ。いったいどうなっているんだ!と思うけれど、これは真実なのだ。
この国には均等法も同一労働同一賃金法もある。けれどこの2つがこの国ではどうにも上手く使えず、女性を守る法律になっていない。さらに、だれが考えてもおかしいと思えるようなハラスメントに罰則がない。
これは改めて書きたいけれど、実はこの罰則なしや努力義務などという曖昧な言葉が労働法には多い。
おわりに
女性も一人前の仕事ができる社会になって欲しい、わたしはそのことをずっと願っている。
あまりに大きな男女格差のあるこの国。だからこそ女性が貧しくなった。それはすなわち国が貧しくなったこということ。567で職を失ったのも圧倒的に女性が多い。
目に見える男女の賃金格差があっても正されない。誰もがそれを当たり前だと思って疑わない。この国で女性に生まれることがこれほど不利になる。
ただそれが今、外からの圧力が企業へ影響を与え始めている。これが本当の外圧になるためには、わたしたち一人一人がそれをしっかりと見て知って考えていく必要がある。そんなわたしたちの姿勢が企業を変えるのだと思う。
※最後までお読みいただきありがとうございました。
※スタエフでもお話ししています。
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