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ドッグフードで、たんぱく質が多いとか少ないとかって具体的には何%?

ドッグフードについて検索すると「高たんぱく質がいい」や「低脂肪がおすすめ」というような記事を見かけることがあります。

たんぱく質は筋肉をはじめ身体をつくる栄養素として重要なのでたくさん含まれていた方が良い。一方で、太り過ぎ(肥満)はさまざまな病気につながるので、脂肪は少ない方が良い。といったことは漠然と理解できますが、一体どれくらい含まれていればよいのでしょうか。

この記事では、エネルギー産生栄養素(三大栄養素)と呼ばれる「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」の割合について考えてみます。
ドッグフードの選ぶ際に参考になれば幸いです。



1日に必要なエネルギー(カロリー)の必要量

三大栄養素の割合の前に、生命を維持し、健全な生活活動を営むためにどのくらいエネルギーが必要かについては、こちらの記事を参照ください。


1.参考にした資料4点

フードの中の「たんぱく質」「脂質」「炭水化物」(以降、「エネルギー産生栄養素」と書きます)それぞれの割合を考えるにあたって参考にした資料は以下の4つ。

  • AAFCO(米国飼料検査官協会)が定めた基準

  • ペット栄養管理学テキストブック(一般社団法人日本ペット栄養学会)

  • 犬と猫の栄養学(奈良なぎさ・緑書房)

  • 手作り犬ごはんの食材帳(岡本羽加 高橋一哉・安川書房)

これらの資料で、エネルギー産生栄養素の割合をどのように記載しているかを拾い出します。

2.エネルギー産生栄養素の適正な割合

下記の表は、上記4つの資料中で言及されている、エネルギー産生栄養素の割合をまとめたものです。
ライフステージの表記については、ばらつきがあったので、対応するであろうライフステージで比較しています。
記述がみあたらなかった箇所については、空欄としてあります。

エネルギー産生栄養素・三大栄養素のバランス
オレンジのセルは計算で算出しています。

これが、4つの資料から読み取れる三大栄養素の適正な割合です。
維持期:たんぱく質18 - 30%、脂質5.5% - 15%、炭水化物55% - 77%
シニア:たんぱく質15 - 23%、脂質7% - 15%、炭水化物62% - 78%
成長期:たんぱく質22 - 32%、脂質8.5% - 25%、炭水化物43% - 70%

なお、炭水化物については、記載のない資料が多いのですが、たんぱく質と脂質の割合を除いた値を炭水化物の割合と考えて算出しています。



ウメトサクラトは、年齢が気になってきたすべてのワンちゃんのためにドッグフードをつくっています。
お米や鶏肉をはじめ、私たち人間が普段口にする食材を使用し、シニア犬にやさしい栄養バランスに仕上げました。栄養バランスを調整するためのミネラル以外の添加物を一切加えず、国内で生産しています。
また、レシピはペット栄養管理士が監修し、ペットフード公正取引協議会の定める総合栄養食の基準を満たしています。


以下に、参考にした資料中の具体的な記述を記載しています。

3-1.AAFCO(米国飼料検査官協会)が定めた基準

AAFCO(米国飼料検査官協会)が定めた基準は、日本においてペットフードの総合栄養食の基準として採用されており、アメリカ・カナダ・ヨーロッパ・アジア・南米など世界的なスタンダードとして広く認められているものです。

AAFCO|エネルギー産生栄養素|基準

AAFCOの基準は、改訂が行われており、上記の数字は2016年のものを採用しています。

採用した基準が記載されているレポートはこちら

3-2.ペット栄養管理学テキストブック

一般社団法人日本ペット栄養学会 編のテキストブック。

ペット栄養管理学テキストブック|エネルギー産生栄養素|基準

たんぱく質についての記載をまとめると

  • 市販ペットフードの粗タンパク質含有量は15-60%と幅が大きい

  • タンパク質は多ければ多いほどよい、という考え方は間違い

  • タンパク質を過剰摂取すると、腎臓が余分に働かなければならない

一般に、維持期のペットフード中には18-30%DM含有していることが推奨される。
中高年のイヌでは、腎臓病の有病率が高まるので、タンパク質を過剰に摂取することは避けるべきであり、その含量は15-23%DMが適切と考えられる。

ペット栄養管理学テキストブック

脂質、テキスト中では「脂肪と必須脂肪酸」という項によると

フード中の脂肪は5%DM以上必要であり、リノール酸を1%以上含むことが推奨される。食餌中の脂肪含有率が増加すると、風味が高まり、必須脂肪酸レベルも高くなる反面、エネルギー量も高くなるため肥満傾向の成犬には、高脂肪の食餌は勧められない。<略>健康な高齢犬は、肥満防止のために脂肪を制限したほうがよい。<略>高齢犬は、肥満を防止しつつ、十分なカロリーを摂取しなければならない。その量は一般に、7-15%DMの脂肪レベルが推奨される。

ペット栄養管理学テキストブック

炭水化物については、成長期、維持期ともに特段の記載がないが、妊娠・授乳期の雌犬について以下のような記載があるので、参考に記載します。

妊娠・授乳期の雌犬は、必ず糖質を摂取しなければならず、フード中に少なくとも約20%DM以上含有する必要がある。

ペット栄養管理学テキストブック



3-3.犬と猫の栄養学

犬と猫の栄養学|エネルギー産生栄養素|基準

粗たんぱく質

総合栄養食(ドライフード)の保証分析値では、犬の維持期で23%前後、成長期で27%前後、猫は全ライフステージを通して30%以上を目安として考えると良いでしょう。

犬と猫の栄養学

粗脂肪

総合栄養食(ドライフード)の保証分析値では、犬の成長期で18%前後、維持期で15%前後、猫は全ライフステージで20%前後を目安とすると良いでしょう。

犬と猫の栄養学

炭水化物の含有率に関する記述はなし。


3-4.「手作り犬ごはん」の食材帖

「手作り犬ごはん」の食材帖|エネルギー産生栄養素|基準

こちらでは、成犬・幼犬・シニアの3つのライフステージにわけて、「あくまで目安」として割合が紹介されています。

成犬(小型犬1−6歳、大型犬1−4歳)
  たんぱく質25%:脂肪15%:炭水化物60%

幼犬(0ー12カ月齢)
  たんぱく質22-32%:脂肪22-25%:炭水化物43-68%

シニア(小型犬7歳ー、大型犬約5歳ー)
  たんぱく質15-23%:脂肪7-15%:炭水化物62-78%



今回4つの資料から、ドッグフードのエネルギー産生栄養素の割合について考えてみました。それぞれの資料は、多くの研究や経験を踏まえた上で、割合を示しているかとは思いますが、研究は続いており、基準が改訂されるということもあります。
また、個体差も大きいという現実もあるかとおもいます。
数字はあくまで参考に、日々の体重や体調の変化に気を配ってあげてください。
それではまた。


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