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仕事で『いい子』でいる私が『いい子』であり続けるために必要な時間

「はいはい、こっちですよー」

行きたい場所にいくために、出口を探して歩くおばあちゃん。
施設のなかを歩いていると、出口を探して歩くおばあちゃんと遭遇し、一緒に歩いたり、なだめたり、向こうに戻ろう、と誘ったりすることがあるんです。耳がほとんど聞こえなくて、背中に手を当てて顔を見てジェスチャーなどで語りかけるのですが、そんなときにあわててやってきてくれるんですね。介護士さんが。

そして、「すいませんね」と言いながら、そのおばあちゃんの腕を引っ張って連れて行くんです。ちょっと強引に。

おばあちゃんのペースに合わせるわけじゃない。
だから、じぶんの方が半歩先をあるき、肘のあたりを引っ張るようにして連れて行く感じ。

ううん、そんなに強引にしないでほしいなぁ、とおもう。

また、あるとき。

「向きを変えようと引っ張ったら○○さんの手のひらが皮が剥けたんです」

え? 手のひらの皮が剥けるほど強いちからで引っ張るってどういうこと?
それも、若くて温和な感じのおんなのこ。

どちらも一見、やさしそうな雰囲気のひとなんです。
仕事をしていて声を荒げるようなこともないし、意地悪なことを言ってくるわけでもない。
なのに、どうしてなんだろう・・・。

傷つけようとしてしているわけじゃない。
なのに、虐待手前(ひとによっては虐待と捉えられることもあるかもしれないですよね。実際に傷ついているわけですから。だけど、行為を虐待だと言いたいわけじゃないのであえて深くは追求しないでおきますね。)のような行動がみられる。
・・・というより、『出てしまう』という方が近いのかもしれない。

なんだかそこには、『いい子でいなければいけない』という心理がにじみ出ているような気がするんです。

看護師であるわたしが、認知症の症状でたとえば大きな声を出したり、歩きまわったりしているひとの対応をすると、介護さんたちはあわてて「すみません」と言うんです。

わたしはスタッフのうちのひとりなんだから、対応して当然だとおもってるし、それがすきだし。

だけど、看護師のほうが上だとおもっているひとも、介護士さんたちのなかにはいることも、一緒にはたらくなかで感じます。
じぶんより上の立場の看護師に、対応させてしまってはいけない、というふうにあわててやってきて、強引に連れて行くような感じがするんですね。

また、一緒にはたらくひとたちに対しても『いい子』になろうとする。

急がなければいけない。じゃないと、一緒に働いているひとに迷惑をかけてしまう。嫌なかおをされてしまうかもしれない。
認めてもらうには、ちゃんと仕事ができるところを見せなくちゃ。
なのになんで、こんなに抵抗するの?
もう、早くしてよ!…って力を入れちゃうのかなぁ、と想像するのです。

わかります。

わたしも、基本『いい子』で生きているから。
どんなに『いい子』を捨てたくても、やっぱり基質的には『いい子』に傾いてしまいがち。

周りを見て、空気を読んで、どう行動するのがいちばんいいか。

でもそれは、逆をいえば、チームで仕事をしていくうえではとってもたいせつなスキルのひとつ。そのスキルのおかげで、うまくまわることだってあるんです。

それに、介護や看護の現場ではたらくひとは、基本的に『いい子』が多いとおもうんです。仕事自体が自己犠牲的な部分がおおいにある。誰かのために働いているという時点でそうだとおもうし。

そんな現場で、はたらき続けるためには、絶対的に必要なじかんがあるとおもうんです。
それが、

こどもに戻るじかん、です。

たとえばわたしは、だいすきなアーティストのライブに行って、全身で音楽に溶け合うように堪能します。

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ライブはいつでもあるものじゃないから、車のなかでうたったり、このまえはものすごくひさしぶりに一人カラオケにいきました。
じぶんの大好きな曲を選んで、じぶんだけのためにうたう。

じぶんだけの、こころとからだが解放されるじかん。

そうすると、なんだかいつもまわりのことばかり見ているこころと体がゆっくりとやわらいだような感じになりました。
そして、またがんばろう、とおもえたんですね。

ほんとうは、『いい子』になんてなる必要はないとおもってます。

だけど、『いい子』でいる必要はないけれど、そのスキルはとても大事でひつような場面ってたくさんある。
でも、そのスキルばかりつかっていると、ほんとうのじぶんが後回しになってしまって疲弊してしまうんですよね。

すると、やっぱりやさしくなれない。

わたしたち対人援助職は、絶対的に、まずはじぶんが幸福でなければいけないとおもうんです。
どんなにしごとが好きだとしても、です。

じぶんが幸福でないひとが、他人にやさしくなんてできないです。

だから、ちゃんとじぶんがいちばんじぶんであれる時間をつくって、じぶんのなかのちいさなじぶんを喜ばせてあげることがたいせつだとおもうんです。
じぶんが幸福であることは、義務です。

だから。
じぶんが夢中になって楽しめるじかんをつくっていきましょう。

いつもありがとうございます! いただいたお気持ちをパワーに変えて、どんどんまわしていきます!