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公表せよ!男と女の賃金を数値化する


時代の流れが加速している。

いや、ようやくこの国の水も流れ出した、といった方がいいだろう。

日本政府が動きはじめた。




男女賃金差の開示

2022年7月以降、男女の賃金差の開示が義務化された。

対象となるのは働く人が301人以上の企業。

東京労働局によれば、2022年7月8日、女性活躍推進法が改正され、企業の全労働者正社員パート・有期社員男女の賃金差の開示が義務化された。

男性の賃金の平均に対する女性労働者の賃金の平均を割合(%)として表す。

もちろん就労条件等が同じであれば、男女間に賃金差があってはならない。それは労働基準法で禁じられている。

企業が情報を開示する場は、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データーベース」、または企業のホームページ上。



イギリス・フランス・アメリカ

もちろん日本の賃金の男女格差は欧米の中では際立って開いている。けれど他の国々もこれが長年の課題でもある。


日本経済新聞(20220610)
によれば、イギリスは2017年に男女間の賃金格差の公表を義務付けた。罰則はないけれど、政府サイト企業のホームページで毎年更新をし、正規と非正規を合わせて表示する。


フランス
でも2019年以降、従業員50名以上の企業に開示義務がある。

Forbesによれば、アメリカでも2022年、カリフォルニア州で賃金開示のための法律が可決されている。


EU

少し遅れてEUも動き出す。

JETROによれば、EU理事会と欧州議会は2022年12月15日、男女間の賃金格差の是正に向けた賃金透明化指令案に政治合意した。

雇用者には求職者へ賃金水準の事前提示を義務付け、求職者に前職の賃金水準を質問することを禁止した。

被雇用者は自身の賃金水準のほか、同一労働をする男女の被雇用者の平均賃金水準に関する情報開示を求めることができる。

被雇用者が250人以上の雇用者は毎年、被雇用者が100人~249人の雇用者は3年ごとに男女間の賃金格差を公開する。

また、公開により5%以上の男女間の賃金格差がある場合、被雇用者の代表と協力して、格差是正に向けた賃金評価を実施することを義務付ける


金融庁

ロイターによれば、金融庁は企業に男女別の賃金水準や女性管理職比率などの情報開示の義務付けを2023年度の有価証券報告書から適用する。

金融庁が求めるのは、有価証券報告書の「社会(人的資本、多様性 等)」の従業員の状況開示。

具体的には、女性管理職比率、男性育児休業取得率、男女間賃金格差だ。

金融庁が開示を求める理由は、投資家やアナリスト向けの人的資本の開示。

ただ国としても、男女間の賃金格差の開示で、男女格差の解消を進め、女性の労働参画を促す狙いがある。



おわりに

もはや企業は自国のモノだけではない。欧米が賃金の男女差別をなくすのであれば、日本もまたそれに従わなければ国際社会は渡っていけない。

従業員の男女の賃金格差を見てみぬふりをするは、もはや通用しない。しかもそうした人的資源への関心の高まりは株価にも反映される。

この国は性別役割分業が好きだ。けれど、もう世界と足並みを揃えるしか道がない、そんな時代に入った。


※最後までお読みいただきありがとうございました。


※スタエフでもお話ししています。

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