見出し画像

わがプログレ愛 - プログレッシブ・ロックへの招待

こんばんはもしくはこんにちは。

柏木海です。

今日はプログレッシブ・ロック(略してプログレ)の話です。

プログレとは何か?
知る人ぞ知る、
1970年代前後に流行ったロックのひとつのジャンルなのですが、
一度でも聴いた人は、たいていこう言います。

「長い」
「難しい」
「何この変拍子?変態か?」

確かに長い。
中には一曲で20分以上あったりします(それがまた結構ある)。

難しいというのも、分かります。
まったくその通りすみません(誰に謝ってるんだ)。

AメロBメロサビという単純な作りをしてないんですね。
いくつかのモチーフが色々出てきながら、
長い曲の中でうねっていく。
その中で、4拍子が3拍子になったり5拍子になったり拍を超えちゃったりする、変態的変拍子。

聴きなれない人にとっては、

「何これ?」

と思うでしょう。

合わない人には合わないです。

しかし何度も聴いてるとハマってくるんですよねえ。
私もその一人です。

という訳で例によって独断と偏見ですが、
プログレの中でも特に自分の中で殿堂入り、
「これはマジですごい」
という曲(アルバムだと長すぎてちょっとうんざりするかもしれないので、一曲だけ紹介。どのアルバムの何曲目かも記載してます)を紹介したいと思います。

最初に書いておきますと、
おすすめしたい曲は全部で6曲あります。
私の中で、
ランクSSS、SS、Sの三種類があり、
それぞれの中に2曲ずつあります。

それでは早速いってみましょー。

・ランクSSS

(1)King Crimson「21st Century Schizoid Man」
 邦題:キング・クリムゾン「21世紀のスキッツォイド・マン」
 アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」の一曲目

(2)YES「Close To The Edge」
 邦題:イエス「危機」
 アルバム「危機」の一曲目

まぁ、なんだかんだ言ってこの2曲が双璧でしょうなあ、
というのは多くのプログレファンが同意するところかと思います。

「21世紀のスキッツォイド・マン」
私にとっては旧邦題である「21世紀の精神異常者」の方が馴染みが深い。

というか日本人にとってはその方が合ってると思う。

何、「スキッツォイド・マン」って?
なんかイマイチすっと入ってきません。

でも「精神異常者」はマズいと何かに忖度したらしいです。
まあしょうがないやね。

この曲というかアルバムは確か、もう25年位前でしょうか、
大学生の頃、ちょっといいなと思ってた女の子に紹介されたアルバムです。

最初はなんだかよく分からなかったんですが、
何年か後に聴いたとき、めちゃくちゃ気持ち持ってかれましたね。

そしてイエスの「Close To The Edge」。
(「危機」と呼ぶより現代で呼ぶ方が好き)

上で書いた同じ女の子に、
同じくイエスの「こわれもの」を紹介されたんですが(今思い出してみるとマニアックな女の子だ)、
それでイエスを気に入って、
そこから、何か他にもいいアルバムないかなーとネットで探していると、
みんながこれを絶賛してたんで、すぐに聴いてみた訳ですね。

最初は訳分からない始まり、
というか不協和音で不快です(これが何回も聴いてるとクセになる笑)。
その後のメインモチーフはなんだかバカっぽくて気の抜けたようなモチーフに聴こえるかもしれません。

しかしまぁ騙されたと思って、
最後まで聴いてみて下さい。
18分と長いんですが、
8分あたりからガラッと雰囲気が変わって、
そこからは一気呵成です。

私の中ではこの曲は、
地獄界-修羅界(人間界)-天界
みたいな、
まるでダンテの「神曲」か仏教の六道のような、
宗教的な変容をしていきます。

ヘルマン・ヘッセの「シッダールタ」にインスパイアを受けたというこの曲。

とにかく後半のリック・ウェイクマンのソロを聴いて欲しい。
シビれて卒倒しそうです。

そして昇天してしまいそうなラスト(私がこれを初めて聴いたのは90年代後半ですが当時のネットのレビューには実際にそう書かれていた)。
なんとも壮大な曲です。

という訳でランクSSSはこの2曲。
どちらが上か?というのを決めるのが非常に難しいんですが、
今のところ21thがちょっとだけ上でしょうか。

壮大さはCloseToTheEdgeの方が上なんですが、
21thはとにかくカッコいい。
これもまたシビれまくって倒れそうです。

21thの方はジャケットもすごくて、
有名なので一度は見た事ある人もいるんじゃないでしょうか。

余談ですが、
自分の中でこの2曲と全く同じ位置づけにあるのが、
ドストエフスキーの「罪と罰」と、
ゲーテの「ファウスト」
なんですよね。
この二作品は、
色々読んできた本の中での二大巨頭で、
壮大さは「ファウスト」の方が上なんですが、
熱量という意味ではわずかに「罪と罰」の方が上なんです。
21thとClose To The Edgeの関係とすごく似てます。

・ランクSS

(3)EL&P「Tarkus」
 邦題:エマーソン・レイク・アンド・パーマー「タルカス」
 アルバム「タルカス」の一曲目

(4)Pink Floyd「Atom Heart Mother」
 邦題:ピンク・フロイド「原子心母」
 アルバム「原子心母」の一曲目

EL&P(ELP)は「恐怖の頭脳改革」の方が有名なんですが、
(ジャケットが「エイリアン」のデザイナーであるギーガー画ということもあって)
私は個人的には「タルカス」の方が好きです。

ちなみにELPにはギターがいないんですよね。
キーボード・ベース・ドラムの構成。
JAZZで言うとチック・コリアとかビル・エヴァンスのトリオ構成みたいな。
この曲の特徴は、とにかくスピード感満載でカッコいい。

ピンク・フロイドもまた、
アルバムとしては「狂気」の方が有名なんですが(これはもう、めちゃくちゃ売れたアルバム(何故だろう?)、
個人的には「原子心母」の方が好きです。
ジャケットもいいんですよねえ。
牛がどーんと写ってて。

「原子心母」はどちらかというと、ロックというより構成がクラシック的です。
特にラストを聴くとそう思うんですが、
クラシックで言うところの交響曲とか協奏曲みたいな感じがします。

個人的にですが、
プログレはロックというよりもジャズやクラシックに近いような気がするんですよね。

時にはジャズのように激しく、
時にはクラシックのように壮大に、
ロックの楽器(ギター、ベース、キーボード、ドラム)を使ってそれを表現する。

あ、ちなみに、「タルカス」の中の何曲目か忘れましたが、
一瞬バッハの平均律の一節が流れてきた時は鳥肌立ちました。
ELPは「展覧会の絵」も全曲(!)ロックアレンジしており、
キーボードのキース・エマーソンはクラシックにも精通してたんでしょうね。

ちなみに、最近改めてELPを聴き直すまでは、
最強キーボードプレイヤーはイエスのリック・ウェイクマンだと思ってたんですが(アルバム「危機」の1曲目と3曲目はマジすごい)、
タルカスと頭脳改革を聴くと、
キース・エマーソンの方が上ですね。
というかこの人がすごすぎるんで、
リック・ウェイクマンも十分すごいんですが。

・ランクS

(5)Genesis「Supper's Ready」
 邦題:ジェネシス「サパーズ・レディ」
 アルバム「フォックストロット(Foxtrot)」の6曲目(ラス曲)

(6)Camel「Lady Fantasy」
 邦題:キャメル「レディー・ファンタジー」
 アルバム「ミラージュ」の5曲目(ラス曲)。

有名な話ですが、
キング・クリムゾン、
ピンク・フロイド、
イエス、
ELP、
でプログレ四天王とか呼ばれてる訳ですが、
ジェネシスは、
5つめのグループとして入ることもあります。

四天王よりちょっと下に見られることが多いんですが、
この曲はすごい。
20分超えの大作です。

最初はどうも印象に残ってなかった。

アルバム「Foxtrot」(通称「赤いきつね」←カップ麺か!( ゚∀゚)っビシッ)
の曲の中で言えば、
最初は4曲目「Can-Utility and the Coastliners」の方が好きだったんですよね。
あの途中からのカッコいいギターのリフがなんとも。

でも改めて聴くと、このサパーズ・レディもカッコいい。
レディは「lady」じゃなくて「Ready」なんですよね。なんかそれもカッコいい。

特に途中からのリズム的な展開は圧巻です。
どうも作曲者(ピーター・ガブリエル)が当時LSD(ドラッグ)をやってて、
その時見た悪夢からインスパイアを受けたとか、
本当かどうか分からない噂もありますが、
そう思わせるほど迫力のある展開です。

キャメルのミラージュも好きなんですよねえ。
プログレとして、
ジェネシスの次に来るのは「Thick As a Brick」のJethro Tullとかなんですが、
私は特にこのキャメルが好きです。
(「ムーンマッドネス」を最高傑作に挙げる人も多いんですが私は今のところ「ミラージュ」の方が好きですかね。「ムーンマッドネス」はかなりシンセ色が強くて。「ミラージュ」はまだアナログの雰囲気を残してます)

キャメルは何がいいって、めちゃくちゃ抒情的なんですよね。
とにかくギターが泣かせる。
何度も聴いてると、ボーカルもいいし、リズム部分もカッコいいことに気づきます。

はい。という訳で長くなりましたが、プログレの個人的殿堂入り6曲を紹介してきました。いかがだったでしょうか。

とにかくプログレってのは、超絶技巧プレイもその特徴として挙げられるんですが、
上記の曲はどれを聴いても、その意味を分かって頂けるかと思います。

サパーズ・レディとレディ・ファンタジーも、
ランクSだからといって劣るとかは無く、
どれもめちゃくちゃカッコいいので、
ぜひ聴いてみて欲しいと思います。

あ、ちなみに、最初にも書きましたが、
プログレは、一回目に聴いたときは、
「なんじゃこりゃ?」
で終わる場合が多いです。

のですが、繰り返し聴いてると、
3回目くらいから、
段々と耳が慣れてきて、
めちゃくちゃカッコ良く聞こえてきます。

……え?
こんな長い曲何回も聴いてられないって?

ごもっとも(;´Д`)

だからプログレにハマる人って少なくて、
世間から変な目で見られるんですよねー……。

いいなと思ったら応援しよう!