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✉国会議員の先生方へ。130万円の壁より先に主婦のパート枠を見直ししてね。#国会衆院予算委員


国会中継を目にして気になった。本当に気になった。


これは問題です!といわれる主婦問題

2023年1月の国会で被扶養者である主婦の働き方が取り上げられた。あの「年収130万円の壁」問題だ。

サラリーマンや公務員などの配偶者は年収130万円以上稼ぐと扶養から外れ、自分で医療や年金等の保険料を納めることになる。ゆえに主婦枠に留まりたいがために働く時間を調整する主婦がいる。それが問題だという。

130万円を月に均すと10万8千円(交通費含まず)だ。

ところで、働く夫を支え、子どもを育て、家事もこなす、そんな主婦が月10万8千円以上稼ぐことがどれほど難しいか先生方はご存知だろうか。

それがどれほどきつくて惨めでやりがいのない場か。ご存じないのであれば、一度そのポジションで働いてみてほしい。

それは寝ずに働け!といわれているのに等しい。そんな状況で嬉々として働きたい人がいるだろうか。



なぜこの国だけ違うのか

わたしは昨年末、下の記事を書いた。現在働かれている女性に、働き続けるのがしんどいと思う時専業主婦になりたいと思うことがあるけれど、そのことについてどう思われますか?と問われたのだ。


そこでわたしは出入り自由なのがいいと返信させて頂いた。

一度主婦になったとしても、また元の働く環境に戻れる、そんな出入り自由な働き方がいいと。ただ今の日本ではそれが難しい。


するとその記事にコメントが届いた。

もっぴっぴさんは欧州にお住いのアラフォー女性。彼女のお住まいの国では女性も定年退職まで働くのが当たり前だという。けれど日本の学友のアラフォー世代のほとんどが子持ちの専業主婦だといわれている。

それから、産前産後や幼児期を複数回経験された、現在子育て中のごきげんママ♡さんは、世の中で意義ある仕事を続けるのは負担が大きいとおっしゃる。

考えてみて欲しい。子どもを産むのに日本も欧州もない。それでも日本の女性の多くが定年まで働けず夫の扶養者になる。そこに何があるのか、考えてみて欲しい。


なぜ主婦になるのか

ごきげんママ♡さんは政治のせいと言いたくないですが…2人以上子どもを育てながらフルタイムで働き続けることを要求されるときついですね。その上で、もっと柔軟に働けるようになるといいとおっしゃる。

わたしはこうした声を先生方に届けたい

フルタイムで全ての家事育児を夫がシェアしてくれる夫婦もいるだろう。けれどそうじゃない人もいる。いや、そうじゃない夫の方が今でも圧倒的に多い。なにしろこの国はご存知よのうに今も長時間労働社会なのだ。

ほったらかしでは子どもは育たない。そんな国で女性がフルタイムを続けることがどれほど大変か考えてみて欲しい。

現在は正社員で働く女性には様々な制度ができてきているが、それでも働き続けられない女性は多い。だからこそ主婦になる女性が今もいる。

この国では高学歴女性が主婦化するなんていわれるけれど、それが甘えだなんて決めつけないで欲しい。


男女平等では足りないという気づき

現在は日本でも大卒女性の出産率が上がってきている。それは素晴らしい変化だ。けれど労働の場から離れた女性にも復活のチャンスが欲しい。

欧州にお住いのもっぴっぴさんは、ほんの30、40年くらい前は女性が育児しながら働く環境はあまり整っていなかったようです。恐らくその数十年の間に大きな環境•意識改革が行われて今があるのでしょうと言われる。

ここなのだ。

きっと先生方はお忘れだ。

欧米から遅れて日本にも1986年に「男女雇用機会均等法」が施行された。それは欧州もまた変化していた頃のこと。同じように男女平等の施策がとられていた。けれどそのやり方だけではうまくいかなかったのだ。

女性だけ平等にしようとしても上手くいかない。そこで長時間労働が見直され、男性にも産休や育休が整い始めた。

つまり女性を引き上げるだけでは駄目なのだ。やってみてそれがわかった。男女を同じように考えなければ限界がある、そんなことに気づいたのだ。

ところが日本では女性向きの法律ばかり。結果日本は欧米とは違う社会の形が定着した。

日本の女性だけが弱いわけではない。働く意思が弱いわけでもない。


なぜ日本女性だけが踏ん張れなかったのか

こうして長い間、日本の女性たちは労働市場から零れ落ちた。

しかも労働市場から零れ落ちる女性を喜んで受け入れる受け皿まで用意されている。お忘れだろうか、それが今国会で問題になっている主婦年金だ。この年金改正以降、被扶養者である主婦の年金は国持となった。

けれど思い出して欲しいのだ。均等法が制定されたのも同じ年だったではないか。

つまり先生方は本気では女性が労働市場に留まることを望んではいなかったのだ。だからこそ厳しい労働環境から女性たちは零れ落ちた。

そう、日本女性だけが弱いわけではない。働く意思が弱いわけでもないのだ。



時代遅れを見て見ぬふりをしないで欲しい

2023年1月の国会予算で130万円の壁は問題です、これを何とかしますと首相もいわれた。けれど、ここだけを問題視することこそが「問題」だと思う。

先生方が主婦年金をお創りになったように、労働力不足に悩まされこの国では、第二次世界大戦直後、妻たちが高卒の未就労女性と同じ賃金で仕事を与えられた。これは企業が主婦向けに創り出した特別な働き方だ。

これが主婦のパートのはじまりだ。それは1940年代に始まっている。それが今も続いているのだ。

これでは主婦のパートは身分だ。ここを先生方に考えて欲しい。

戦後間もなくの頃、企業で働く女性は少なく、誰もが貧しく三種の神器といわれた家電さえそろわない時代。だからこそ最低賃金でも妻が外で働くことには意味があった。

けれど今は学業を終えた女性は普通に働いている。女性の学歴も上がった。そんな学歴もあり就業経験もある女性たちを、この国では今も社会経験のない高卒女子の賃金枠に押しこめている。主婦は主婦のパートでいいだろうと。

このことを先生方に考えて欲しい。

これこそが問題なのだ。



パートで働く=苦しい

働く時間を調整する主婦は問題だからこの制度は撤廃する、では一方的過ぎる。女性たちの気持ちをどうお考えだろうか。寝るな、働けでは苦しすぎる。それではもう働きたくはない。それではもう子どもは欲しくない。

働くこと=苦しい

子どもを持つこと=苦しい

となる。月10万8千円以上をパートで稼ぐ子育て中の主婦は相当の犠牲を払っている。子どもが欲しいと先生方はおっしゃる。けれど今のままでは女性にとって年を取ることも、子どもを持つこともペナルティとなる。

それにしても同一労働同一賃金の話しはどこへ行ったのだろう。パート=パート賃金=最低賃金周辺ではおかしい。旦那がいるからいいだろう、優遇されているからいいだろうではもはや辻褄が合わない。働く人を個人で考えたいのなら、その個人に真っ当な働く場を与えて欲しい。今のままでは主婦が働くことはペナルティとしか思えない。

主婦にも短時間労働者としての働き方を提供してほしい。主婦にも誇りを持たせてほしい。主婦は愚かだなんてレッテルを貼らないでほしい。現代の主婦と終戦直後の主婦を同じにしないでほしい。古いルールは無くしてほしい。前例主義などもうたくさんだ。

この国から主婦のパート枠を消してほしい。パートの主婦を社会経験のない学生と同じ扱いにしないでほしい。わたしたちは戦後の主婦ではない。誰もがかつて労働市場にいた就労経験のある女性たちなのだ。主婦が駄目だなんてどうして決めつけられるのだろう。働く主婦にも誇りを取り戻させて欲しい。



おわりに

国会中継を目にして腹立しかった。わたし自身、主婦のパート枠で長年働いた。くたくただった。その絶望感は夫にさえ伝わらなかった。長時間夫を拘束する社会では夫はそもそも家にいず、妻の動きは夫には見えない。クタクタに疲れて帰る夫にパートの妻の嘆きは愚痴にしか聞こえない。

けれど考えてみて欲しい。夫が失業した時、妻が稼げたなら夫も助かるのだ。これは主婦だけの問題ではない。世帯の、社会全体の問題だ。

特定の労働者を労働市場から締め出すのはよろしくない。この国も欧米社会の働き方を目指して欲しい。

女性も当事者として声を上げてこなかった。だからこそわたしは先生方に声を届けたい。国会に出ない間、先生方は地方に戻り有権者の声を聞かれるのがお仕事ではないか。だからこそわたしたち有権者の声をきちんと聞いてほしい。


※最後までお読みいただきありがとうございました。


※スタエフでもお話ししています。



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