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読書日記6

アーサー・コナンドイル『失われた世界』

 もしかしたら二回目かもしれないしそうじゃないかもしれない作品。シャーロックホームズはよく読んでいたけれどSFは読んでこなかったので読んでみた。話の流れもめちゃくちゃ面白いくせに更に、チャレンジャー教授がサルの長とそっくりでなじんでいるのに爆笑した。面白過ぎた。人間界では研究職につき地位もあり名誉と言うか他人を排除しようとする鋭い何かのような気ものも持ち合わせてなんだかいい暮らしをしておきながら、地球のある場所ではうほうほするしか生きるすべがない事実が好きた。翻訳も関係するが、こういう未知の世界の描写みたいなものが好きで書き留める癖がある。

まさしく妖精の国。空想の彼方の桃源郷である。茂った植物は頭上で接してからみあい、天然の緑を作っている。金色の薄明につつまれたその糸のトンネルの中を緑の透明な川が流れている。それだけでも美しいのに、枝葉を通過して和らいだ鮮やかな光がさして不思議に色づいて見える。水晶のように澄み、鏡のように静かで、氷山のように淡い緑色。それが葉のアーチの下を前方に伸び、ハンドルで漕ぐたびに輝く水面に無数の葉音が広がる。

私は色の表現を集めるのが好きだ。自然の中にある色はきっとDNAの組み合わせみたいに少しずつ違って全くおんなじものなんてほとんど無いような気がして、その片鱗に触れるような言葉集めが好きだ。これもそのうちの一つである。淡い緑はただの淡い緑を言っているだけではないのだが、結局全部淡い緑に言葉がかかっている。淡い緑…あんたすごいね。淡い緑のくせに恐ろしく神秘的空間が思い浮かんでやまないよ。

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