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看護師のわたしが体験した骨髄穿刺と腎生検

「これからどうなるんだろう・・・」

2018年12月、入院できた安心感とこれから何が起こるのかわからない不安感と、そして息苦しさで目の前がまっくらだった。

2018年12月、わたしは全身性エリテマトーデスという病気の診断を受けた。そのときにした検査は、採血・検尿・レントゲン・心電図・心エコー・頭のMRIなどそこそこ一般的な検査だけでなく、腎生検・腰椎穿刺・骨髄穿刺など特殊な検査も経験した。

もしね、これからなにかの検査を受けるひとがこころの準備とか、イメージがつけばいいなとおもって、1年たった今なら、すこし客観的に書けるかも知れないとおもって書いてみようとおもうのです。

というのも、いちおうわたし自身看護師なので、これらの検査のうち腎生検以外は介助についたことがあるので流れはわかります。だけど、腎生検や膠原病のことなんかは、ほぼまったくわからなかった。どんな流れで検査されるのかなーなんていうのは調べたらわかるけど、そこには乗ってないいろいろがあった。これからとくに腎生検を受けるひとは、すこしでもご自身なりの対策ができたらいいなとおもうわけです。

◆はじめての骨髄穿刺

骨髄穿刺というのは、白血病などの血液の病気のときにする検査で、胸やお尻の骨を針でぐぐいっと刺し、なかの骨髄を採取しておこなう検査です。
血液内科にいたころに「○○先生は上手なんだよねー」と患者さんから聞いてはいたけど、まさかじぶんがされる側になるなんて!
こわすぎる!
しかも当時は、肺炎・心不全で、くるしいしきついしこわくてたまらない。

検査当日、やってきたのはなんと、膠原病内科の先生!!!!

えええええええ!!!!!????

血液内科の先生じゃないの??
この若い先生がするの?? まじで? ただでさえ怖いのに科が違うってことは専門がちがうってことじゃん! 

いーやーだーーーーー!!!!!


・・・なんてことは言えるはずもなく。
「先生、怖いです…」というのが精一杯。ところがこの先生、
「そうですか?」

は? そうですか? じゃねぇぇぇ!!! 共感の「き」の字もないな・・とおもっていたら、案の定、今からなにをするかという声かけがひとつもない。

「これから麻酔しますね」
「ぐっとおされる感じがありますよ」
「ぐっとひっぱられるような感じがありますよ」

などとお決まりの声かけが、ひとっつもなく、うつぶせになって様子が見えない恐怖のなかおしりに針をさされたのでした。

「ぃいいいいたいいいいいいいいいいーーーーーーーー!!!!!」

痛くて声を出して泣くなんてめったにないわたしが、失神しそうなほど痛かった。それはもう、足の骨が裂けるんじゃないかとおもうほど。そう、割れる、とかじゃなく、裂ける!!

部屋のなかに何人か専門職はいたはずだけど、ようやく泣き叫ぶ患者(わたし)に声をかけてくれたのは女医さんでした。
それでも何度か刺され、結局女医さんが刺したときにはそんな痛みはほとんどなく、あっという間に終わりました。

やっぱり上手な先生とそうじゃない先生がいるんだなーと痛感し、そして、やっぱり共感能力ひくいなぁ・・・と泣きながら天井を見上げたのでした。

◆はじめての腎生検

「腎生検は親に来てもらっておいたほうがいいよ」というアドバイスを受け、県外からはるばる片道3時間かけて親にきてもらいました。

結果、正解でした。

できないことは看護師さんにしてもらうからいいか、とおもっていたら大間違い。腎生検はその後が大変なのです。

まずは、検査から。
検査自体は、さすがにこれは腎臓内科の先生たちがチームでしてくれて、「まだなにもしないから緊張しなくて大丈夫ですよー」なんて声をかけてくれて、さすがだな、と安心して受けられました。
血圧などのモニターをつけてうつぶせになり、腰のあたりを刺して腎臓の組織を取る検査なのです。検査自体は麻酔をするから、ぜんぜんいたくないし、あっという間に終わりました。

ところが、地獄はここからはじまるのでした。

腎生検をしたあとは、24時間ベッドの上で寝ていなければいけないのです。それだけ? まーなんとかなるでしょー、とおもったでしょ。わたしはおもってたんです。枕元にスマホや充電、イヤホンなどなどグッズさえおいておけば、暇をしのげるんじゃないか、って。
それが。
暇なわけではなかったのです。

腎生検は24時間、絶対安静。絶対安静。床上安静とはちがうんです。
絶対安静、とは動いちゃだめ。寝返りもうっちゃだめ。
検査直後〜数時間は両足ともにのばしていなくちゃいけなくて、膝を曲げたらだめなんです。なぜかというと、腰に針をさして検査をするわけですが、その針を刺した部分をしっかり止血しないといけないんです。腎臓は血流がおおい場所だから、さいしょのうちは砂嚢といって袋に砂をつめたものを腰の下に敷いて仰向け。
そして時間がくると、刺してないほうの足は曲げてもいいと許可がでます。でも、からだの向きはかえちゃダメだし、両膝を曲げられないと、腰が痛くていたくてたまらない。
そして、言い忘れてたけど、こんなふうに動けない・トイレに行けないのだから、おしっこの管を入れられます。
これがまた痛かったーーーーー。え、こんなにみんな痛がらないけど、っていうくらい、めちゃくちゃ痛くて、ほんとにちゃんと尿道に入ってる? (女性はよく間違えやすいのです、別の穴と)ってくらい、痛かった。
そしてその痛みと違和感がずっとつづくなか、地獄の絶対安静時間がはじまっていくのです。

「好きなアーティストの曲でも聞いて癒やされようー」とかおもって聞いてはみたけど、音楽はこころは癒やしてくれても腰の痛みは癒やしてくれるはずもなく、ただただつらい時間がながれるのでした。

ガリバー状態になっておもうのは、やっぱりじぶんで好きなときに飲んだり食べたりできないのはかなりのストレスなのです。だから、まったいらなベッドの上でガリバーになったわたしは、テーブルをおなかのあたりまで持ってきてもらい、じぶんで飲めるようにストローをつけてもらったり、時計を見える位置においたり(これまた時間が進まない)、いちばん役に立ったのは泣きそうなときに顔を覆うハンドタオルでした。

効くかどうかはわからないけど、スマホであれこれ気分転換したり、アロマで緩和したりできたらもっとよかったのかも、とおもいました。

腎生検は、そのあとがとってもつらいです。
だから、じぶん癒やしグッズをひたすら準備しておくことをおすすめします。
そしてやっぱり、家族や身近なだれかにそばについていてもらう方が絶対にいい。平らに仰向けでひとりでご飯なんて食べられないし(そもそも食べる元気もなくなってしまうけど)、食べられるときに食べるのを手伝ってもらえるのはほんとうにありがたい。
腎生検は家族つきそいは必須です。

それから1ヵ月は階段の上り下りやしゃがんでから立ち上がるなど腹圧がかかるような動作はだめと言われます。治療にもよるかもしれないけど、わたしはステロイドとこの腹圧かけちゃだめだという制限のおかげでものすごく筋肉が落ちた。びっくりするほど落ちたのです。

だから、無理する必要はないけど、ベッドの上で足首の運動をしたり腹圧をかけない運動はできればしたほうがいいような気はします。ただし、ほんとうに無理は禁物で。(これは安静解除後のはなし。安静時間中はそれどころじゃないしね。)

◆文章による説明では聞いてもよくわからない。

患者になっておもったのは、文章で説明されたところでやっぱりよくわからないというのが事実。病気のことも、治療のことも、わたしは医師が買う教科書的な本を買って読んだけどそれでもよくわからないし、結局のところ、ブログなどの体験談からすこしずつ、すこしずつイメージがわいて、わかるようになっていきました。

それで、最初のころからいろいろと病気のことも書いていたけど、まっただなかだと、きもちも落ちてくるし、そんな文章なんか誰も読みたくない。そうおもって、いちどすべて消しました。

おなじような難病のひと、外からみたら元気そうだけど実は・・・、みたいなひとたちっていっぱいいる。年齢を重ねてくると生活習慣病も出てくるしね。だけど、そういうものが出てきても、じぶんらしく生きたい、ってわたしは強くおもうのです。

「生きてるってことは、生き残ってるってこと」

ある本に書いてありました。
病気があってもなくても、みんな、みーーーんなでこぼこをもっている。そのでこぼこを抱えながら生きていきたいし、わたしがやってみてよかったことがあれば、閉ざされていた扉が少し開くかも、とおもえることがあるかもしれない。
だから、病気があってもたのしく生きていこうよ! って言いたいんです。

また、すこしずつ病気とのつきあい方など書いてみます。

いつもありがとうございます! いただいたお気持ちをパワーに変えて、どんどんまわしていきます!