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短歌

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ウメガカが詠んだ短歌です。
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#今日の短歌

【短歌】去年のきみを連れて帰った【日記】

郊外のイオンの隅で目が合った去年のきみを連れて帰った  今週もお疲れ様でした。  最近は記事をあまり書けていなかったのですが、今日は短歌を詠んでみたので、日記を書いています。  ここ2週間ほど「つぶやき」機能でお茶を濁していたのですが、そろそろ書かないと復帰できなくなる気がしました。一回やめると再開するのがキツくなる……。日記って長距離走に似ているかもしれません。  さて、今回の歌は(今回の歌も?)オタクの日記です。  ショッピングモールの片隅で、去年の推しのグッズを見つ

【短歌】このこは私の家の推しぬい【ぬい撮り】

落とし物じゃないな眉がよれているこのこもだれかの家の推しぬい  落とし物として届けられるぬいに想いを馳せてみました。  勿論、ぬいぐるみが落ちていたら、落とし「物」なんだけど、いざ拾っちゃうと物扱いするのは忍びないな〜なんだか切ないな〜って気持ちになるだろうなって気持ちで詠んでます。  ところで、今回の記事のヘッダー画像に写っているのは、うちのドータクンぬいです。  それから、写真の場所は、近鉄鶴橋駅です。  そう、近畿の民ならお察しかもしれませんが、近鉄鶴橋駅には

推しの推しは推しなんだよな 僕たちの収束してく先のろふまお

短歌まとめ(2024年5月)

5月に詠んだ短歌 テトリスだけ上手くなったよ 「生きてたくない」と「死にたくない」の隙間で これからも死にぞこなって生きていく 割れてる爪にマニキュアを塗り 「生きてたくなかった明日」は来ないかも 今日は眠ろうそれだけでいい  5月に詠んだ歌は、なんとこの3首だけでした。自分の体感ではもっと詠んでいたつもりだったので、 「え!? そんなはずは……!?」  と、メモアプリの中を隅から隅まで探しても、やはり3首だけなのでした。人間の記憶ってアテにならないですね。  それ

短歌まとめ(2024年4月)と告知

自選短歌5首 妹が帰省している新しい髪の毛が排水口に詰まる スギ花粉以外のログインボーナスを早く実装してくれ地球 春ですね きみは狂気に飲まれるな桜の前で足を止めるな お前にも生まれた意味はあるはずだけど容赦なく足の毛を剃る わたしたち正しくないまま生きていく 正せないまま生きていくんだ そのほか4月に詠んだ短歌 エイプリルフールであってほしいから暦を見れど今日は2日だ 先輩は胃炎、上司は熱を出し、ぼくはメンタルやられてる春 春物のニットお別れなのか? もう

短歌まとめ(2024年3月)

自選短歌5首 上を向く 嵐の中で星を追う 奈落の底で青空を知る 帰らせる気の無い職場「とりあえず一旦終礼しときましょうか」 限界の社畜ベリアル「ヤバい、達する達する!!」(過労死ライン) 食べて寝て後は死ぬだけしかなくてそういう余命だけがまだあって、 我慢したそういうこともありましたバケツプリンを山ほどすくう【題『我慢』】 そのほか3月に詠んだ短歌 セイレーンだけが変わらず笑ってた廃墟みたいなモールの隅で 最強の勇者だけれど毎日のログインボーナスを取りそこねが

短歌まとめ(2024年2月)

自選短歌5首 「火」のルーン描いてスマホを起こすとき魔法少女になれた気がして インスタの正方形の外側にもたしかにあった僕らの季節 わが心知る由もなし鹿たちは草を食む奈良家裁への道【題『家』】 月齢のように満ちゆく爪先の白よ 私の生き延びた日よ【題『爪』】 逃げていく2月を羽交い締めしてる 息つく暇もない年度末【題『息』】 そのほか2月に詠んだ短歌 冷コーは売り切れました 「冷コー」と頼むあなたがもう来ないから【題『冷』】 初売りへ猪突猛進 背中には鎧のようなカ

うたの日の短歌(2024年1月)

題詠をやりたくなったので、先月から短歌投稿サイト「うたの日」様の歌会に参加しています。 お題と自分の作品を振り返る機会があった方がいいかもな、と思ったので、今回、振り返りの記事を書いてみました。 2024/01/25 題「りし」 ミリしらの母に描かせた炭治郎どこか老けてて父に似ている 記念すべき初投稿の歌です。 お題が「りし」だったので、おそらく「過ぎ去りし」「在りし日」などの過去形や「利子」「履修」という単語を詠み込んだ歌が多くなるだろうと予想し、比較的かぶりにくそ

短歌まとめ(2024年1月)

自選短歌5首 天井の染と対話 眦をつたう心の発露一滴 「君が好き」だけでよかったあの頃は虹も七色だけでよかった 歴代の推しが教えてくれたこと 裏切られても嫌えないこと 身長が今の半分だった頃裸眼でどんぐり拾いができた【題『橅』】 「亻が本読むためにある体かな」と彼は義手で頁をめくる【題『体』】 そのほか1月に詠んだ短歌 「ばいばー」と去る2歳児とハイタッチ 吾が掌の冷たきを知る 午前9時〜正午のみ診察をしてたじじ医がいた医院跡 鳥の檻は動物園の西寄りにあり取

短歌(虹が七色だった頃)

「君が好き」だけでよかったあの頃は虹も七色だけでよかった 「君が好き」という気持ちがあれば、自分のアイデンティティやら生活やら人生やらが全部なんとかなっていた頃は過ぎ去ってしまったね。「君が好き」だけでは、もうどうにもならないね。 それは例えるならば、虹を七色に塗っていれば正解で、お手本どおりに塗りさえいれば先生に褒めてもらえた頃のような単純さだけではもうやっていけないのに似ているよね。という気持ちで詠みました。 虹はグラデーションなので名前のつけられない中間色だってある

短歌「歴代の推しが教えてくれたこと」(2)

「歴代の推しが教えてくれたこと」から始まる短歌10首です。 ※前回の10首はこちら↓ 歴代の推しが教えてくれたこと 裏切られても嫌えないこと 歴代の推しが教えてくれたこと 役には立たぬ淡きときめき 歴代の推しが教えてくれたこと ギャップがあると軽率に沼 歴代の推しが教えてくれたこと 働きすぎは体に悪い 歴代の推しが教えてくれたこと 青天井は悪い文明 歴代の推しが教えてくれたこと 蠱毒、粉塵爆発、地獄(ゲヘナ)   歴代の推しが教えてくれたこと 刀は室内戦に向

短歌まとめ(2023年12月)

自選短歌5首 病名がついて体が軽くなり見えない縄で首が絞まった 今はまだ幸せじゃない「今買えば当たるんじゃない?」は慰めの語彙 荒れ狂う夜中の海を越えてゆく 北極星の君をよすがに 末永く続かなかった幸せよ オルゴールは未だきらきらと鳴る 歴代の推しが教えてくれたこと Lemonは中堂系のイメソン そのほか12月に詠んだ短歌 エブリデイ古今東西たくさんの孤独がここにあって図書館 誰もみな忘れてた100年ぶりの災厄みたいな昏い激情 「今買えば当たるんじゃない?」

短歌「歴代の推しが教えてくれたこと」(即興10首)

思いつくままに詠みました。途中で「これシリーズになるのでは?」と気づいたので、とりあえず10首詠んでみました。 歴代の推しが教えてくれたこと「愛のためなら悪役になれ」 歴代の推しが教えてくれたこと「それでも君は善人であれ」 歴代の推しが教えてくれたこと「冷酷はいい、非道になるな」 歴代の推しが教えてくれたこと「命は巡る、されど戻らぬ」 歴代の推しが教えてくれたこと 美学を持ってるヤツが最強 この辺りは歴代推しが言いがち(体現しがち)なセリフを思い出しながら詠みまし

短歌(「今買えば当たるんじゃない?」編)

「今買えば当たるんじゃない?」「そうかも」と真に受けて三千円溶かす 今はまだ幸せじゃない「今買えば当たるんじゃない?」は慰めの語彙 「今(宝くじを)買えば当たるんじゃない?」という言葉は、珍しいトラブルに巻き込まれたり、偶然不幸が続いたりした人に対する、慰めの定番フレーズです。 というか、この慰めのために宝くじは存在するんじゃないか? と思うこともあります。 偶然不幸が続いた人にかける言葉って結構難しくて、根拠が無いなりに 「そういうこともある」とか「なんとかなる」と