見出し画像

BE:FIRST の Message から感じる多様性

※このテキストを読む前に
私は自分の性的指向をアロマンティック・アセクシュアルと自認してこの文章を書いていますが、性的指向はグラデーションがあり、アロマンティック・アセクシュアルがみんなここに書かれたような思いを同じように持っているわけではありません。人間一人一人が違うように、性的指向も人の数だけあると思っています。このことについて今まであまり深く考えたことが無かったという人は、是非「知る機会」を沢山作ってください。そして一つの答えに縛られず、様々な答えに耳を傾けてください。


こんにちは〜!BE:FIRST のファーストアルバム『BE:1』がリリースされてから毎日欠かさずアルバム曲を聴いているUmiです。
今回は、アルバム『BE:1』の中から、最近MVが公開されてその解釈について様々な解釈が飛び交っている「Message」について深掘りしていきたいと思います。

「Message」はBE:FIRST 初のラブソングです。BE:FIRST 自体がこれまでにないボーイズグループを作るという目標を掲げて作られたグループなので、従来のボーイズグループによくある楽曲ではないだろうと予想していたし、そうであって欲しいとも願っていました。実際楽曲を初めて聞いた時、驚きと喜びが同時に込み上げてきて、直ぐに大好きな曲になりました。
私は恋愛感情が全く分からないというわけではありません。しかし私自身が他者を恋愛的に好きなったことは無いです。子どもの頃から触るのも触られるのも苦手で、波もあるのですが時々急激に皮膚や人間の体温が凄く気持ち悪く感じることもあります。でも他者同士がくっついているのを見るとき不快感はありません。自らの気持ちを他者に向ける熱量がほとんど無いと言ったらいいのかな?例えば、オリンピック競技を観るのは好きだけど、実際にオリンピックに出場しようとは思わないという感じに近いかもしれません。
恋愛ドラマや映画は楽しんで観ています。好きな人に思いを馳せる人が発するキラキラはとても美しいと思うので、その溢れたキラキラをお裾分けしてもらう感覚です。ただ、内容によっては受け付けないものもあります。音楽も同様に、普遍的な愛について歌ったもの、楽曲の中に出てくる関係性が男女間の恋愛以外でも捉えられるものは大丈夫ですが、それとは真逆の男女間の恋愛に限定されて想像できる幅が狭い楽曲は苦手です。何だか置いてけぼりを食らったような感覚になるのです。
BE:FIRSTのMessageは、その置いてけぼりの感覚は無く、キラキラのお裾分けを貰った気持ちになりました。

特に好きな歌詞は以下の部分です。

もう二度と 離せやしない君を
世界を振り切って 痛みと踊ろう
夜明けにキスをしよう
星に願ったりしない

最初からここの歌詞にグッと引き込まれて聴き込んでいたのですが、ふと気になる点が出てきて以下のようなアンケートをとってみました。

https://twitter.com/umi___be1/status/1575448342456602624?s=61&t=hAO7x7b3wjWEPNZYNu6Ksg

なぜこのようなアンケートをとったのか?それは私自身がアロマンティック・アセクシュアルであることから、もしかして曲の解釈について違いがあるのではないか?と考えたからです。
Twitterでみんなの楽曲の感想を読む内に、恋愛というものが人生の最優先事項に入っている場合、キスの対象は「君」になるのかな?と、とても気になってアンケートをとるに至ったのです。

私は「痛み」と踊ろう(痛みと共に生きる)、「星」に願ったりしない(神頼みせずに自分で実現する) という前後の比喩表現から、「夜明け」にキスをしよう もキスの対象は「夜明け」で、物理的にキスをするという意味ではなく、「辛い暗闇を乗り越えて明るい未来を迎えることを祝福する」という意味だと捉えました。瞬時にこの解釈が出たのは、私が自分の人生において人間にキスをするシチュエーションが無いことも影響しているのかな?と思いました。(愛すべきネコチャンには毎日のようにめっちゃチューしてます!)
アンケートは「君」の方が多くもっと差が開くと思っていたのですが、意外にも拮抗していて面白かったです。これについては性的指向というより音楽やドラマ、映画など作品の中の人物に感情移入して作品に浸るタイプと、第三者視点で作品の外側から眺めるタイプで分かれているように感じました。
また、「夜明け」派と「君」派でそれぞれ更に細かい解釈に分かれて、この選択肢では少なかったなぁと思うくらい様々な解釈があって興味深かったです。
予想とは少し違った結果でしたが、「Message」という楽曲は幅広い解釈ができる懐が深い曲であることは確かだと思いました。

そうこうしているうちに、アルバムが発売されてから1ヶ月以上たっぷりこの曲を聴き込んだところでMVが公開されました。このMVを観て、やはり多様性を大切に取り扱ったラブソングだと確信しました。

#Message考察でTwitter検索をかけると実に様々な解釈がシェアされています。メンバー7人がそれぞれの恋に葛藤するドラマパートが印象的なMVです。恋の相手に具体的な描写が無いことや、恋の相手が同性同士なのかと思わせる描写があるからこそ、このMVの解釈が何パターンも思い浮かぶのだと思います。
色々な解釈で何度も見直すと毎回新たな発見があります。その中で、あまり他のメンバーと視線が合わないシュントに関しては、恋愛をする人が感じる「自分の想いが相手に届かない苦しさ」を表現しているとも言えるし、生きていても居ないことにされている恋愛をしないマイノリティを表現しているようにも見えます。「シュント幽霊説」は人によっては気の毒だ、不謹慎だと感じた人もいらっしゃったようですが、私はみんなが恋バナや下ネタで盛り上がっているとき、幽霊ポジションになりやすい私を見つけて貰ったようで嬉しかったです。
また、「7人の恋の相手は音楽説」も凄く嬉しかった。私は仕事とは別に挑戦している創作活動があります。それは自分にしかできない表現を追求することで、掴めそうで掴めずもどかしくて悔しくて泣くこともあるし、でもやめたいと思ってもやめられない一生かけてやりたいことです。Messageを聴き込むうちに、もしやこの熱量は恋愛をする人が大好きな人に向ける熱量と同じなのではないかと思いました。だから、「みんなそれぞれお互いに頑張って生きていこうね」って素直に思いました。今はまだ、こんなことを言うと「強がっちゃって」とか「いつかいい人が見つかるよ」とか言われる世の中です。でもMessageのMVを観て「恋の相手は音楽説」がスッと出てきたこのファンダム内なら大丈夫なんじゃないかと思えました。
人が何かに対して向ける熱量は人によって様々で、均等に振り分ける人もいれば何かに偏ってそこに全力を注ぐ人もいるのだと思います。場合によっては熱量自体が弱い人もいるでしょう。どれも間違っていない、否定されない世の中に少しずつでも変わっていけたら良いなと思います。カテゴリー分けもされない、一人一人の異なる個性が認められる世の中になって欲しいです。

この楽曲とMVが良いなと思う点は、これまでのスタンダードとされてきた恋愛も別な愛の形も全て肯定されている点、それをサラッと軽やかに織り交ぜて表現している点です。LGBTQ+の話題やそれらを題材にした作品は、まだまだ認知度が低いために、知識のない人に向けて分かりやすく描写されたものが多いです。どうしてもそういう作品はトラウマを呼び覚ますので、NHKで放送されていた「恋せぬふたり」は残念ながら観ることができませんでした。(当事者でない人は大丈夫だと思うので、気になった方はぜひご覧ください。)
今のところドラマでアロマンティック・アセクシュアルをさりげなく取り入れた作品として好きなのは「大豆田とわ子と三人の元夫」のかごめちゃんの回です。
BE:FIRST の Message はその作品以来の感動と嬉しさでした。
カテゴリー分けされない唯一無二の存在になることを掲げたグループが、この楽曲を表現することは、とても説得力があります。
100人いたら100通りの解釈があるこの曲を何度でも聴きたいし、MVを何度でも見返したいと思います。


この記事が参加している募集

多様性を考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?