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短歌

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ウメガカが詠んだ短歌です。
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記事一覧

【短歌】このこは私の家の推しぬい【ぬい撮り】

落とし物じゃないな眉がよれているこのこもだれかの家の推しぬい  落とし物として届けられるぬいに想いを馳せてみました。  勿論、ぬいぐるみが落ちていたら、落とし「物」なんだけど、いざ拾っちゃうと物扱いするのは忍びないな〜なんだか切ないな〜って気持ちになるだろうなって気持ちで詠んでます。  ところで、今回の記事のヘッダー画像に写っているのは、うちのドータクンぬいです。  それから、写真の場所は、近鉄鶴橋駅です。  そう、近畿の民ならお察しかもしれませんが、近鉄鶴橋駅には

日常と性癖の短歌集【自選100首】

初めまして、ウメガカと申します。 普段は「日常と性癖(と、推し活)」をテーマに短歌を詠んでいます。 今回は、今までに詠んだ歌の中から、お気に入りのものを100首選んでみました。見ていってもらえると嬉しいです。 よろしくお願いします。 偏愛短歌 カチカチのフォカッチャ食べた月曜の朝のことすら愛おしかった 不器用なままでいてよね身勝手な願いを込めて髪を編み込む 「晩ごはん何食べるん?」への回答は電子レンジのチンじゃとけない ずぶ濡れのわたしの前に現れた明いたき火のような

推しの推しは推しなんだよな 僕たちの収束してく先のろふまお

短歌まとめ(2024年6月)

6月に詠んだ短歌 語りたい語るほどでもない言葉 ニコニコ動画に放流してた【題『自由詠』】 十八時半あまやかに翳る空 わたしの「今日」はいつもここから【題『八』】 ひきだしの底の日記とキスをした タイムマシンがあればいいのに  6月も歌を詠みました。  上2作は「うたの日」様のお題に投稿した作品でした。題詠はやっぱ楽しいな。題に沿って短歌にする過程で、私の記憶や主観は雑味を削ぎ落とされ、少しづつ私を離れていく。できあがった歌を後から読み返して、ひとごとのように「いい歌だ

短歌まとめ(2024年5月)

5月に詠んだ短歌 テトリスだけ上手くなったよ 「生きてたくない」と「死にたくない」の隙間で これからも死にぞこなって生きていく 割れてる爪にマニキュアを塗り 「生きてたくなかった明日」は来ないかも 今日は眠ろうそれだけでいい  5月に詠んだ歌は、なんとこの3首だけでした。自分の体感ではもっと詠んでいたつもりだったので、 「え!? そんなはずは……!?」  と、メモアプリの中を隅から隅まで探しても、やはり3首だけなのでした。人間の記憶ってアテにならないですね。  それ

【新刊】つぶやきおよびさけび2【日常と性癖の短歌集】

 文学フリマ東京38に参加された皆さまお疲れさまでした……! 残念ながら私は今回参加できなかったのですが、イベントにあわせてネットプリントで新刊を作ってみました。ほら、何らかの締切が無いと本って作れないので……。 新刊内容  日常と性癖を詠んだ短歌、あるいはツイッターにへばりつく怨霊の独り言のような短歌が多数載っている短歌集です。直近1年間に私がインターネット上で発表していた歌のほぼ全てを収録しています。いろいろな感情が入っているのでお得です。よろしくお願いします。 新

短歌まとめ(2024年4月)と告知

自選短歌5首 妹が帰省している新しい髪の毛が排水口に詰まる スギ花粉以外のログインボーナスを早く実装してくれ地球 春ですね きみは狂気に飲まれるな桜の前で足を止めるな お前にも生まれた意味はあるはずだけど容赦なく足の毛を剃る わたしたち正しくないまま生きていく 正せないまま生きていくんだ そのほか4月に詠んだ短歌 エイプリルフールであってほしいから暦を見れど今日は2日だ 先輩は胃炎、上司は熱を出し、ぼくはメンタルやられてる春 春物のニットお別れなのか? もう

短歌まとめ(2024年3月)

自選短歌5首 上を向く 嵐の中で星を追う 奈落の底で青空を知る 帰らせる気の無い職場「とりあえず一旦終礼しときましょうか」 限界の社畜ベリアル「ヤバい、達する達する!!」(過労死ライン) 食べて寝て後は死ぬだけしかなくてそういう余命だけがまだあって、 我慢したそういうこともありましたバケツプリンを山ほどすくう【題『我慢』】 そのほか3月に詠んだ短歌 セイレーンだけが変わらず笑ってた廃墟みたいなモールの隅で 最強の勇者だけれど毎日のログインボーナスを取りそこねが

うたの日の短歌(2024年2月,3月)

1月に引き続き、題詠をやりたくなった時に短歌投稿サイト「うたの日」様の歌会に参加していました。 2月と3月はあんまり投稿できなかったので、今回まとめて投稿します。よろしければ見ていってもらえると嬉しいです。   2024/02/01 題「猪」 初売りへ猪突猛進 背中には鎧のようなカイロ6枚 記念すべき2月最初の歌です。歌の内容と同じく、勢いしかありません。 「1か月遅いのでは?」というツッコミはナシでお願いします。 2024/02/02 題「二」 二二二二二二二二

短歌まとめ(2024年2月)

自選短歌5首 「火」のルーン描いてスマホを起こすとき魔法少女になれた気がして インスタの正方形の外側にもたしかにあった僕らの季節 わが心知る由もなし鹿たちは草を食む奈良家裁への道【題『家』】 月齢のように満ちゆく爪先の白よ 私の生き延びた日よ【題『爪』】 逃げていく2月を羽交い締めしてる 息つく暇もない年度末【題『息』】 そのほか2月に詠んだ短歌 冷コーは売り切れました 「冷コー」と頼むあなたがもう来ないから【題『冷』】 初売りへ猪突猛進 背中には鎧のようなカ

うたの日の短歌(2024年1月)

題詠をやりたくなったので、先月から短歌投稿サイト「うたの日」様の歌会に参加しています。 お題と自分の作品を振り返る機会があった方がいいかもな、と思ったので、今回、振り返りの記事を書いてみました。 2024/01/25 題「りし」 ミリしらの母に描かせた炭治郎どこか老けてて父に似ている 記念すべき初投稿の歌です。 お題が「りし」だったので、おそらく「過ぎ去りし」「在りし日」などの過去形や「利子」「履修」という単語を詠み込んだ歌が多くなるだろうと予想し、比較的かぶりにくそ

短歌まとめ(2024年1月)

自選短歌5首 天井の染と対話 眦をつたう心の発露一滴 「君が好き」だけでよかったあの頃は虹も七色だけでよかった 歴代の推しが教えてくれたこと 裏切られても嫌えないこと 身長が今の半分だった頃裸眼でどんぐり拾いができた【題『橅』】 「亻が本読むためにある体かな」と彼は義手で頁をめくる【題『体』】 そのほか1月に詠んだ短歌 「ばいばー」と去る2歳児とハイタッチ 吾が掌の冷たきを知る 午前9時〜正午のみ診察をしてたじじ医がいた医院跡 鳥の檻は動物園の西寄りにあり取

短歌(虹が七色だった頃)

「君が好き」だけでよかったあの頃は虹も七色だけでよかった 「君が好き」という気持ちがあれば、自分のアイデンティティやら生活やら人生やらが全部なんとかなっていた頃は過ぎ去ってしまったね。「君が好き」だけでは、もうどうにもならないね。 それは例えるならば、虹を七色に塗っていれば正解で、お手本どおりに塗りさえいれば先生に褒めてもらえた頃のような単純さだけではもうやっていけないのに似ているよね。という気持ちで詠みました。 虹はグラデーションなので名前のつけられない中間色だってある

短歌「歴代の推しが教えてくれたこと」(2)

「歴代の推しが教えてくれたこと」から始まる短歌10首です。 ※前回の10首はこちら↓ 歴代の推しが教えてくれたこと 裏切られても嫌えないこと 歴代の推しが教えてくれたこと 役には立たぬ淡きときめき 歴代の推しが教えてくれたこと ギャップがあると軽率に沼 歴代の推しが教えてくれたこと 働きすぎは体に悪い 歴代の推しが教えてくれたこと 青天井は悪い文明 歴代の推しが教えてくれたこと 蠱毒、粉塵爆発、地獄(ゲヘナ)   歴代の推しが教えてくれたこと 刀は室内戦に向