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なぜ日本のスタートアップはハードルが高いのか


わたしはこれまで、女性の働き方について記事を書いて来た。これはわたしの活動の第一ステージ。

そして、まだ準備に入ったばかりだけれど、そろそろ第二ステージへと気持ちは移行している。

ところが、ステージが変わろうとしている今、また少し違った社会が見え始めている。

先日はTBSのドラマを観た。これは実に面白いドラマだ。特筆すべきはそのスケールの大きさだと思う。しかも、その作り込みがなんとも愉快だ。


けれど、今のわたしには、少し前のTBSドラマの方が気になっている。


日本はサラリーマン社会だ。しかもその99%が中小企業と言われている。そして女性の大半はその中小企業で働いている。

もちろん、スタートアップは圧倒的に中小からはじまる。欧米に比べるとかなり劣るけれど、それでも日本でも起業する人が増え始めている。

けれど、思い出して欲しい。あのメガヒットドラマ『半沢直樹』ででてきた中小企業の社長の自死のシーンを。半沢の父親は工場の資金繰りが上手くいかなくなり最後は死を選んだ。

でもいったいどうして、そんなことになるのだろう?

実はこれまた、そこには日本特有の事情がある。

日本は担保社会だ。起業した人で自己資金が潤沢にない人なら知っているだろう。創業時に経営者は資金調達の際に自分の家など、形のある財産を担保に入れてお金を借りる。

日本の金融機関は個人にも、企業にも、お金の貸し出し時には、必ず担保を要求する。

このルールがあって、はじめてあの『半沢直樹』が生まれた。

あのドラマでは、事業の失敗で父である工場の社長が、所有する工場や、自分の財産まですべて失った。

これが日本だ。

けれど、たとえば米国では『半沢直樹』はストーリーとしては成り立たない。

なぜなら、起業時に事業主は個人の担保を差し出さないからだ。

じゃあどうするのかといえば、起業する側は、事業を担保にして融資を受ける。

その事業とは、起業側が持つ技術力や成長性だ。もちろんそこはシビアに評価される。

少し話は逸れるけれど、ベンチャーキャピタルの投資も同じような評価がなされる。ただし、こちらは金融機関から融資を受けるのと違い、投資先に、何かと口出しをするという特徴がある。

話を元に戻すと、

米国のようであれば、たとえ事業が失敗しても、事業主は個人破産はしない。だからこそ、廃業の見極めも冷静にできる。

そこで、日本にもそうした制度を導入しようという動きがある。それが、事業成長担保権だ。

金融庁の報告(2023年3月9日)によれば、まだ正式名称かどうかはわからないけれど、事業成長担保権として、既に法務省と金融庁との間で話し合いが始まっている。

金融庁は現在の担保法制をみなおし、事業全体に対する担保権を創設しようとしている。

従来の日本の融資では担保が必要だった。この場合、もしも事業が上手くいかなかった場合、貸した側の金融機関がもっとも気にするのは担保の価値だ。貸した金額に見合う金額を回収しなければならない。これは当然だ。

けれど、事業が担保である場合、金融機関は事業そのもの早期支援や事業再生などの一手が打てる。


そこで、金融庁はすでに新制度案を示し、この事業成長担保権専用の信託免許を創設し認可を与えた金融機関を通じ解禁するとしている。

これにより不動産を持たないスタートアップでも、この権利を利用して融資が受けられるようになるという。

とはいえ、これが国会に法案として提出されるのは今年。立法にはまだしばらく時間がかかりそうだ。

動きはじめてみて、やはり日本のマーケットは合理的ではない点がまだまだ多いことに気づかされる。

今のままでは、よほど度胸のある人でなければ融資は受けられないと思う。事業と共に自分の命も差し出す覚悟が必要なのだから。


※最後までお読みいただきありがとうございました。


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