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直観と違和感


先週、久しぶりにお会いした方と会食した。

わたしは単なるフリーランスだけれど、その方は社会で活躍されている。とはいえ知り会った数年前は互いにまだ無職。それが今ではこれほど生き方が異なっている。人生とはわからないものだと思う。


久しぶりの再会で話が大いに盛り上がり、そこから話は彼女の勤め先の話しになった。

もちろん、わたしと彼女の間には利害関係はないし、その方の会社に知人はいない。だから固有名詞がでてきても、いったいどんな方なのか想像もつかない。

で、彼女の話はどんどん社内の内部に踏み込んでいった。もちろんフリーランスであるわたしは聞き役専門。いろいろあるんだなと思いながら、耳を傾けていた。

ところが、途中でざらざらとしたものを感じはじめた。

何かがどうにもおかしい。


近頃、彼女と親しくなった人というのが、なんだか怪しいのだ。

良い人で、とても話が合う、そう言われればいわれるほど、なんだが違和感を覚える。それでもわたしはただ黙って彼女の話を聞いていた。


30分ほど聞いていて、その後、感じたことを少しだけ言葉にしてみた。

すると彼女は驚いた。

驚いた様子が伝わってきた。

そう、本当は彼女は気づいていたのだ。

本当は彼女こそが、その人に違和感を覚えていたのだと思う。

その第三者の女性の言動と行動には齟齬がある。それを語ったのは彼女自身なのだ。

わたしは人の言葉に迷った時には、その人の行動を振り返る。そこに齟齬が無ければOK。けれど言葉と行動に開きがある時には気を付ける。単純だ。

その後、彼女がその方とどうされたのかは聞いていない。

ただ、彼女の驚いた顔が今も忘れられない。


そう、人には違和感を覚える時がある。けれど、この違和感をそのままスルーしてしまうことがある。わたしにもある。それが時として良くない結果を招く。だから気をつけたい。


齋藤孝さんは『違和感のチカラ』で、直観はポジティブな時に働くと書かれている。「これだ!」と確信を持つ感覚、それが直感。

けれど違和感は白でも黒でもないグレーゾーンだという。

「まさか…」と後で思うのがこの違和感。

けれどこの違和感、本当はちょこちょことサインを感じている。虫の知らせや胸騒ぎまで行かなくとも、なんだか引っかかるなぁというのがこの手の引っ掛かり。

斉藤さんは、そんな時には、状況を観察すべき動機が与えられているといわれる。

なるほど。


先の友達との話の結果はわたしは知らない。

けれど還暦を過ぎると流石に経験値が高くなる。沢山の人に会い、沢山の人と電話で話し、沢山の人とネットで繋がってきた。そんな経験が自分の中に積まれる。もちろん日々会社で沢山の人と話している彼女とは経験値は異なるけれど、それでも互いに年を重ねてきた。

きっとだからこそ、彼女はわたしの知らない人たちの話をあそこまで詳しく口にされたのだろう。

今度お会いするのは1年後か2年後かもしれない。それでも、彼女は既に違和感を覚えていたのだと思う。だから話してみたかったんじゃなかろうか。


なんと言っても、人の直感や違和感は年々データベース化して研ぎ澄まされて行く。それは本当だと思う。

そんなことを思った。



参考図書

『違和感のチカラ』齋藤孝 2009年 角川oneテーマ21


※最後までお読みいただきありがとうございました。


※スタエフでもお話ししています。

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