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A・アラン・ポオ著「アッシャー家の崩壊」


A・アラン・ポオ著「アッシャー家の崩壊」は自我の崩壊劇である。
自我の崩壊は虚無へと至り、虚無的世界観となる。
近代から現代に至るまで個人の自我の「受難劇」である。その先駆的作品。
物質界の足場を消失したら嫌でも「虚無観」に至る。
その虚無的世界観に呪縛される。唯物論的世界観に依拠した個人が「 虚無的世界観」を打破するのは容易ではない。
周囲、世界中を見渡しても殆どの芸術、哲学、心理学、文学等の魂は「虚無的世界観」に呪縛されている。
本来はあらゆる事物を公正に観る一視点であり、此処からが真の自己認識のスタート地点である。

ポオの詩を、私が銀座で画廊を経営している時に好んで朗読をした。
彼の全ての詩には深い孤独、悲哀が鳴り響いている。
彼の実体を理解し得る者が誰もいなかったのである。彼の「詩論」は宇宙論にまで及んでいるが、主観的想像力によるものである。
ポオの才能を見抜いたボードレールは初めて西洋に紹介した。
その世界観は多くの詩人に影響を与えた。いわゆる「象徴派」と称される詩人達である。
彼らの世界観は閉じた球体の中で乱反射しつつ作品を生み出した。

小林秀雄もその球体を打破せんと苦闘していた。ランボオとの出会いで球体は砕け散った。

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