先週のFOMCの結果、注目材料
先週の気になったニュース
FRBは先週15-16日にわたって開催されたFOMCにおいて、政策金利であるFFレートを0.25%へ引き上げることを決定しました。
またFOMC後の発表されたドットチャート(FOMCメンバーが適切と考える将来のFF金利)によると、FF金利の予想は2022年度末:1.9%、2023年末:2.8% 、2024年末:2.8%となっています。これは、2022年に7回程度の利上げ、2023年についても3.5回程度の利上げ実施を示唆しており、2022年については毎回の会合での利上げを示唆する結果でした。
また、パウエル議長はFOMC終了後に記者会見を開いており、その際の発言は以下の通りです
(利上げ、バランスシート縮小について)
・FF金利の誘導目標を0.25%引き上げたが、継続的な利上げが適切だと見ている
・保有資産の縮小については良い進展があった
・今回の会合で、保有資産縮小の計画の設定についての合意に向けて、大きく前進した。早ければ次の会合(5月)で縮小開始に移れるところまで来ている
保有資産の縮小は、追加の利上げに相当する可能性がある
・枠組みは前回を知っている人にとって非常になじみのあるものになるだろう。ただ、前回より早く、また(金融引き締め)サイクルの早い段階で行うことになる
(インフレ、米労働市場について)
・ウクライナ侵攻が米経済に与える影響は極めて不透明
・ウクライナ侵攻が起こる前はインフレは1-3月にピークを迎え、今年後半に下がり始めるとみていた。
・今年の半ばまで物価上昇は高止まりし、23年には急激に下がるだろう
・賃金上昇のスパイラルが発生し、定着するとは思わない
・我々は物価上昇率を2%に戻るために手段を講じる必要があり、労働市場は耐えられるとみている
・失業率は今年度末には3.5%まで低下し、その水準にとどまる
今回のFOMCについては、一部事前予想においては2022年の利上げ回数が6回であったことなどから、「タカ派的」と捉えられ、米金利が上昇し、ドル高円安が進行する結果となりました。
そうした中で私が注目したのは、バランスシート縮小(QT)に関する発言です。上記の通りパウエル議長はQTについて「良い進展があった」、「早ければ次の会合(5月)で縮小開始に移れるところまで来ている」と述べる等、QTに関して進展があった旨の発言をしています。またQTが実施された場合、「追加の利上げ効果がある」とも発言していることから、2022年は7回の利上げに加えて、QTによる二重の金融引き締め効果があることを示唆しており、デュレーションが長い資産やグロース銘柄については、厳しい相場となる可能性が考えられます。
一方でパウエル議長はじめとしたFOMCメンバーは今回の会合における急激な利上げ(0.5%)は実施せず、またQTの枠組みについても「前回を知っている人にとってなじみのあるものになるだろう」と述べている通り、FRBが保有している債券等が満期償還した際に再投資を行わないという前回実施(2017-2019年)したQTと同じ手法を採ること示唆しています。これは、一部市場関係者が予想していた、FRBが保有する債券を市場で売る手法に比べて穏やかな金融引き締め手法であることから、一定程度は株式マーケット等に配慮をしつつ、金融引き締めを実施する姿勢も示しています。ただ、MBS等のデュレーションが非常に長い債券等については、長期にわたって償還しないこと等の問題も存在するため、具体的なQT実施手法を確認するために、4/6公表予定のFOMC議事要旨の内容について注視したいと考えます。
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